監督・製作・脚本:チェン・クォフー
出演:レオン・カーフェイ(ホアン・フォトゥ)
デビッド・モース(ケビン・リクター捜査官)
レネ・リュウ
ブレット・クリモ
レオン・ダイ
ヤン・クイメイ
ラン・シャン
ダグ・ペンティ
(感想)
確か、セガールの『奪還』を見に行った時に予告編を見て、「面白そうだな」と思って以来、その存在すら忘れていた映画ですが、いやはや、かなり凄い映画でしたね。
連続猟奇殺人を、台湾の地元の刑事とFBIの専門家のコンビが捜査をするという内容ですが、まず、そのストーリーがかなり凝ってて面白かったです。
殺人事件の内容は、ビルの一室で溺死をしていたり、何の変哲も無いマンションの一室で焼死していたりといった、かなり謎なものです。そして、事件の裏には怪しげな宗教団体が絡んでる事が明かされ、この連続殺人事件は儀式的な目的のあったものなんです。
という、オカルトチックな展開を見せるんですが、事件の捜査の方は意外にもかなり科学的です。デビッド・モース演じるFBIのケビン捜査官がこの台湾での連続殺人事件の捜査に加わるんですが、FBI流の緻密で無駄の無い捜査により、台湾の刑事達が発見出来なかった証拠を見つけたり、事件の謎の答えを導いてくれるような専門家の話を聞けたりするようになります。
そして見つかった被害者達の謎の死の真相ですが、「魔術で殺された」とかじゃない、ちゃんと科学的に説明の付けられる真相が出てくるんですよね。一応、「新種のハイブリッド生命体」とかいう、訳の分からない物が出てくる事は出てくるんですが、要するに、「危険な菌を持ったダニ」なわけで、何だか、実際にそういうのがいてもおかしくないと思えるような説得力があります。
その菌によりドーパミンが異常濃度となり、被害者は幻覚症状を起こすんですが、その「あまりに強力な幻覚により、体が異変を起こして、実際に溺れたり焼けたりといった症状を出してしまう」という説明も、実際にはそんな状況にはならないのかもしれないですが、科学かオカルトかと言えば、やはり科学的だと思えます。
一見、非科学的な事件ですが、その裏にはちゃんと科学的な証拠が出てくる、というようなストーリーの映画なのかと思ったら、非科学的なオカルト要素も次第に顔を出すようになってきます。ですが、この辺のバランス感覚はかなり絶妙でしたね。最終的に、科学とオカルト、どっちが前面に出て終わるのか興味深々でした。ラストは解釈に困るようなタイプの終わり方でしたが、個人的にはどっちとも取れるような、期待を裏切らない終わり方だったと思いますね。
事件の捜査をする主役二人も、ケビンは科学の信奉者で、一方のフォトゥは、信心深いというわけではないものの、科学では説明出来ない現象はあるという考えを持っています。
科学とオカルトがうまい具合に混在するストーリーで、その事件を捜査する二人にこういう考えの違いがあるというのは、よく練られた脚本だと思いましたね。
また、台湾という慣れない地で捜査をするケビンの戸惑いとか、相棒として一緒に捜査をするフォトゥとの関係などもしっかりと描いてきます。フォトゥは映画が始まった当初から暗い感じの男で、最初はケビンとの仲もしっくりいってなかったんですが、フォトゥを暗くさせる原因となった過去のある事件について話したりする内に、次第に打ち解け合っていく事となります。
猟奇殺人物であり、バディ物でもあるという辺り、『セブン』を彷彿とさせますね。『セブン』以外にも、他の様々な映画で見たような気のするシーンとか設定とか出てくるんですが(「あれ、何かこんなようなの他で見たことあるぞ?」と思っただけで、具体的に「あの映画と似てる」とまでは思い出せなかったんですが)、それらをかなりうまく取り込んでるようで、「二番煎じ」みたいな印象は全く末ウかったですね。
さて、この事件は怪しげな宗教団体が起こしたものなんですが、その信者にはエリート層、弁護士や医者などが多かったらしいんです(何か日本にも似たような団体がいたような気がするんですが・・)・。
ビルのフロアーに寺を建てて、そこを根城にしていたんですが、そこへ踏み込んだ警官隊に対し、「刃物で切りかかってくる」という凄い行動に出てくるんですが、行動も凄ければ、その刃物の切れ味も凄いです。もう、警官の腕やら足、頭をスッパスパ切ってましたからね。個人的に、気持ち悪くて大嫌いなタイプのスプラッターシーンな為、ここはかなり見てるのが辛いシーンでした。いや、見てる時はそうでもないんですが、見終わった後も気持ち悪さが続くんですよねぇ。
ともかく、猟奇殺人に加えて、こんなスプラッターシーンまで出てくるんですから、何とも贅沢な話です。
この映画、そういう、見た目の怖さ、気持ち悪さの追求だけでなく、ストーリーにもしっかり手が行き届いてるのが嬉しいところです。猟奇殺人物の映画の中でも、かなりよく出来た映画だったと思いますね。
まあ、『セブン』や『羊たちの沈黙』みたいな「個性的な殺人犯」というのは出てこないですけどね。むしろ、猟奇的な事件の捜査と、それに関わる刑事のドラマに面白味を感じた映画でした。