
監督:リー・タマホリ
音楽:デビッド・アーノルド
出演:ピアース・ブロスナン(ジェームズ・ボンド)
ハル・ベリー(ジンクス)
トビー・スティーブンス(グスタフ・グレーブス)
ロザムンド・パイク(ミランダ・フロスト)
リック・ユーン(ザオ)
ジュディ・デンチ(“M”)
ジョン・クリース(“Q”)
マイケル・マドセン(ファルコ)
ウィル・ユン・リー(ムーン大佐)
ケネス・ツァン(ムーン将軍)
エミリオ・エチャヴァリア(ラウル)
マイケル・ゴアヴォイ(ヴラッド)
ローレンス・マコール(ミスター・キル)
コリン・サルモン(ロビンソン)
サマサ・ボンド(マネーペニー)
<見た後の個人的感想>
ボンド映画生誕40周年記念にして、シリーズ20作目という記念碑的な映画です。
最近、「ボンド映画なんてもう古いぜ!」と言わんばかりの宣伝で登場した「トリプルX」という映画がありましたが、もう、この映画が児戯に思えるぐらいのド派手なスパイアクション大作になってました。
過去の「007」シリーズでは、「トゥモロー・ネバー・ダイ」もかなり派手なアクション重視系の出来でしたが、今作はそれに輪をかけて派手派手です。CGによる特撮シーンもふんだんに盛り込まれ、終盤はもう、見てるだけで疲れるほどです。
でも、ただ派手なだけではなく、ちゃんとストーリーが面白いという点が素晴らしいです。ストーリー、キャラクター、アクション、音楽、などを総合した完成度は近年のアクション映画の中でもまさに出色でしょう。
シリーズ物ですが、前作からの繋がりという物が特に無いので、「これで初めて007を見る」という人でも満足出来る映画だと思います。
今作の一つの話題として、今、最も熱い国、北朝鮮が敵で出て来るというのがあります。ただ、国自体が悪という描かれ方ではないんですね。たまたま悪い奴が北朝鮮人だったというだけで。
<キャストについて>
ボンドを演じるのは歴代5代目のピアース・ブロスナン。初めてボンド役についた「ゴールデン・アイ」から4回目のボンド役です。
この、ピアース・ボンドが、私がリアルタイムで見たボンド俳優な為、やっぱり一番ボンドに似合ってる気がしてしまいます。それにこの人、他のアクション映画に出てる時も演技がボンドとほとんど変わってないですからね。もう、地でボンドを演じてるんじゃないかと思うほどです(笑)。
あと、ボンドが似合う似合わない以前に、アクション演技の上手さが、私がこの人のボンドが好きな一番の理由ですね。別にマッチョなわけでも、マーシャル・アーツを使うわけでもないんですが、アクションシーンの時の動作と表情が非常にサマになっているんです。個人的に、アクションの才能はブルース・ウィリスに匹敵するレベルだと思ってるんで、「アクション映画にブロスナンが出てる」というだけで、見応えのあるアクション映画になっていそうだと思わせてくれます。
ボンド・ガールを演じたのは、最近絶好調のハル・ベリーです。ジンクスというキャラクター、スピン・オフの企画があったりするらしいですが、別段、珍しいキャラクターでもなかったんですけどね。キャラ的には「トゥモロー・ネバー・ダイ」のミシェル・ヨーとほとんど一緒ですよね(そう言えば、こちらもスピン・オフの話が出てたような記憶があるんですが・・・)。
個人的には、演じる女優もキャラクターも、フロスト役のロザムンド・パイクの方が良かったです。フェンシングの金メダリストという設定も珍しいですし。
ボンド・エネミーを演じたのは、「スペース・カウボーイ」でイーストウッドの若い頃を演じたトビー・スティーブンスと、「ワイルド・スピード」に出てたリック・ユーン。ですが、どちらも、あまり知らない人なせいか、ちょっと印象が薄いです。
それより、ジンクスの上司のNSAエージェント役で、「スピーシーズ」「エグゼクティブ・ターゲット」のマイケル・マドセンがちょこっと出てましたね。この人の方がボンド・エネミーの二人よりも迫力があった気がするんですが(笑)。
どちらも普通の悪役としては問題無いんですが、「ボンドの悪役」としてはちょっと印象が弱いかな、という感じですかね。
<プログラムについて>
800円です。高いです。ただ、初回生産分限定として、カバーが付いてます。そのカバーの裏面には過去のボンド映画の内容や、過去のボンド俳優の解説などが載っています。
本体の方には、ブロスナン、ハル・ベリー、リー・タマホリのインタビュー。キャラクター相関図。今作でボンドが回った各国でそれぞれどんな行動をしたか。今作で登場した兵器の解説。評論家による映画の解説など。そして、丹波哲郎と若林映子の対談という謎のコンテンツもあります。もちろん、その他のキャスト・スタッフのフィルモグラフィーや、プロダクション・ノートもあり。
内容は確かに充実してますが、やはり800円は高すぎです。それに、プログラムのサイズが、通常のものよりも一回りデカいというのは困りものです。
これはどうでもいい事ですが、フロストを演じるロザムンド・パイクの写真が少ないのも困った点です(笑)。
<画像の下より、内容について(注・ネタバレ有り)>

このシリーズは毎回タイトルバックが凝ってますが、今回も素晴らしい出来でしたね。マドンナの歌うテーマ曲に乗せて、画面では半裸とおぼしき美女がクネクネ踊るというお約束もやりつつ、今作では“拷問を受けるボンドの様子”をこの歌の場面で挿入してきましたね。14ヶ月の苦行の日々を歌の背景で済ませるとは無駄の無い演出です。
ボンド映画といえば、画期的なスパイグッズの数々がみどころの一つです。今回もまた、一風変わった兵器が次々登場していましたね。
チェイスシーンでは他にも(上のはチェイスシーンと言うんだろうか)、冒頭で出てきた「地雷原の上でホバークラフトを使ったチェイスシーン」がありましたね。チェイスというより、撃ち合いがメインのアクションシーンでしたけど、普通のアクション映画のクライマックス的なテンションでしたね。
終盤、ジンクスと二人で北朝鮮に行く時に使った兵器、「スイッチブレイド・ジェットグライダー」はカッコ良かったですねぇ。bワるでSF映画に出て来るような兵器です。しかも、マジンガーZ辺りが装着しそうな名前です(笑)。
ボンドVSグレーブスの第一回戦は中盤のイギリスのシークエンスでも行われましたが、この時の剣の戦いが妙に長かったのも印象的です。そして、普通、剣劇アクションのシーンは、動きがもっさりした感じになる場合が多いんですが、ここでは、まるでライトセーバーバトル並みのスピードで展開されてましたね。
この映画、とにかく全編が見せ場といった感じなので、最初から最後まで飽きることなく楽しめる映画でしたね。ただ、見終わった後はかなり疲れますけど(笑)。
<エンディングについて>
オープニングの、「ボンドが歩いているところを銃口が狙っている」という例のショット。今作では、振り向いて撃ったボンドの弾が画面に一瞬現われるようになってました。ただ、その弾が“敵の銃口の中に入ってくる”というのはどういう演出なんでしょう(笑)。まさに神業です。
防弾ガラスも一瞬で粉々にしてしまう指輪に、レーザーの出る腕時計。そして超小型の酸素発生器。これは「スター・ウォーズ/エピソード1」でも、ジェダイの二人が海に潜るシーンで似たようなのを咥えてましたね。
小物も相変わらず凝ってますが、今回のボンドカーはまた凄かったですね。何しろ“消える車”ですから(笑)。武装の方も、「こんなの車に積んでどうするんだ」という程の破壊兵器が登載されてて素晴らしいです。さすがボンドカー!
でも、今回は敵の乗ってる車(ザオが乗ってるから、ザオカー?・笑)も超武装の車でしたね。氷上で繰り広げられる“ボンドカーVSザオカー”のバトルは大迫力でしたね。予告編でお馴染みの、「ひっくり返ったボンドカーに向けて発射されたミサイルを回転して避ける」という、あの行動は凄いです。私が外人なら、ここで「ブラボー!」と叫んでいたに違いない。
一番燃えたのは、ザオカーの後部から発射された迫撃砲を、ボンドカーのマシンガンで叩き落した所ですね。もう、車同士の戦いの域をはるかに越えてしまってます(笑)。まず、車に迫撃砲が搭載されてるという時点でとんでもない事なんですが、もはや見てる方も感覚が麻痺してるのか、「そんなの持ち出したって、ボンドカーには通用しないぜ!」とか思ってしまいました。
このアクションシーンの締めが、「ボンドが鐘を鳴らす」という映像で終わるところも最高です(笑)。
この後、飛行機に乗り込んでクライマックスへ突入となるわけですが、この前のアイスランドでの一大アクションがクライマックスなのかと思ってました(ザオも死んだし)。
この、アイスランドのシークエンスでは、ほとんどアクションつるべ打ち状態でしたからね。宇宙からのレーザービームから逃げるボンドとか、ボンドカーによるバトルシーン、ミスター・キルとのレーザーが飛び交う部屋での死闘などなど(ここでボンドが、レーザーなんて無いかのように戦ってるところが凄いです。実際、演じてるブロスナンにはレーザーは見えてないんでしょうが・笑)。
ここでかなり派手な事をやったんで、もうクライマックスでやる事なんて無いだろうと思ったら、宇宙からのレーザービームで北朝鮮を照射という凄い展開が始まってしまいました。まあ、国を狙ったんじゃなくて、地雷原の地雷の撤去なわけですが、もう火柱が上がりまくってましたね。
機内でも、変なパワースーツに身を包んだグレーブスとの死闘があり、一方ではジンクスとフロストのバトルが待ってました。「刃物を使った女同士のバトル」は、ちょっと「ハムナプトラ2」を思い出してしまいました。
グレーブスの「必殺ビリビリハンド」も強烈でしたね。これがセガール主演作だったら、これだけで邦題が「電撃」になってしまいまそうです(笑)。
この戦いは、「フェンシングの腕ではグレーブスより上」の、フロストが颯爽と止めに入って終了するわけですが、ここのロザムンド・パイクはカッコ良かったですねぇ。ちなみに、フロストのフェンシングの師匠役で、テーマ曲を歌ったマドンナ自らが出てましたね。
今回、こんなに大暴れしてしまって、次回作はどんな映画にするんでしょうね。もう、アクション・メインの内容ではこれを超える事は出来ないでしょう。それとも、さらなる超絶アクションを目指すんだろうか。ともかく、次回作が楽しみです。
ボンドとボンドガールが乳繰り合うという、いつも通りのオチでしたね。
エンディングテーマは、オープニングテーマの別アレンジみたいな感じの曲でしたね。前作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」のエンディングテーマは、本来、デビッド・アーノルドのボンドのテーマが流れるところを、日本公開版のみ、ルナ・シーの歌うテーマ曲に差し替えられていたという、憤慨ものの事態になってましたが、今回はちゃんとマドンナの歌うテーマ曲が流れました。
と言うか、マドンナの歌を差し替えたら、マドンナ側から猛烈なクレームが来そうですからね(笑)。