
監督:アンジェイ・バートコウィアク
製作:ジョエル・シルバー
出演:ジェット・リー(ダンカン・スー)
DMX(トニー・フェイト)
アンソニー・アンダーソン(トミー)
マーク・ダカスコス(リン)
ケリー・フー(ソーナ)
トム・アーノルド(アーチー)
ゲイブリエル・ユニオン(ダリア)
<見た後の個人的感想>
「ロミオ・マスト・ダイ」「DENGEKI電撃」に続く、“ヒップ・ホップ・カンフー3部作”の完結編です。ちなみに、このヒップ・ホップ・カンフーという単語、この映画のプログラムを見て初めて知りました(笑)。この一連の映画はシリーズ物だったんですね。
監督は、前2作と同様、アンジェイ・バートコウィアク。正直、アクション映画の監督として、かなり問題のある人物です。何故かって、前2作がジェット・リー、スティーブン・セガールという、アクションの達人を主演に据えながら、なんとも中途半端なアクションを撮ったからです。
その実績のせいで、今作も見る前はかなり不安でした。その不安に追い打ちをかけるように、敵役にマーク・ダカスコスが出る!という情報も入ってきました。本来なら喜ぶべきところですが、こと、「ヒップ・ホップ・カンフーシリーズ」においては、アクションスターが増えてもそれが面白さに繋がらないという問題がある為、敵にダカスコスが加わっても、不安要素が増えるだけなんです。
しかしながら、予告編の出来がとんでもなく良かった。「もしかしたら面白くなってるかも・・・?」という期待を抱いてしまうぐらいのものでした。
そんな、期待と不安の入り交じった中、この映画を実際見てみたわけですが・・・。
いやぁ、ビックリしました。もう、前2作とは比べ物にならないぐらい、良くできたアクション映画になっていたんです。何よりも、ジェット・リーのアクションを、今度こそちゃんと撮ってくれたのが良かったです。アクションシーンでのジェット・リーのカッコ良さと凄さは、「キス・オブ・ザ・ドラゴン」に匹敵するレベルでした(香港映画時代のはあんまり見てないので、比較対象はハリウッド進出後の出演作です)。
ただ、当然の如く、「アクションシーンが短い」「編集が妙」といった“問題点”をしっかり残してくれましたが(笑)。どうしても、まともなアクションは撮りたくないらしいですね。
映画の実質的な主役はジェット・リーではなく、DMXです(クレジットはジェットがトップ)。DMX演じるフェイトの仲間も全員黒人、背景に流れる音楽はラップやらヒップホップやらの黒人系音楽(この辺のジャンル名とかは詳しくないんですが)という、黒人向け映画という雰囲気です。ここまで来たら、監督も黒人の誰かがやってくれたら良かったんですけどね(そうすれば、例の“問題点”も発生しなかったかもしれないですし・笑)。
ちなみに、敵役のマーク・ダカスコスは、もうゲスト出演みたいなものでしたね。そもそも、「ジェットVSダカスコス」については全く宣伝されていなかったですし、それを期待する方が悪い、といったところなんでしょうかね。
何でも、ジェット・リーのオフィシャル・サイトで「ジェットと映画で戦って欲しい相手は?」というアンケートがあって、それでダカスコスの名前が出たそうですね。そこでのファンの期待に応えてのゲスト出演、というわけなんでしょうね。
でも、せっかく出たんなら、もっと思いっきり絡んでほしかったですけどね。ラストではちゃんと拳を交えますが、かなり短い時間でしたし・・・。
<キャストについて>
ジェット・リーのアクションは、上にも書きましたが、本当に凄かったです。「ジェットのアクションをちゃんと撮れた」。これだけで、この映画は8割方成功したと言っていいでしょうね。
そして、DMXです。演じるのが話の主役とあって、「DENGEKI」の時よりも出番が大幅に増えました。この映画は、演技力よりも“クールっぽい”“そこそこ動ける”という要素があれば充分なタイプの映画なので、主役を張ってもほとんど問題無かったですね。
ただ、映画スターとしての魅力というのは、私はあんまり(と言うか、ほとんど)感じられなかったですけどね。ちょっと、表情が乏しすぎかな、という気がするんですよね。まあ、同じく表情の少ないチャーリー・シーンを見ても分かるように、それがそのまま「ダメ俳優」という評価になるわけではないですが。まあ、私がDMXの本職の方にさして興味が無い、というのが一番の原因かなと思います。
シリーズでコメディリリーフとしてお馴染みのアンソニー・アンダーソンもまたまた登場してましたね。“デブ+不細工+下品”のくせに、妙に前に出ようという演技をするという事で、実はうっとおしくて嫌いな人物だったんですが、今回は良かったです。何だかおとなしめでした。
役柄的には、エディ・マーフィ並の口八丁手八丁で相手を騙したりするような感じのキャラクターなんですが、それがうざったい感じにならずに、普通に笑いに繋がってましたね。
他にも、「スコーピオン・キング」のケリー・フー、「DENGEKI」のトム・アーノルドも出てました。ちなみに、トム・アーノルドのキャラクターも、個人的に「DENGEKI」の時より好印象でした。いったい、前シリーズとのこの出来の差は何なんでしょう(笑)。
<プログラムについて>
定価600円。なぜか表紙がポスターの柄じゃなく、ただの真っ黒背景に、隅に小さく題名&画面写真少々という構成になってました。
内容は、キャスト・スタッフプロフィール、プロダクションノートなどの定番メニューの他、ジェット・リーのインタビュー、ジェット・リーの解説、DMXの解説がそれぞれ1ページ分使われてました。
面白いのは、真ん中のページの「ブラック・ダイヤモンドの見どころはこれだ!」というページ。ジェットとDMXの立ち姿の写真があって、それぞれの体の部分(目とか手とか)に矢印がしてあって、「それぞれのキャラクターのそれぞれの部分はどんな働きをするか」という解説が書いてあるんです。こういう遊び心のあるページはいいですね。面白いです。
<画像の下より、内容について(注・ネタバレ有り)>

この手法はクライマックスでも用いてくるんですが、ここでのショックがデカ過ぎたせいで、こっちの方はもうどうでもよくなってましたね(笑)。
個人的に、映画の悪い所を引っ張り出して来て、文句垂れ垂れな感想はあまり書きたくないんですが、どうしても吐き出したかったんです、すみません(笑)。
では、この映画の良かった点も書いてバランスを取りましょう。
ちなみに、この映画の「黒人と東洋人のコンビ」というのは、ジャッキーの「ラッシュアワー」を思い出しますね。そして、映画のカラーが全く違うというのが面白いです。ジャッキーとジェット・リー、どっちもカンフーアクション系アジア人なんですが、出演作のタイプが全く重ならないですよね。
<エンディングについて>
いやぁ、とってもとっても惜しい映画でしたねぇ・・・。監督だか編集の人だかが凝った演出をしようとしないで、普通にアクションを撮ってくれてたら、とんでもなく素晴らしいアクション映画になったと思うんですよねぇ・・・。
中盤のジェット・リーの金網デスマッチのシーンは、ほんとに凄い迫力でした。シチュエーションも、スクリーン上で見せるジェット・リーの動きももう文句のつけようが無いぐらい、凄いアクションシーンでした。見てる私も、もう興奮状態になりかけてましたからね。
ところが!「さあ、ジェットー・リーショーの始まりだあ!」と思った次の瞬間、スクリーン上には別の場所にいるDMXが映されました。何と、ジェット・リーの金網デスマッチと、DMXのバイクチェイスを交互に見せるという編集になっていたんです。
もう、まったく信じられないですね。これは、テレビ放映の映画を見てる際、映画が最高潮に盛り上がっている、まさにその最中にCMで中断された時の怒りともどかしさに近いものがありましたね。
さらに悔しいのは、このDMXのパートも凄くよく出来たアクションシーンになってるという事です。3輪バイクで道路はおろか、建物内も疾走するという、スピード感もあるし見た目の面白さもあるという、いいチェイスシーンなのに、じっくり見る暇が無いんです。なぜなら、すぐにジェット・リーの格闘アクションシーンに変わってしまうからです。
どっちも、個別に見せてくれたら、一週間は強烈に印象に残りそうな素晴らしいアクションシーンなのに、この意味不明な編集のせいで互いの良さを潰しあってるんですよね。ほんと、何を考えてこんな編集にしたのか理解出来ないです。こんな事するぐらいなら、適当なアクションと適当なチェイスシーンを撮ってくれた方がまだ良かったです。
このクライマックスの方では、ジェット・リーVSマーク・ダカスコスの戦いが、DMXのバトルシーン&ケリー・フーとゲイブリエル・ユニオンのへぼへぼバトルで切れ切れにされてました(特に後者は酷かった・・・)。
編集さえおかしくなければ、個々のアクションシーンはどれもかなり良かったです。ストーリーも面白かったですし、フェイト率いる強盗団の仕事っぷりも見ていて面白かったです。メンバーそれぞれが持ち味を活かして仕事に当たる様は、まるで「スパイ大作戦」みたいです。
この強盗団、中々豪華なアイテムの数々を所持しているんですが、これはトム・アーノルド演じる兵器売買人アーチーから買ってるものなんでしょうかね。冒頭の銀行強盗では何かロケットみたいなのを使ってましたけど。見てて、「また凄いオモチャを持ち出したな」とか思ってしまいました(何故か、あんな派手な兵器も、DMXが持ってるとオモチャみたいな感じに見えてしまう・笑)。
このアーチーのキャラクターも面白かったですね。ラストで戦車を持ち出したりする所も最高です(でも、どうやってあそこまで運んだんだろう・笑)。
この、ラストの舞台となる格納庫。ここに捕らわれてるフェイトの娘が電話をしてきて、場所を何とか聞き出そうとするシーンは緊迫感がありましたね。結局、情報はほとんど聞き出せないまま通話が終わって、フェイト同様、見てるこっちも悔しさともどかしさを感じてしまいました。
その後、何とかして場所を突き止め、仲間全員で殴りこみをかけるという展開も面白いです。まあ、私的には、殴り込むのはジェット一人でも良かったんですけどね。その方が邪魔されずにジェットのアクションが見られますし(あ、でも戦車は来てくれた方が派手で面白いかな・笑)。
「DENGEKI」の時と同様、アンソニー・アンダーソンとトム・アーノルドの対談がエンド・クレジットのバックで映されました。
前は聞いてて腹が立つぐらいの下ネタオンパレードでしたが(あんなのをセガール主演作のラストに流すな!)、今回は聞いてて素直に笑える話でしたね(最初の頃はシモに行きかけてましたが・笑)。