エクソシスト ビギニング


悪魔の誕生

EXORCIST THE BEGINNING
04年 アメリカ映画 114分

監督:レニー・ハーリン
音楽:トレバー・ラビン
出演:ステラン・スカルスゲールド(ランケスター・メリン)
    イザベラ・スコルプコ(ドクター・サラ・ノヴァック)
    ジェームズ・ダーシー(フランシス神父)
    レミー・スウィーニー(ジョセフ)






<あらすじ>
過去のある事件が原因で信仰を捨て、考古学者となっていた元神父のメリンは、ある男から妙な依頼を受けた。ケニアで行われている、地中に埋められた教会の発掘作業に立ち会い、ある小さな彫像を見つけてほしいというのだ。
とりあえず依頼を受けてみたメリンはその発掘場所に飛び、現地で、布教活動を目的に訪れていた若い神父フランシスと、ドクターのサラ、地元の少年ジョセフらと知り合いになった。また、ここは、かつて疫病が蔓延し、村人が全滅したという曰くのある土地なのだった。

発掘された教会の中には神を冒涜する印が見られ、ジョセフの周囲で猟奇殺人や怪現象が起こるようになる。この地で何かが起ころうとしているのだ。
そして、教会の地下に、邪神の像を祭った洞窟があるのが見つかる。全ては悪魔の仕業なんだろうか?信仰を失っているメリンは、この事態にどう対処するのだろうかッ!?



<見た後の個人的感想>
ランケスター・メリンと邪神の像 『エクソシスト』に登場した人物の一人メリン神父が、若い頃に悪魔とファースト・コンタクトした時のエピソードを映画化したものです。
『スター・ウォーズ』が原因なのか、一作目よりも前のエピソードを描いた続編映画が増えてきましたね。恐らく、この映画がヒットしたら、FOXが『オーメン/エピソード1』なんてのを製作発表したところでしょう。ですが、残念ながら大ヒットには至らず、オカルトブーム再興はなりませんでした。

さて、この映画。ほぼ完成した後になってから、監督を交代して作り直した、というトラブルがあった事でも有名でした。そして、代打に起用されたのは、何とあの爆破アクションの雄、レニー・ハーリンです。
最初に『エクソシスト』の新作をハーリンが撮ると聞いた時は、ワーナーの上層部もついに血迷ったのかと思ってしまいましたね。『マトリックス』と『ハリー・ポッター』シリーズのあまりの大ヒットで頭がおかしくなったのかと(笑)。
まあ、確かにハーリンも以前はホラー映画を撮っていた、このジャンルの経験者ではありますが、『エクソシスト』シリーズとは明らかに作風が違いますからね。
「ハーリンが『エクソシスト』を撮ったら、いったい、どんな映画になるんだろう」と興味を持ったものの、「やっぱり、ハーリンには合わない題材だったな」という感想が出そうなので、見に行く事を躊躇したりもしましたねぇ。
で、実際に見た感想ですが、まず「合ってない」と思うような事は無かったですね。オカルト映画も無難に撮り上げる事が出来るなんて、意外に器用な人だったんですね(笑)。
『エクソシスト』の続編映画として考えると、確かに一作目にあった恐怖はほとんどありません。むしろ、あったのは、一作目のそれとはまた違うタイプの恐怖でしたね。
一作目があそこまで話題になった理由の一つに、あの衝撃のラストがあったと思います。何しろ、神に仕える神父が2人も悪魔の前に敗れ去ってしまったんですから。
ですが、『ビギニング』の主人公は、一作目に登場する事が確定している人物です。だから、最後は絶対死なないという事が映画を見る前から分かってしまってるんですよね。
そして、一作目ではバリバリのベテラン神父として登場したメリンが、この映画では「信仰を失った、元神父」という設定で登場します。
この、「メリンがいかにして信仰を取り戻すか」というのが、この映画のストーリーの一つの見所となりますし、一作目でメリンは「悪魔払いの経験がある」と語られていました。そうなると、ラストはメリンが信仰を取り戻して悪魔を追い払うという結末になるんだな、というのが容易に予想出来てしまうんですよね。
これでは、一作目の恐怖を期待しても無理というものです。もともとのストーリーがこうなんですから、例えフリードキンが監督したとしても、大して印象は変わらなかったと思いますね。
という事で、この映画を楽しむうえで、「一作目のような映画を期待する」というのは間違った行為だと言えるでしょうね。でも、幸い、このシリーズには『2』と『3』という前例があるので(どちらも、一作目とは違った面白さを持つ映画でした)、今更4作目に一作目の怖さと面白さを期待する人は少ないかもしれませんね。
そう言えば、『2』ではリーガンの後日談が語られ、『3』ではキンダーマン警部の後日談が語られるという、「一作目の登場人物それぞれの事件前・事件後を描く」というシリーズなんですよね。他の多くのシリーズ物と比べても、かなりユニークなシリーズですよね。

ランケスター・メリンと呪いの墓地 悪魔の出てくるオカルト映画では、宗教的な要素が話に絡んでくる事が多いです。私は宗教には詳しくないので、宗教色の強いオカルト映画は、ホラーの中でもあんまり得意じゃないジャンルです。この『ビギニング』においても、よく分からなかった点、勘違いしていた点が多々ありました。
では、私みたいな人は面白く見られないのか、と言うと、そんな事はありません。何しろ、監督は長年第一級の娯楽大作に関わってきた男、ハーリンですから、エンターテイメントの要素をしっかり入れてきています。完全に理解は出来ないかもしれないですが、ホラー映画として、チケット代分は充分に楽しませて(&怖がらせて)くれました。
大まかなストーリーは、特に分かりにくいところのない、ミステリータッチのものなので、ストーリー展開で戸惑う事はありまんでした。インディ・ジョーンズばりに遺跡に突入するメリンの姿もイカしてましたし、その遺跡こと古い教会が、年代の割りには朽ちてない理由や、建てられた目的など、謎解きの面白さもちょっとありました。
少しダレてくるような場面もたまに出て来たりしますが、次の瞬間には持ち直すようなショックシーンが出て来たり、終盤には結構派手な見せ場なんかも出て来て、最後まで飽きさせません。
この映画を見る限り、監督交代は正解だったように思えますね。まあ、DVDに収録される予定だという、元の監督ポール・シュレーダー版を見てみない事には断言は出来ないですが・・・。

ただ、少々気になる点もあったりしました。それは、ショックシーンの約8割がCGという点です。しかも、合成技術があんまりうまくないんですよね(笑)。何だか、80年代のSFX映画を見てるような雰囲気でしたね。それとも、もしかしたらそれを狙って演出したんだろうか(ハーリンがホラーを撮ってたのもその時代ですし・笑)。



<プログラム情報>
・定価600円。全26ページ。プログラムサイズ“普通”
・イントロダクション2ページ(文章量少量、写真ほぼ無し)
・ストーリー4ページ(文章量少量)
・映画の解説1ページ
・監督が交代した映画あれこれ2ページ
・『エクソシスト』シリーズの解説2ページ
・プロダクション・ノート2ページ(文章量少量)


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(下の方にネタバレ有りの感想があります)
















この映画を見て、勘違いしていた点がありました。それは、「悪魔パズズの仕事」です。
メリンが信仰を捨てる原因になった、ナチスによる虐殺事件。それと似たような事が、ここケニアでも発生してしまいました。イギリス人将校が現地民の族長の頭を銃で撃ち抜いて殺してしまったんです。
この時、悪魔がその大いなるパワーにより、怪奇現象を起こしたり、人を自殺に追いやったり、アル中のオヤジを猟奇的に殺したりといった悪さをしてた為、このイギリス人将校も、悪魔の力でおかしくなったのかと思ったんです。
で、もしかしたら、あのナチスも、実は悪魔に操られていたので、あんな酷い事をしていたのだと思い、「世界で起こる悲惨な事件の数々は、裏で悪魔が糸を引いていやがったのか!」と思ったんです。

ですが、この映画は「悪魔の持つその強大なパワーの恐ろしさ」を描いているわけではなく、「悪魔よりも人間の方が恐ろしい」的な事を描いていたりするらしいんですよね。要するに、ナチスもイギリス人将校も、自分の意志で人殺しをしたという事です。
じゃあ、悪魔は何をやっているのかと言うと、こいつは実は悪魔ではなく、このケニアの地でひっそり祭られていた、土着の神らしいんです。それが、遺跡を発掘した為にその逆鱗に触れ、災いが起こる事となったと。
何か、それじゃ日本の心霊みたいですよねぇ。曰くつきの建物を取り壊そうとしたら、謎の怪我人がェ続出したとか、そんなレベルの話みたいじゃないですか(笑)。
それに、パズズが土着の神なら、なんで一作目ではアメリカに遠征なんてしてたのかも謎ですしね。もしかしたら『2』辺りで語られてましたかね(3回ぐらい見てる映画なんですが、ストーリーは全然記憶に残ってないです・笑)。
ともかく、「パズズは、全世界規模で災いを降りかからせる事の出来るスゲェ悪魔だ。だが、メリンはそんなスゲェ奴を退けたクールな神父だ」と解釈した方が面白いです(極めて頭の悪い解釈ではあるものの)。

余談ですが、『ディレクターズ・カット版』に、「サブリミナル的に一瞬悪魔の顔が浮かび上がる」というシーンがありましたが、この映画でもそんな場面がありましたね。画面の端っこの方に映ってる鏡だかガラスだかが割れるシーンで、割れる前に一瞬、顔のようなものが浮かび上がってました。
こういう心霊写真的な演出は何か妙に怖いですね。思わず、驚いて飛び上がりそうになってしまいました。



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