ゴースト・シップ


GHOST SHIP
02年 アメリカ映画 91分

監督:スティーブ・ベック
製作:ジョエル・シルバー
    ロバート・ゼメキス
出演:ジュリアナ・マルグリース(モーリーン・エップス)
    デズモンド・ハリントン(ジャック・フェリマン)
    ガブリエル・バーン(ショーン・マーフィー船長)
    ロン・エルダード(ドッジ)
    アイザイア・ワシントン(グリーア)
    カール・アーバン(マンダー)
    アレックス・ディミトゥリアデス(サントス)
    エミリー・ブラウニング(ケイティー)





<あらすじ>
海難救助用ダグボート“アークティック・ウォリアー号”のクルー達が、一仕事を終え酒場で酒を酌み交わしているところに、自称“空軍のパイロット”のジャックと名乗る男が話しかけてきた。話の内容は、彼が偶然見つけた、ベーリング海峡沖で漂流していた巨大な船の調査と引き揚げの依頼だった。
その船にお宝の匂いを嗅ぎ取ったクルー達は、早速、その謎の漂流船の元へ急行した。
そして発見したその船の名前は“アントニア・グラーザ号”。船長のマーフィーは、その船が約40年前、乗客600人、乗員500人を乗せたまま行方不明となっていた船と同じ名前な事に気が付いた。
早速、船内の探索を始めるが、人どころか、死体の姿すらも無い、無人の朽ちた船のようだった。だが、紅一点のクルー、エップスは、不気味に微笑む少女の姿を目撃するのだった。

<見た後の個人的感想>
タイトルの通りの、幽霊船の映画です。幽霊が出てくる映画なんですが、ゾッとするようなタイプの恐怖ではないです。ショックシーンやグロシーンみたいな、見た目の気持ち悪さやビックリ演出を全面に出して来ます。

まず、舞台となる幽霊船に何が起こったのかがオープニングで出て来ます。そして、それがこの映画中、最も気持ち悪く、最も残虐なシーンです。私は、見てて思わず吐きそうになってしまいました。
こんなシーンを先に持って来て、「このレベルの残虐シーンがこの映画には出ます!」という事をまず示したわけですね。で、その後に本編の「恐怖の幽霊船探索」が展開されるわけです。これが、幽霊船の探検気分が味わえるみたいな感じで、見てて怖いと同時に面白いです。例えるなら、遊園地のお化け屋敷に入ったような感じでしょうか。「次はどんな怖い事が起こるんだろう」と、見てる方も思わずビクビクしてしまいます。何しろ、かなり強烈なグロシーンが出る事が冒頭で示されたわけですからね。

また、冒頭では、この船では過去に数人が死んでる事件が起きていたという事は提示されたんですが、その理由はまだ明かされていません。なので、この船が「どれぐらいヤバい場所なのか」が分からないんですよね。その辺を想像しながら見ると面白いです。もしも自分が登場人物だったら、船から離れる事を主張するか?それとも、大した危険は無いと判断してお宝を探すか?そういう、観客が想像力で物語りに参加出来るような雰囲気が、前半の探検シーンには感じられます。
実は、私がこの映画中で一番面白かったのはこの序盤の探検シーンでした。廃屋とか、そういった場所を探検してるのを見るのが結構好きなんですよね、怖いもの見たさが刺激されて(実際に行ってみたいとはこれっぽっちも思わないんですが・笑)。

後半では、船で何が起こったのかがどんどん示されていき、登場人物もどんどん減っていきます(この辺からは想像の入る余地がなくなるので、見た目の恐怖を感じるのみになりますが)。
そして、語りではなく映像で提示される、この船で起こった虐殺事件の全貌。もう、酷すぎですね。「タイタニック」の沈没シーンが可愛く見えるぐらいの悲惨さ凄惨さです。
ただ、ここが見せ場の一つだとは思うんですが、割とすぐに終わります。全体的に言えるんですが、映画のテンポがかなり早いんですよね。アクションの要素はあまり無いんですが、テンポに関してはアクション映画みたいです。なので、最初から最後まで一気に見ることができます。上映時間が短いというのもいいですね。最近は意味も無く長い映画が多いですから。
基本的には“幽霊物”の映画なんですが、見てみるとアクションホラーっぽい感じになってるんです。幽霊が直接襲ってきたり、登場人物が幽霊と戦ったりするわけではないんですけどね(なので「ホーンティング」とは感じが違います)。

ホラーとして、目新しい点みたいなものは特に無いんですが、序盤の探検シーンと、後半の「船で起こった惨劇」シーンが強烈だったので、見てて面白かったです。多分、一番の見せ場の、冒頭の「ワイヤーでサックリ」シーンは、私には強烈過ぎてダメでしたが・・・(思い出しただけでも吐きそう・・・)。

<キャストについて>
「ER」を見ていた私にとって、主演のジュリアナ・マルグリースと、共演のロン・エルダードは馴染みの顔でした。ただ、「ER」の時と比べて、二人ともかなりマッチョになってる気がするんですが(笑)。ジュリアナ・マルグリースは、そのまま「トゥームレイダー」に主演出来そうなぐらいですし(顔もいかついし)、ロン・エルダードは髪型といい、着てるものといい、最初見た時はゲイリー・ダニエルズかと思ってしまいました。
舞台の幽霊船では怖いことがどんどん起こるんですが、主人公を演じるマルグリースが、見た感じ幽霊よりも強そうなので(笑)、多少、恐怖が緩和されてる感じです。「怖いのが苦手!」という人への敷居を少し下げる役割も担ってるようですね。

クレジットでは「and」扱いのガブリエル・バーンは、最初は「こんな名優と呼ばれる人が、何でこんな映画に出たんだろう?」と思ったんですが、考えてみれば「エンド・オブ・デイズ」とか「スティグマータ聖痕」とか、割とメジャーのホラーの出演が多い人なんですよね。もしかしたら、意外とホラーが好きなのかもしれないですね。ただ、顔といい、役回りといい、「ふっくらしたランス・ヘンリクセン」に見えたのは私だけでしょうか(笑)。

<プログラムについて>
500円で、内容はキャスト&スタッフの説明、評論家の解説文、プロダクション・ノートと、平均的な作りです。
ジョン・カーペンター・マニアとして有名な鷲巣義明氏の解説文の「他の幽霊船映画あれこれ」が面白かったです(こんなタイトルじゃないですが)。幽霊船映画の話なのに、しっかり「ザ・フォッグ」を紹介してるあたり、さすがカーペンター愛好家です(笑)。


<画像の下より、内容について(注・ネタバレ有り)>

   


キャストについての感想で、ジュリアナ・マルグリースのマッチョ度について触れましたが、それが最もよく現れていたのが、「船で起こった惨劇をケイティーに見せられる」シーンですね。かなり壮絶な光景が目前で展開されてるのに、表情を見ると、ちょっと驚いてる程度なんですよね。これ見て「おお、コイツ強ぇ!」とか思ってしまいました(笑)。あの場所から一人で生還したのも納得ですね。

ところで、一体、なぜあの船であんな大量殺戮が発生したのかの理由なんですが・・・。後半、かなり急ぎ足な展開だったんで、何だかよく分からなかったんです(汗)。
とりあえず、悪魔みたいな奴が諸悪の根源で、「金塊をエサにして、それに引き寄せられた欲に駆られた人の魂」をいっぱい集めるのが目的なんでしたっけ?で、この金塊は、舞台のアントニア・グラーザ号が出港した段階ではまだ積んでなかったんでしたっけ?それとも、悪魔の手先のアイツが積んだ?そもそも、ジャックはもともと悪魔が化けていた人なのか?それとも悪魔に操られていただけ?過去のシーンにも出てたから、やっぱり悪魔が化けてるのかな・・・。
どうも、大事なところでつまづいてしまったようです(笑)。敵の正体や目的が分からないんじゃ、ただの殺戮ショー映画ですからね。

ちなみに、この映画の中で、唯一私がゾクッときたシーンは、ラストで沈んだ船から大量の霊が浮遊してくるシーンでした。解放された魂が天に昇っていくという、ハッピー・エンド的なシーンなんですが、周囲に大量の幽霊がいる(しかも水中)という映像は思わず背筋がゾゾッと来ました。
でも、周囲に大量の幽霊が泳いでいるのに、そのど真ん中にいるエップスが相変わらず驚いてないのがさすがです(笑)。

<エンディングについて>
まさに、ホラー映画お約束なラストでしたね。でも、こういうのは大好きです(笑)。エンディングテーマが派手な曲だったのも、この映画に合ってましたね。普通の幽霊物映画なら、静かな、怖い感じの曲を使うところですが、この映画は展開がアクションみたいでしたからね。

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