
監督・脚本:ドン・マイケル・ポール
共同製作:スティーブン・セガール
出演:スティーブン・セガール(サーシャ・ペトロセビッチ)
モリス・チェスナット(ドニー)
ジャルール(ニック・フレイザー)
ニア・ピープルズ(フォーティナイナー・シックス)
トニー・プラナ(エル・フエゴ)
クルプト(トゥイッチ)
マイケル・“ベアー”・タリフェロ(リトル・ジョー)
クローディア・クリスチャン(E・Z・ウィリアムス)
リンダ・ソーン(ジェーン・マクファーソン判事)
ブルース・ワイツ(レスター)
リチャード・ブレマー(ソニー・エックボール)
マイケル・マクグラディ(バッド・アス)
その“ニュー・アルカトラズ”最初の死刑囚レスターの処刑が行われようとしていた。レスターは強奪した大量の金塊をどこかに隠し持っていて、その隠し場所を吐かぬまま、処刑をむかえようとしていた。
そしてレスターは、処刑の前の最後の面会人に、初対面のはずのサーシャを指名するのだった。きっと、サーシャがただの囚人ではなく、セガール拳を得意とするアクション魔神である事を、その存在感から感じ取ったのだろう。
だが、そのレスターの金塊をテロリスト一味が狙ってきたのだ!テロ達によって看守は全員殺害され、どさくさで牢を閉めておく装置が故障し、囚人たちが外に出てきてしまったのだ。
しかし、牢から出たところで、特にする事もない囚人たちは、仲良くバスケットボールに興じるのだった。
一方、レスターに招かれていたせいで事件に乗り遅れたサーシャだが、待ってましたとばかりに大好きな“テロ狩り”行為をおっ始める。
囚人達、テロの一味のカンフー女、サーシャらが暴れ回る無法地帯と化した刑務所内!いったいこの後、どうなってしまうのかぁ!!?
「出演作に怪しげな邦題がつけられる」というセガール映画のお約束通り、「奪還DAKKAN」という、違う配給会社のセガール主演の前作「電撃DENGEKI」をパクった邦題が付けられたこの映画。原題は「ハーフ・パスト・デッド」という、セガールが主演じゃなきゃ、間違いなく原題をそのままカタカナ化しただけの邦題になったであろうタイトルです。
このタイトルの意味は、劇中の字幕によると「仮死状態」という事らしいです。冒頭、セガールが銃撃戦の末、撃たれて22分の間心臓が止まり、死の淵をさまようという事態が起こります。この時のセガールの状態がタイトルになってるわけですね。
これは、刑務所の死刑囚レスターが、これから自分が死を迎えるにあたり、一度死の淵から蘇ったサーシャことセガールに、死の世界とはどんなものかを訊ねる為に処刑室に招く、という展開に繋がっていきます(あらすじでは全然違う事を書いてますが・笑)。
ですが、この件はストーリーにこれ以上は絡んできません。なので、「何でこれがタイトル?」という疑問もあったりします。一応、サーシャはレスターに「死」についての講釈を垂れるんですが、こんな事、セガールなら普段から言いそうな事ですしね(「珍テロ」でも似たような事をトム・サイズモア演じる刑事に語ってましたし・笑)。
どうせなら、「死の淵から蘇ったおかげで戦闘力が向上したのが後に明かされる」とか「超能力を使えるようになった」とかなってくれたら良かったんですが(笑)。
この映画、舞台は刑務所ですが、「刑務所映画」という雰囲気は全くと言っていいほどないです。主役のセガールがムショに入ったその日の夜にテロの襲撃が起こるので、「セガールinムショ」を楽しむ暇もありません。“囚人セガール”がどんな暴れ方をするのかも見てみたかったんですけどね(まあ、入るそうそう、看守をぶん殴るというシーンはありましたが・笑)。
また、全体的にやや雑な感じを受ける作りになっていて、ストーリーも見ていて所々「んっ!?」と思ってしまう個所もあります。
ですが、個々のシーンの中には「おおっ、これは凄い!」みたいなところもあります。なので、「面白いんだけど、練り込みが足りない気がする」という印象です。
これは、製作(最終編集権を持つ職種)に御大ジョエル・シルバーがいないせいなんでしょうか(笑)。
テロリストのリーダーを演じるのは、「暴走特急」でポーターを演じていたモリス・チェスナットです。ただのポーターからテロリストのリーダーとは、かなりの出世ですね。
他、ジャルール、クルプトといったヒップホッパーな人々(何だそれは)も出ています。この映画が全米でヒットしなかったところを見ると、この二人はDMXほど人気が無いらしいですね(笑)。

と、「いかにもセガール的」な要素が結構多く出て来るんですが、見ていて、どうにもセガール映画っぽくない感じがしてたんですよね。これはどうしてなんだろうと考えてみたところ、どうも私の中で「セガール+ヒップホップ」の食い合わせがとてつもなく悪いらしい、という事に思い当たりました。
他の人が見てどうかは分からないですが、私にとってはこの二つの要素は全く合わないもののようです。「電撃」といい今作といい、見ていてどうしても、「この映画にセガールが出ている事自体に違和感がある」という感じを拭う事が出来ませんでした。
でも、一アクション映画として見れば、この配給会社の酷い扱いが納得出来ないレベルの映画ではありました。銃撃戦、爆破、カンフー、と娯楽アクション映画に必要な要素は全て揃ってましたし(笑)、ラストには、ついにセガールが空を飛ぶというアルティメットな見せ場もありました(正確には自由落下ですが・笑)。
上の方で、「個々のシーンには、おっ!と思うようなシーンもある」と書きましたが、具体的には、上記の「フリーフォール泣Vーン(「イレイザー」ほど良くはなかったですが)の他、「セガールとモリス・チェスナットのターザンバトル」、「セガールに投げられた敵の一人がグルングルン回りながら飛んでいく」のシーンが良かったです。
問題点を挙げるなら(映画の空気にセガールが合ってないという個人的な印象を置いておくと)、「敵側の描写が多過ぎる気がする」「敵の計画が杜撰っぽい」「限定空間内アクションなのに、建物の内部の構造とか、敵と味方の位置関係とかが見てて分からない」といったあたりでしょうか。
テロ一味のレスター誘拐計画は何だか適当でしたからね。潜入までは良かったんですが、その後、迎えのヘリは早々に墜落するわ、囚人達を放置しておいたおかげて敵に回られるわとトラブル続きです。
そもそも、金塊の在りかを知ってるレスターが自分の死刑を受け入れているという時点で、もうこの誘拐計画は失敗したも同然ですからね。「死刑の立会いに来ていた女性裁判官を人質にする」というのも、もしレスターがその裁判官の事を恨んでたらどうするつもりだったんでしょう(笑)。
この辺が、見ていて雑な感じがした原因でしょうかね。刑務所内が混沌としていくという展開は面白いんですけど、映像的にはスッキリまとめて映してほしかったです。
それにしても、囚人達は何か楽しそうでしたねぇ(笑)。テロ一味が侵入してきてるというのに、バスケで遊んでたりしてましたからね。何だか、とっても平和な感じがしてしまいました。
サーシャがテロ一味と対決するにあたって、この囚人達と協力するという展開も面白かったですね。しかも、みんな割りと素直にサーシャの言う事に従ってましたし(笑)。
サーシャが囚人達にあっさりと強力な銃を渡してるあたりも豪快でイカしてました。「後に暴動が起こったらどうしよう」なんて心配はこれっぽっちもしてないんでしょうね。
ただ、欲を言えば、セガールなら一人でテロ一味を全滅させてほしかったというのはありますね。と言うか、あのやたら目立ってたカンフー女をあっさり料理するシーンぐらいあって然るべきだったと思うんですけどねぇ。
ところで、サーシャに一人一人消されていく敵さん達の映像は、「ジェイソンX」で、ジェイソンに一人一人葬られていく特殊部隊の姿を思い出してしまいました(笑)。死体を見世物のように吊るさないという違いはありますが。
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