
監督・製作・原案・共同脚本:チャン・イーモウ
出演:ジェット・リー(無名 ウーミン)
トニー・レオン(残剣 ツァンジェン)
マギー・チャン(飛雪 フェイシエ)
チャン・ツィー(如月 ルーユエ)
チェン・ダオミン(秦王)
ドニー・イェン(長空 チャンコン)
だが、そこで秦王が意外な事を口にする。「お前は嘘をついている。」
そう。無名は実は秦王の命を狙う暗殺者なのだ。無名が10年の修行で編み出した、相手まで10歩の距離まで近づければ必ず仕留められるという、必殺技“十歩必殺”。この技を使える距離まで秦王に近づく為に、偽りの物語を語っていたのだ。
では、真実の物語とはいったい?3人の刺客はどうなったのか?そして無名はこれからどう出るつもりなのか?
で、見た率直な感想。
「凄いアクションと奇麗な映像美に驚愕するも、ストーリーが退屈」です。
皆さん言ってる事ですが、映像が凄く奇麗です。奇麗でいて力強いんです。
何が奇麗って、色使いが凄いんです。裏にはその色に色々な意味があったりするらしいですが、そういう観念的な事はよく分かりませんでした。「シックス・センス」で「赤い色には意味がある」と後で監督から言われたところで「ふうん。それで?」と思ったのと同じようなものでしょうかね。
ですが、単純に“視覚的に凄く奇麗な色使いである”、という事はただ見てるだけでも分かる事ですからね。
この“派手で奇麗な色”が中国の荘厳な自然の風景と融合した様は、まさに神秘的な映像美といった感じです。
さらに、CGを始め、いろいろな視覚効果も使ってます。で、その視覚効果のレベルがハリウッドと比べても遜色ないぐらいなんですよね。これは驚きました。
そして、アクションシーンでの動きですが、もうワイヤーでビュンビュン空を飛び交い、グルングルン回りながら剣を振るったりと、もはや異世界の出来事を見てるみたいです。でも、それが“リアルじゃない”なんて考えが出るような次元ではすでになくなってますね。一対一の決闘シーンは、もはや剣術アクションのシーンではなく、伝統芸能か何かを見てるような雰囲気になってるんです。
さらに、この時に背景に流れてる音楽がまた雰囲気出してていいんですよね。太鼓をドンドコ叩いてる音なんですけど、その太鼓のリズムとスクリーンのアクションが見事に合ってるんです。さらに、それに見事な色使いの映像が重なって、まさに“これぞ芸術!”といった感じのシーンになってました。
このように、音と映像は凄い映画です。ですが、ストーリーは正直、かなり退屈でした。特に、物語の性質上、同じシチュエーションのシーンを何回か見させられる場合もあったりして、これにまたエラくテンションを下げさせてもらいました。
もっと酷いのは、「さっき見せられた立ち回りシーンが、実はウソだった」とかなったりする所です。では、さっき戦ってた二人を固唾を飲んで見ていた私は何なんだ、とか思ってしまうんですよね。何か、悪い意味で騙されたみたいな感じです。
ストーリーを追って見るんじゃなく、その場その場の映像美だけを見ていくのが正しい見方なんでしょうかね。
終盤からラスト辺り、けっこうストレートにテーマを描いてくるので、見終わった後は「何か、壮大な物語を見たような気がする」という気になれましたね。
同じくマーシャルアーツ系スターであるドニー・イェンもさすがにいい動きをしてました。ジェットとドニーの対決は、もう“アクションシーン”という次元ではなくなってましたね。素晴らしい。

例えば、『アルマゲドン』のラストのハリー・スタンパーの行動も自己犠牲精神に溢れたものでした。ですが、こちらは、まさに自分が命を懸ける以外に道は無かったわけです。もちろん、ハリーの行動には無名や残剣のような“大義”というものは無かったかもしれないですが、自分の出来る事をやり尽くした後での選択、という事で、あの映画のラストには感動出来ましたけど、この映画ではあまりに安易に死を選んだように見えたために、何か釈然としないものを感じてしまいましたね。
まあ、こんな事を思うのも私の修行が足りない証拠なんでしょう。所詮、私は俗物にすぎない存在ですからね(笑)。
そんな私なので、この映画で印象に残ったのはストーリーやテーマではなく、ジェット・リーVSドニー・イェンの演舞の方でした。アクションや戦いと言うより、演舞の方がしっくりくるような感じのシーンでしたね。
このシーン、何かパッと見た感じ、2Dの頃の格闘ゲームを実写にしたような感じの画になってましたね。そのうち「ラウンド1!ファイト!」という声が聞こえてくるんじゃないかと思ってしまいました(笑)。
この映画のアクションシーンは、「実際には起こってなく、無名の話の中だけで語られる対決」に限り、登場人物が空を飛んだり、空中でグルグル回ったりなどの超人的行動が描写されるんですよね。
ここでのアクションは、場合によって、凄く優雅で華麗な時もあれば、その異常な動きに思わず笑ってしまうような時もありました。
特に、「脳の中で対決する」シーンの映像の中で、対決する二人が無表情で飛び交う様は何か凄かったですね。あまりに凄すぎて失笑しかけてしまいました(劇場内には堪え切れずに爆笑してる人もいました・笑)。
特に、無名と残剣が湖上で跳ね回る場面の映像は思い出すと吹き出してしまいそうです。本来、笑うような場面じゃないんですけどね。
この湖上のシーンが「思わず笑ってしまうシーン」の代表なら、赤い衣装で黄色い落ち葉の舞う中で飛雪と如月が最初に戦うシーンは「息を呑むほど美しいシーン」の代表ですね。いやぁ、このシーンの映像はほんと綺麗だった。あまりの綺麗さに涙が出そうになったほどです(誇張無しで)。 でも、このシーンといい、ジェットVSドニーのシーンといい、どちらも映画の前半部分で出て来るシーンなんですよね。「後半になるともっと凄いシーンが出たりするのかしら!?」とか期待していたんですが、結局、湖上のシーンで吹きだしそうになった以外、特に「これは!!」というシーンは出なかったのが残念です。
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