
監督:アン・リー
原作:スタン・リー
ジャック・カービー
製作総指揮:スタン・リー
音楽:ダニー・エルフマン
視覚効果スーパーバイザー:デニス・ミューレン
出演:エリック・バナ(ブルース・バナー)
ジェニファー・コネリー(ベティー・ロス)
ニック・ノルティ(デビッド・バナー)
サム・エリオット(ロス将軍)
ジョシュ・ルーカス(タルボット)
ルー・フェリグノ(警備員)
その、オールCGキャラ、ハルクの暴れぶりはほんと凄まじいです。一人で暴れてるだけでも迫力はありそうですが、ちゃんと相対する敵が存在するのがいいですね。予告編ではヘリや戦車と戦ってるところが出ましたが、本編ではさらに他の敵も出るんです。この点は予想してなかったので嬉しかったです。
そのバトルシーンの迫力はまさに重量級!な感じで良かったです。例えるなら、「ジュラシックパークV」の恐竜同士のバトルや、「GODZILLA」でのNYの町を駆け回りながら軍の武装ヘリと戦う巨大イグアナ(笑)、これらのシーンの迫力と同じタイプのものですね。暴れてるのがオールCGの存在というのも共通ですし。ただ、これらと違うのは、その暴れてるモンスターが元は人間であるところですね。しかも、この物語の主人公です(笑)。
驚きなのは、ハルクは見た目と違ってやたらと敏捷なところですね。跳躍力もとんでもないです。その機動性は巨大イグアナの比じゃないほどです。ハルクのアクションシーンには重量感だけじゃなくて、スピード感もあるんですよね。
と、ハルク大暴れシーンの迫力は凄いんですが、そこに行き着くまで、ブルースがハルクになるまでがすごく長いです。それも「退屈」の文字が頭に浮かんで来かねないぐらいです。
時間的にはそんなに長くはないと思うんですが(多分1時間ぐらい)、恐らくこの映画を見に来てる人の多くはハルクの大暴れシーンが目当てで来てると思うので、実際の時間よりも長く感じるんですよね。「いつになったらハルクになるんだ」みたいな。
あと、映画が始まって、オープニングクレジットからプロローグが終わるまでは展開が超スピーディなんですが、本編が始まってから急に展開がスローになってしまうんです。スローと言っても、普通のアクション映画程度のスピードではあります。ただ、序盤の展開があまりに速いので遅く感じてしまうんですよね。
でも、このハルク登場前の前半部のシーンは、ブルースがどういう人物なのかをしっかり描かないと、本当にただの怪獣映画になってしまいますからね。ストーリー的には重要なところなので、仕方がないんでしょう。
幸い、ストーリーがつまらないという事はなかったですし、登場人物を演じるキャスティングも良かったので、「ハルクがなかなか出てこない」というのを前もって知っていれば、特に問題なく見られると思います。
この映画、全体的に編集が凝ってます。しかも、やたらと画面分割を使ってきます。つい『ドラゴンファイター炎獣降輪』を思い出してしまうほどです(笑)。でも、この「賑やかな編集」のおかげで飽きずに物語を追う事が出来ましたね。
また、ストーリーはかなりシリアス風味なので、「緑色の巨人が暴れまわる」という非現実な展開が浮いて見えたり滑稽に見えたりしかねないところなんですが、意図的に「笑える画」を所々に挿入していて、これがうまく効いてシリアス感を抑えていましたね。
編集やカット割も含めて、いかにも「コミックの実写」な雰囲気を出してるんです。これで、前半の物語メインの展開から、後半のCGアクションメインの展開に移った際、見てる方もスムーズに、変な違和感を感じずに話を追っていけるんですよね。この辺り、なかなか考えられて作られてるなあと思いましたね。
この映画を見るまでは“ハルク”というヤツにあまり魅力が感じられなかったんですが、映画を見終わった今、「とてもユニークで愛すべきキャラ」という印象に変わりましたね。
セリフも無しで、ただひたすらに暴れてるだけなんですが、それが何かシンプルでいい感じです(笑)。映画を見てる時は、ブルースの意志でやってるわけではない破壊行為という事で、ハルクの行動にどこかもの悲しい感じがあったんですが、今思うととっても気持ちよさそうな感じです。大ジャンプをし、猛スピードで走り、邪魔者をちぎっては投げしている様には“自由”を感じてしまうほどです。ほとんど何の制限の無い存在ですからね、ハルクって。
ハルクに魅力が感じられないと思っていた理由には「オールCGである」というのもありました。CGキャラのアクションを見させられて果たして面白いんだろうかという、映画に対する疑問でした。
オールCGキャラも、脇役で出る分にはいいんですが、ハルクは主人公ですからね。実写映画において主人公がCGというのはどうなんだ?と思っていたわけです。
ですが、この物語の主人公はハルクではなく、“ブルース”なんですよね。ハルク=ブルースなんですが、やっぱりあそこまで変身してしまうと、もう別物に見えますからね。なので、ハルクがCGという事に関して、思ったよりも変な違和感は感じなかったです。
それに、ハルクが暴れてるシーンは、怪獣映画で怪獣が暴れてるのを見てるような雰囲気があるのも良かったんでしょう。怪獣がCG製の映画はこれまでに何作か見てるんで、免疫(?)も出来てますし。
また、そのCGの出来がメチャメチャいいというのも良かったです。顔の表情に動きのなめらかさ、背景との融合具合など、見ててCGの出来に関する違和感なんてほとんど無かったですからね。
ストーリーに関しては、つまらなくはないものの、とり立てて良くもない、という感じでしたが、ハルクの大暴れシーンがよく出来てるので、トータルで見れば「いい映画」と言えると思います。
共演のジェニファー・コネリーはキレイでしたねぇ。ハルクとのツーショットはまさに“美女と野獣”という感じでした。
暴走するハルクの怒りを静められる最終兵器的な役割があるんですが、それもこの人なら説得力が感じられますよね。美人なうえに、眼差しから愛情が感じられるんですから。これじゃあ、私がハルクでも怒りが治まりそうです(一瞬で・笑)。この映画、ヒロインがこの人であったことで、かなり救われてる部分があるような気がします。
あと、最近の女優によく見られる「マッチョ感 」(体格の事ではなく、態度の方)が全く無いのが、今では逆に新鮮な感じでいいですね。
ベティーの父親役のサム・エリオットは、『ワンス・アンド・フォーエバー』に続いて軍人役での登場でしたね。それがよく似合ってるような気がするのは、私がこの人の出てる映画をこの2作しか見てないせいでしょうか(笑)。
ブルースの父親役のニック・ノルティは、髪ボサボサの髭ボウボウという怪しい風体での登場でした。何か、見た目が『ブレイド』のクリス・クリストファーソンみたいです(笑)。
外見も怪しいですが、キャラクター自体、とっても怪しい奴でしたね。

変身後はもう自我があるとは言えないような状態で暴走してしまうわけなんですが、その暴れっぷりは凄まじいばかりなのに、死亡者が(確認出来る限り)たったの一人というのが凄いですね。まるでターミネーターみたいです(「1」以外の)。
変身後も、「やっていい事と悪い事」の区別ぐらいはついてるみたいですね。人を殺してはいけないとか、人前でパンツを脱いではいけないとか(笑)。まるっきりの制御不能ではないんですね。
この映画、全体的にシリアスながら、時折やたらユーモラスなシーンが出て来たりしましたね。特に、確認できる限り唯一の犠牲者、タルボットの死の瞬間はツボにはまりかけました(笑)。
あと、ハルクの行動に対する兵士達のリアクションの中にも笑えるのがありました。軍の研究所内で暴れた時、一人意味無く壁にしがみついてるのがいましたし(一瞬だったので、見間違いかもしれないですが・笑)、ハルクが戦車のコクピット部分を外して、それを逆さにして中の兵士を振り落としてる所も笑えました。砂漠から去って行くハルクを呆然と眺める兵士の後ろ姿も哀愁(?)があって良かったです(笑)。
中盤の巨大犬とのバトルは大迫力でしたね。と言うか、まさかこんな化け物が出てくるとは思わなかったですからね。顔もメチャクチャ凶悪でしたし、攻撃性、敏捷性、どれをとってもT−レックスを越えてそうなほどです。しかも、そんな奴が3匹ですからね。これは恐ろしい。
凄いのは、そいつらの作られた目的が“女一人殺す事”という点です。明らかに戦力過剰(笑)。ここで颯爽と助けに現われるヒーローがデアデビルとかだったら、間違いなくここで死んでたでしょうね(笑)。
主人公カップル、それぞれの父親が重要な役割で出てくるんですが、ハルクを殺そうとしているベティーの父親が、物語の上では、味方とは言わないまでも、敵ではない存在だったのに対し、ハルクを殺すつもりがないブルースの父親が、物語上のラスボスになるというのは面白い展開でしたね。
そう言えば、コミッヒーロー映画のお約束として、敵役の俳優が過剰演技を見せるというのがありますが、ニック・ノルティも一ヶ所、過剰演技をかますシーンがありましたね。
でも、映画を見てる時はそれに気づかなくて、「何か急に派手な演技を始めたぞ」とか思って、戸惑ってしまいました。なぜかと言うと、この映画がコミック原作映画だと言う事を忘れてたんですよね。この辺りはハルクが暴れ回った後に出てきたシーンなので、この映画は怪獣映画だと思い込んでしまってましたからね(笑)。
エンドクレジットはダニー・エルフマンのスコアではなく歌でしたが、『スパイダーマン』よりもあまり耳に残るテーマ曲じゃなかったんで、歌で良かったかな、という気がしました。
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