ハンテッド


超・追跡者

THE HUNTED
03年 アメリカ映画 100分

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:トミー・リー・ジョーンズ(L.T.)
    ベニチオ・デル・トロ(アーロン・ハラム)
    コニー・ニールセン(アビー・ダレル)
    レスリー・ステファンソン(アイリーン)
    ジョン・フィン(テッド・チェノウェス)
    ホセ・ズニガ(モレット)
    ロン・カナダ(ヴァン・ザント)
    マーク・ペルグリノ(ダール・ヒューイット)
    ジェンナ・ボイド(ロレッタ)






<あらすじ>
オレゴン州の山の中でハンターが殺される事件が発生。FBIは犯人追跡のために伝説のトラッカーであるL.T.を現場に呼び寄せた。
L.T.は早速、死体発見現場から続く足跡をトラッキングし、犯人に追いつくことに成功。だが、そこにいたのは、L.T.が軍の教官をしていた時代の教え子、アーロン・ハラムだった。特殊部隊の隊員としてセルビアの戦地に行っていたアーロンは、そこで悲惨な光景を目の当たりにし、精神を病んでしまったのだ。

FBIに逮捕されたアーロンだが、護送車で運ばれる途中、暴れ出して事故を誘発し、横転した車からまんまと逃走に成功した。
今度は市街地を舞台とした、L.T.とアーロンの大追跡劇が始まるのだった。



<見た後の個人的感想>
ハリウッド最強の追跡者トミー・リー・ジョーンズがついに“トラッキング”という最高の追跡技術を習得!そんなトミー・リーが、山中に潜んで人を殺している元特殊部隊員の猛者で、実は昔の自分の教え子を相手に追走劇を繰り広げる!というような映画です。
この、「元特殊部隊員の犯罪者」を「そいつを育て上げた人物が追う」というのは『ランボー(一作目)』を彷彿とさせる設定ですね(トラウトマンはランボーを追いかけはしなかったですが)。なので「最強の追跡者VSランボーもどき」みたいな映画なのかと思ったら、この映画の元特殊部隊員の犯罪者アーロン・ハラムはランボーとは全然違う奴でしたね。
過去に戦地で酷い体験をしているというのは共通してるんですが、アーロンは国に帰ってから「酷い待遇」を受けていたわけではありません。それなのに人殺しになってしまってるんですからね。方やランボーはあんなに酷い目に遭いながらも最後まで「殺人者」にはならなかったんですから。
ランボーに比べたらアーロンは所詮、ただの犯罪者。単なるトミー・リーの敵役でしかなかったですね。この辺りはちょっと物足りないものがありました。
「この映画ではリアルさを求めた」のかもしれないですが、“リアルさ”に関しても、私の目には『ランボー』と変わらないように見えましたし(演出も物語も)。

というわけで、『ランボー』と比べるとどうしても物足りない印象になってしまう映画ですが、別に「これは21世紀の『ランボー』だ!」みたいな宣伝がされてたわけでもないので、例によって私が“製作者の想定していなかった見方”をしてしまっただけなんでしょう(でも、それならトミー・リーとデルトロのキャラ設定をもう少し変えてくれと言いたい・笑)。

ですが、「追跡メインのアクション映画」として見れば充分満足のいく映画です。何しろ、追跡シーンにはかなり力が入れられてますし、何より特撮やらCGやらが一切出てこない、今時珍しいぐらいの生身にこだわったアクションですからね。
撮り方とか音楽とかも、例えば『エネミー・オブ・アメリカ』の追跡シーンと比べても大分違うものになってます。個人的には『エネミー〜』風の派手な追跡劇の方が好きなんですが、たまにはこういうのもアリでしょう。

この映画、“追跡”の他に、“格闘戦”にもかなり力が入れられてます。こちらは出て来るシーンはそんなに多くないんですが、そのインパクトは凄い物がありましたね。
トミー・リーとデルトロがスタント無しで実際に戦うんですが、その動きがほんと凄い!格闘スタイルは『ボーン・アイデンティティー』でマット・デイモンが使っていたのと同じ“カリ”なんですが、あちらは早い編集でかなり誤魔化された感のある格闘シーンだったのに対し、こちらは1カットで技を掛け合うシーンが出てきたりするんです。しかも、それをやってるのがスタントマンではなく、トミー・リーとデルトロ本人というのが凄い。
正直、この二人の格闘シーンを見た時は興奮と同時にショックも受けましたね。だって、トミー・リーがこれだけ動けるんなら、アクション俳優なんてもう必要ないですもんね。
『RONIN』を最初に見た時も、デ・ニーロがアクションではなく演技だけでアクション映画の主役を張ってる姿を見てかなりショックを受けたんですが、その時と同じぐらいのショックをこの映画でも受けてしまいました。
これじゃ、アクション専門の俳優のアクション映画が全然受けなくてビデオスルーになってしまうのもしょうがないかと思ってしまいます。悲しい事ですが(でも、アクション俳優のアクションは、これとはまた違うものなんですけどねぇ・・・)。



<プログラムについて>
今時珍しい、定価500円!しかもメイキングや解説などの読み物もかなり充実していて、読み応えもあります。ストーリーも簡潔で読みやすいですし、カラー写真もそれなりにあるという、プログラムのお手本のような感じの出来です。
ただ、紙の質はさすがにあまりよく無いようですが、別にプログラムに上質の紙を求めてる人なんてそんなにいないでしょうからね。



<画像の下より、ネタバレ有りの感想>

トミー・リーVSデルトロ!   俺がトミー・リーじゃ! 俺から逃げられる奴なんていないぜ! 今回の標的


プログラムの中の、格闘の振り付けの舞台裏みたいなのが書かれている所に、「二人の動きがチャック・ノリスみたいな派手な動きになったので、すぐにNGを出した。実戦でチャック・ノリスのような蹴りを出したらすぐに脚を切られてしまう」というような文章が出てきました。チャックの格闘スタイルにケチをつけるとはいい度胸です(笑)。
まあ、「それだけこの映画は細部に渡ってリアルに作ってるんだ」という事を言いたいようなんですが、なら、終盤、トミー・リー演じるL.T.が滝壷に落下しながら、骨折もせずに生還という、シュワルツェネッガーみたいな真似をしていた事に関してはどう説明するつもりなんだろう(笑)。

ところでこの映画、久しぶりにバイオレンス度が結構高いアクション映画でしたね。最後の二人の切り合いのシーンはもう血みどろになってましたからね。あんなに切られてもまだ動けるものなのかと思うんですが、“リアルさ”をウリにしてる映画なので、きっと動けるものなんでしょう。
ところで、トミー・リーは『沈黙の戦艦』でもナイフバトルをやってましたね。ただ、あちらは相手がセガールだったので酷い目に遭わされてましたが(笑)。



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