ラスト・サムライ


侍魂

<THE LAST SAMURAI>
03年 アメリカ映画 154分

監督・製作・脚本:エドワード・ズウィック
共同製作:トム・クルーズ
音楽:ハンス・ジマー
出演:トム・クルーズ(ネイサン・オールグレン)
    渡辺謙(勝元盛次)
    小雪(たか)
    真田広之(氏尾)
    原田眞人(大村)
    ティモシー・スポール(サイモン・グレアム)
    ビリー・コノリー(ゼブロン・ガント)
    トニー・ゴールドウィン(ベンジャミン・バグリー)
    菅田俊(中尾)
    小山田シン(信忠)
    福本清三(寡黙なサムライ)






<あらすじ>
南北戦争の英雄オールグレンは、近代化の進む日本において、兵隊の訓練をする仕事を任された。
そしてオールグレンと新兵達は、すでに銃を使った戦争の時代の中、いまだに刀と弓矢で襲ってくるという、勝元率いる侍軍団の討伐に向かうが、戦い慣れていない兵隊達はまんまと敗れ去ってしまう。傷つきながらも一人で果敢に戦い続けるオールグレンの姿を見た勝元は、倒れたオールグレンを自分の村に連れて帰る。
オールグレンは村で過ごすうちに、侍の精神に感化されていくのだった。



<見た後の個人的感想>
『座頭市』の感想でも書きましたが、私は時代劇が苦手です。ですがこの映画には「ハリウッドが本気で時代劇を作った。しかも主演は大スター、トム・クルーズ!」という事で、かなり興味を持っていました。
ですがこの映画、もう時代劇というより、ハリウッドの歴史超大作といった感じの映画になってましたね。セットや衣装の豪華さはもう、凄いものがありました。一世紀以上前の横浜港なんて、ハリウッドでしか再現出来ないんじゃないだろうか。
全景を映す所はCG臭かったですが、町並みなんかは実物大セットを使ってるので、かなりの臨場感がありましたね。ちょっと、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の港町を思い出してしまいました。

そして、この映画の一番凄い所は、見せ掛けだけの超大作じゃないところです。サムライの映画ですが、サムライの生き方描いただけでなく、サムライの姿を通して「信念を持って生きる事の素晴らしさ、美しさ」を説いてるような、心に訴えかけてくるものがあるんです。

この映画のテーマは、「他国の文化を認め合う」という事らしいですね。出来上がった映画が観客にどう見えるかは別として、トム的にはそういうテーマの映画として製作したようです。
そのテーマ性はもちろんしっかりと語られているんですが、それだけではなく、もっと色んな事が読み取れる映画でもありますよね。私がこの映画を見てどう思ったかは、上に書いた通り「信念を持って生きる事の素晴らしさ、美しさ」という事を思いましたが、他にも、「日本万歳映画だ」という見方も出来ると思いますし、「侍魂を描いた映画」という見方もあるでしょう。
舞台が日本であり、内容がいわゆる“時代劇”という事で、多分、この映画を最も楽しめるのは日本人ではあると思います。そして、「日本人が忘れかけていたことを思い出させてくれる映画」という面もあると思います。
でも、この映画のストーリーやテーマ、思想自体は、他の国が舞台でも語れる普遍的な内容のものだと思うんですよね。だから、世界中の人が見ても楽しめる映画なんじゃないかと思います。
ただ、内面がどうであれ、外見は日本の時代劇である為、日本や日本人について特別に悪い感情を持ってない人に限られる事と思いますが(アメリカで思ったよりヒットしてないのは、この辺に原因があるような気がする・笑)。
あと、日本人でも、歴史に詳しい“だけ”の人には細かい気になる点が色々あったりするらしいですけどね。

ストーリーはとってもよく出来てる映画ですが、それだけではありません。アクションシーンの迫力も、これまた凄いレベルなんです。スタッフに『グラデイエーター』や『ブレイブハート』に関わっていた人がいるため、その両映画と同等のクオリティがあるんです。それプラス、その両作と違って、アクションシーンにおけるバイオレンス度がかなり抑えられているんで、変に構えたりせずに、素直に見ていられるというのもいいですね。
剣劇シーンでは、日本の時代劇で見られるような「チャンバラ」とは訳が違う剣術アクションが出て来ます。もう、そのスピードが早いのなんの。あまりに早すぎて何が起こってるのか分からないシーンもあるぐらいです。しかも、それはそれで、すぐ後に「回想シーン」という形で、今のアクションをスローで振り返るという、とっても珍しい演出も出てくるんです。
そして、トムを始めとする出演陣の刀さばきが凄いんです。リアルなのかどうかは分からないですが、見ていて迫力のある構えや動きをしていました。
終盤には大規模な合戦シーンも出てくるんですが、ここも「よく撮ったものだ」と感心せずにはいられないようなものです。この“アクションシーンのレベルの高さ”は、私の想像以上でしたね。
そして、そんな激しいアクションシーンが出て来たと思うと、ほとんど何も起こってないような静かなシーンが出て来たりもします。この辺の静と動のバランスは考えてやったものなんでしょうね。これがいゆわる、ワビサビというやつに違いない(よく分からないけど・笑)。
ストーリー展開は特に遅くはないんですが、この静のシーンがある事で、映画の約2時間半の尺が、時間通り長く感じたりしてしまうんですが、まあ仕方がないでしょう。


さて、私は日本人ですが、はっきり言って当時の日本の事や武士道の事など、トム・クルーズ始めこの映画のスタッフに比べたら何も知らないに等しいぐらいです。
そんな私がこの映画の“サムライ”を見て思ったのは、「サムライって、ジェダイみたいで超クールだな」でした。
・・・・・・もしかしたら私は、アメリカ人に生まれた方が良かったんじゃないんだろうか(笑)。

そんな私なので、日本が舞台の映画ですが、出てくる日本人は今の我々とは時代も考え方も違う人達ですし、舞台や背景なども今の日本とはほとんど別世界なものなので、「異国の話を見てる」ような感じもありましたね。オールグレンが見たり感じたりするカルチャーギャップは、そのまま見てる自分にとってもカルチャーギャップでした。「朝起きてから、全てにおいて完ぺきを目指す」みたいな生き方はまさにアメージングです。
私にとっては、むしろ主人公が外国人だからこそ、このサムライの時代の話を楽しく見れたような気がします。



<キャストについて>
主演のトム・クルーズは、さすがに大スターだけあって、2時間半の映画を見事に引っ張っていってましたね。しかも、スターとしての主演だけでなく製作にも携わってます。この映画の全てに全力を注いでいたことが演技や映画そのものからも感じられましたね。ほんと、大した男です。
あと、演技に関しても、もしかしたらこれまででベストワークなんじゃないかと思うぐらいの名演を見せてくれましたね。アクションシーンでも迫力あるアクション演技を披露していました。これは、過去の『M:i−2』でハード・アクションを経験した事が活きてるような気がしますね。
このトムの演技は確実に映画の質を高めていたと思います。一般的には、「トムが渡辺謙に食われてる」という見解のようですが、私の眼中にはトムしか入ってなかったですね(笑)。

日本人キャストの2大サムライ、渡辺謙と真田広之ですが、真田広之の方は何かの映画で見てる気がするんですが、渡辺謙の方は、多分、この映画で初めて見たと思います。過去に何をやっていた人かも知らないんですが、「最後のサムライ」である勝元役はほんと、見事でした。しかも、向こうの人が見ても良かったらしく、ゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネートされたようです。きっと、この人の英語は、ハリウッドスターの日本語よりも上手いんでしょうね(笑)。



<プログラムについて>
定価800円。表紙が2枚あるという変わった仕様です。
内容は、イントロダクション、ストーリー、プロダクションノート、キャスト・スタッフのプロフィールという定番メニューの他、トム、渡辺謙、真田広之、監督のエドワード・ズウィックのインタビュー、映画の解説、トムの解説、衣装についてなどの読み物が有り。映画では触れられなかった、武士道の教えが付いてるのは嬉しいところです。
写真が多いんですが、どうも、他のプログラムの写真と比べて、かなり色がクッキリしてるような気がします。



<画像の下より、ネタバレ有りの感想>

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