
監督・製作:プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演:トニー・ジャー(ティン)
ペットターイ・ウォンカムラオ(ジョージ)
プマワーリー・ヨートガモン(ムエ)
スチャオ・ポンウィライ(コム・タン)
チェータウット・ワチャラクン(ペン)
ルンラウィー・バリジンダークン(ンゲク)
ワンナキット・シリブット(ドン)
ジョージは、ティンが村のみんなから預かった金を持ち逃げし、賭け試合に全額つぎ込んでしまっていた。ティンは金を取り戻す為、やむなくムエタイを披露するのだった。
昔のジャッキー映画のような、生身のアクションにこだわった映画です。宣伝でも、ワイヤーもCGも早回しもスタントマンも何も使わず、主演俳優の肉体アクションのみで勝負してる事をしきりにアピールしていました。
私は格闘アクションは好きですが、ただアクションが凄いだけでなく、映画として面白く見られるものの方が好きです。さらに、香港を始めとする、アジア方面の映画は割りと苦手だったりします。私がジャッキーの初期主演作をあまり見てないのもそんな理由からでした。
なので、例えアクションのレベルが下がっていようと、香港のアクション映画よりもハリウッドのアクション映画の方が好きなんですよね。例え、もともとアクション派じゃない人が主演のアクション映画でも、です(あまりにもアクションの似合わない人にやられると困りますが)。
と言う訳で、この『マッハ!』にはほとんど期待していませんでした。せいぜい、格闘アクションが凄い程度なんだろうから、ビデオ待ちにしても充分だろうと。
ですが、周囲の評判があまりにいいんで「やはり見ておくべきなのか?」と迷ってるところに掲示板で強く勧められたので、思い切って行ってみる事にしました。
そしたらまあ、主演のトニー・ジャーなるタイ人は、来て見てビックリの本当に凄いアクションを繰り広げてました。格闘技術だけでなく、走ったり飛んだりといったアクションも、もはや人並以上なんてレベルじゃないぐらいです。この身体能力の高さはまに超人級ですね。
この映画でトニーが使う格闘スタイルは“ムエタイ”という、一風変わったものです。で、これがまた、膝とか肘とかをバシバシ使うんで、見ていて痛々しい事この上無かったですね。しかも、寸止めとかアングルで当ててるように見せるとかじゃなくて、実際に当ててるもんだから、もう、さらに痛々しさ倍増です。
ですが、まさにマッハなスピードの飛び膝蹴りとか、高いジャンプから脳天に肘を落とす技とか、痛そうだけど華麗でしたね。特に後者の、高いジャンプからの振り下ろし攻撃は、似たような動きを『トロイ』のブラッド・ピットがやってましたね。元がミーハーな性分のせいか、カッコいいのはピットの方だなとか思うんですけど、凄いのはやっぱりトニーの方でしたね。やっぱり、本物は凄いです。
「本物は凄い」と言えば、『マトリックス』でトリニティが使ってた通称スコーピオンキックの“本物版”をトニーが見せてくれましたね。
肝心の「映画として面白いかどうか」ですが、まあ例によってあまり面白くないストーリーが付いてるんですが、映画全体で、アクションシーンの占める割合が相当多いのが良かったですね。
かなりシリアスチックなストーリーなんですが、あまり面白く無いギャグが出て来るよりは退屈せずに見てられるんで、これも良かったです。
あと、アクションシーンが、ムエタイによる格闘アクションだけでなく、体術を駆使したスタントアクションからカーチェイスとバリエーションがありますし、格闘アクションの方も、一対一の戦いから、一対複数、武器を使った戦いなどいろいろ変化があるので飽きさせません。
そして、そのアクションシーンの“見せ方”も良かったですね。何しろ、「アクションのやれない人のアクション」と違って、編集で誤魔化さなくてもいいせいか、技をちゃんとワンカットで見せてくれるんで、とっても見やすかったです。恐らく、アングルなんかもかなり考えた位置なんでしょう。それに、トニーが決め技を使った後、ほとんどのシーンで「リプレイ」が出てきてましたね。その、技を決めた瞬間のシーンを、別のアングルからスローでもう一回見せてくれるんです。
このように、トニーの超絶アクションをただ出してるだけでなく、それを“いかに魅せるか”というのに力を入れられてる映画なんです。これは、数ある格闘アクション映画の中でも、かなりの出来の映画と言えそうですね。
実は、映画本編を見る前に、テレビでこの映画の特番をやったのを見ていて、それでどんなシーンが出るのかを事前に知っていたんですが、やっぱり劇場の大画面で見ると迫力が全然違いますね。それに、ただアクションのシーンだけを見るより、ストーリーを追って見て、途中で挿入されるアクションシーンを見た方が燃えますからね。
主人公が「むやみにムエタイの技を使うな」と教えられてるせいか、唐突にアクションが始まるわけじゃなく、なにかきっかけがあって始まるんですよね。まあ、そのきっかけのほとんどは誰か弱い者が攻撃されてるのを見て、という所から始まるんですが。でも、これこそまさに正しい暴力の使い所です(笑)。見てる方も「そんな悪党、叩きのめしてやれ!」とトニーを応援してしまいますし、実際、トニーもその悪党を凄い動きの凄い技で叩きのめしてくれますからね。
また、この特番で目立ったアクションシーンはほぼ見てしまったものの、「何度見ても凄い」というレベルのものなので、事前に出るシーンを知ってたという事にはほとんど問題は無かったですね。それに、特番ではやらなかったアクションもまだまだ出てきましたし。
町中を走って逃げながらいろんな障害物を飛んだりくぐったりするシーンは、確かほぼ全てのアクションを事前に見て知っていたんですが、それでも驚きがありましたからねぇ。多分、後にDVDで見直した時も驚くような気がします(笑)。まるでスパイダーマンのアクションを実写でやってるかのようなアクロバティックさでしたね。
格闘アクションの凄い人は他にもいますけど、他の、体を使ったアクション全般が凄い人は滅多にいないですからねぇ。トニー・ジャー、まさに貴重な存在です。
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