マッチスティック・メン


MATCHSTICK MEN

MATCHSTICK MEN
03年 アメリカ映画 116分

監督:リドリー・スコット
製作総指揮:ロバート・ゼメキス
音楽:ハンス・ジマー
出演:ニコラス・ケイジ(ロイ・ウォラー)
    アリソン・ローマン(アンジェラ)
    サム・ロックウェル(フランク)
    ブルース・アルトマン(ドクター・クライン)
    ブルース・マッギル(チャック・フレシェット)
    シーラ・ケリー(キャシー)





<あらすじ>
潔癖症の詐欺師ロイに、14歳になる娘がいた事が判明した。
アンジェラという名前のその娘とひょんなことから一緒に住む事になったロイ。カーペットに土足で上がったり、部屋を散らかしたりするアンジェラに手を焼くが、不思議と神経症の発作は起こらなかった。

古美術商と自分の職業を偽っていたロイだが、ある日ついに、自分の仕事が“詐欺師”である事を打ち明ける。だがアンジェラは「私にも詐欺のやり方を教えて」と言い出してきた。しかも、教えてみると、意外にも“騙し”にかなりの才能と素質を見せるのだった。

そんな時、詐欺の相棒フランクと共に計画していた、あるお金持ち相手の詐欺の決行の日が突然早められたという連絡が入る。本来、決行の時にはもう一人仲間を見つけていないと出来ない仕事なのだが、今からでは仲間を見つける時間は無い・・・・・・。
そこでロイはアンジェラを現場に連れていってしまうのだった。



<見た後の個人的感想>
「あなたはきっと騙される!」みたいな宣伝をされ、さもラストにとんでもないどんでん返しがある事を匂わせていた映画です。確かにラストにはとんでもない“騙し”が待っていました。
「何と、今まで見てきたニコラス・ケイジが実はCGだった!」
・・・・・・というのはウソです。本当は、
「実はこの映画の監督はトニー・スコットの方だった!」
・・・・・・というのももちろんウソです。でも、本当にそんなオチが待っていたらさぞや驚いた事だと思います。ですが、この映画の本当のオチには“驚き”というのはほとんどなく、ただ“騙された!”と思うだけというオチです。
なので、この部分に期待していた人にとっては、「割合、読みやすいオチだった」というのも含めて、見終わった後に怒る可能性がありそうな気がします(幸いにもそういう感想を目にしないのは、監督の人徳か)。

ですがこの映画、決して「観客を騙すのが目的で作られた」という映画ではありません。ラストのどんでん返しも含めて、ストーリーを楽しむ映画です。ストーリーとはすなわち、主人公の再生のドラマです。なので、監督の技巧を楽しむタイプであるシャマランの映画とは全然違うタイプですね。
そして、オチの分からなかった人、もしくはどんでん返しがあるなんて知らずに見ていた人も、途中でオチに気付いた人も、どっちのタイプの人も楽しめるように出来てる所がこの映画の凄いところです。
監督のリドリー・スコットは、この映画を監督する事に決めた理由として、「脚本が素晴らしかった」というような事を言っていました。確かに、素人目に見てもとってもよく出来た脚本だな、という感じはしましたね(ただ、面白いかどうかは別問題・笑)。


この映画、潔癖症の詐欺師が主人公の話で、しかも自分の事を「詐欺のアーティスト」と言ってたりする奴です。でも、詐欺シーンはあんまり出てこなく、メインに描かれるのは、潔癖症にいかに苦しんでるかというのと、突如として現われた14歳の娘との生活の方です。
ですが、私には神経症も潔癖症も無いですし、14歳の娘がいる年齢でもありません。なので、主人公への感情移入と言うか、身になって考えてみるという事が出来なかったですね。そのせいか、ちょっと物語にのめり込めないものがありました。
少なくとも、「突然14歳の娘が現われる」という状況になる事を自分に置き換えて考えて見ることが可能な年齢だったらもっと面白く見れたのかな、という気はします。

ちなみに、コン・アーティストの腕前をもっと見てみたかったですが、これはそういう映画じゃないんで仕方が無いですね。



<キャストについて>
主演のニコラス・ケイジは相変わらず上手いですね。時折オーバーアクションを混ぜたりと、その演技を見てるだけでも楽しいです。

アンジェラ役のアリソン・ローマンは、何と実際は24歳!なのに14歳の役をやっていて、そんなに違和感が無いとは凄い。女優版マイケル・J・フォックスか(笑)。
ミス・キャストであるなんてことはこれっぽっちも思わないんですが、なぜこの役に10代の俳優をキャスティングしなかったのかがちょっと謎ではあります。

共演のサム・ロックウェルは、どうも今後もアクション映画に出たりとかしなさそうなので興味無し(笑)。



<プログラムについて>
定価600円。内容は定番メニューのみという、可も無く不可も無いつくり。こうなると、600円が高く感じられてくる・・・。



<画像の下より、ネタバレ有りの感想>

潔癖症の詐欺師 娘に詐欺を教えている所 詐欺仲間



私はこの映画を見る前に「期待の映画コーナー」においてオチを予想していました。「実の娘だと思っていたのが実は娘でも何でもなく、詐欺師の主人公が騙される」という予想です。
パーフェクト!とまではいかないものの、90%は当たってましたね。正確には娘以外にも騙していた人物がいたわけなんですが、映画を見る前の前知識のみからの予想としては100%をあげてもいいぐらいですよね。
で、「娘が娘じゃなかった」となると、その娘の登場に関わった他の人物も怪しくなってくる・・・。という事で、ロイが真相に気付く前に、私はこの映画がどこに向かおうとしてるのかの想像がついてしまいました(エピローグの、スーパーのレジの女とくっつく所まで想像出来ました)。
ですが、この映画に何かしらのどんでん返しがあると分かっていたら、多分、誰しも考え付く事ですよね。アンジェラの母親(ロイの元妻)が不自然なまでに全然姿を見せないとか、ヒントも結構多く出てましたし。
ただ、これは「オチが読み易くてつまらない」というわけでは決してないんです。何しろ、観客を騙すのが目的の映画じゃないんですから。この映画は、神経症の詐欺師という困った人間が、最終的には人間らしく生きる方向に進み始める様を描いた映画なんですよね。で、それを“どんでん返し付きコメディ”として料理したわけです。

オチを予測して見ていたので、ロイがアンジェラや精神科医に簡単に大事な貸し金庫の場所や番号を教えている辺り、「こいつは何てお人よしなんだろう」と思ってしまいました。「人を信用するな」と自分で言っていたのに、本人は騙されまくっているとは、“騙すのはうまい”けど、“騙されるのは苦手”という性格なんでしょうかね。
まあ、ロイは普通の詐欺師ではなく、“神経症の気のある詐欺師”ですからね。こういう、精神の病気があるところと騙され易いというところは多分、つながってるんでしょうね。
ともかく、今回の大騙しに遭って以降は、他人に対して多少の猜疑心を持つようになって、もう簡単には騙されなくなっている事でしょう。潔癖症が治ったというのも含めて、ロイの人生は全て良い方向に向かったというわけですね。

さて、実際に親子のような感情の芽生えつつあった感じのロイとアンジェラ(偽名)ですが、ラストでのアンジェラの態度は本心なんでしょうか、それともやっぱり演じてるだけなんでしょうかね。
アンジェラに、例えば「片親で育ったので、父親という存在に憧れがあった」みたいな過去の話が語られてなく、完全に謎の人物であるという事で、アンジェラのロイに対する感情は、本当なのかウソなのかが見てる人の解釈に委ねられてるんですよね。
で、私は・・・・・・、「全部演技。ロイに父親のような感情なんて一切持ってなく、単なるカモに過ぎない」と、想像していました。なので、見終わった後しばらくは、主要人物の中でロイ以外は全員嫌な奴なんだと思っていたので、映画自体の印象もあまりよくありませんでした。ラスト辺りでは、もうアリソン・ローマンの顔も見たくなかったので、アンジェラが出てきた時は心の中でブーイングをしたものです(笑)。
ですが。いったいフランクがどこでこんなプロの詐欺少女をスカウトしてきたのかが謎だという事に思い当たりました。アンジェラの今までの態度が“全部ウソ”となると、これはもう、かなりの腕前の詐欺師という事になるわけですよ。いくら騙され易い相手だったとはいえ。
でも、そんな天才を簡単に見つけてこれるわけがない。という事は、アンジェラは天才詐欺師ではなく、フランクに金で釣ら轤黷スだけの家出少女か何か、という事になるんでしょう。ならば、これまでのアンジェラのロイに対する態度は決して全部ウソでは無いと言えるわけですよね。
こんなの、普通は疑問にも思わない箇所だと思うんですが、私がアンジェラを信じるのにここまで考える必要が出てしまいました(笑)。
きっとロイもこの辺の事に気付いてたから、ラストはあんなに爽やかに別れる事が出来たんでしょうね。
ちなみに、ラストでアンジェラと一緒にいた男は、「絶対、カモだな」と思ってました。一番安いカーペットを買おうとしていたところから、この男が貧乏だという事が示されていたわけですが、私は「絶対ウソだ。アンジェラ(偽名)がそんな貧乏人と一緒にいるわけがない」なんて事を思ってました。
でも、これも思い込みだったんでしょうね。詐欺から完全に足を洗ったのかどうかは分からないですが、少なくともこの男とは真面目に付き合ってるんでしょうね。
さて、ロイを騙した黒幕のフランクの方ですが、きっと相棒のコン・アーティストを失った事で、どこかでボロを出して酷い目に遭ってる事でしょう、と予想します(笑)。ロイは騙されるのには弱かったですが、騙すのは天才的だったようですからね。
エンドクレジット直前辺りで、「詐欺師逮捕される」という見出しでフランクの顔写真の出てる新聞とかが映ってくれたら良かったんですけどね。まあ、ここも観客の想像に任せている箇所なんでしょう。


どうでもいい話ですが、詐欺のシーンにおいて、人を騙している段階までは分かるんですが、その後、どうやって金をせしめているのかが見ていて分かりませんでした。
チャックへの詐欺はトランクをすり替えただけなので分かるんですが、映画が始まって最初にやった詐欺や、アンジェラがおばさんを騙したところは、どうして騙した側に金が入って来たのかさっぱり意味が分かりませんでした。きっと私は詐欺には向かないんでしょうね(単純に、理解力の問題かも・笑)。



<エンディングについて>
映画を見終わってすぐに書き留めておかなかったせいで、エンドクレジットで流れた曲がどんなだったのか忘れてしまいました(爆)。



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