
監督:ゴードン・チャン
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
製作総指揮:ジャッキー・チェン
出演:ジャッキー・チェン
クレア・フォラーニ
リー・エヴァンス
ジュリアン・サンズ
ジョン・リス=デイヴィス
クリスティ・チョン
アレクサンダー・バオ
アンソニー・ウォン
去年の『シャンハイ・ナイト』や『タキシード』等で「やはりジャッキーも寄る年波には勝てないか」と思ったものでしたが、完全なアメリカ映画ではなく、製作に香港も絡んでるこの映画で、まるで去年とは別人のような若返ったアクションを見せてきました。
さて。今回の『メダリオン』の、「メダリオンのパワーで超人的な動きが出来るようになる」というのは、『タキシード』の、「タキシードを着ると超人的な動きが出来るようになる」という設定とよく似てますが、映画としての面白さからアクションの迫力まで、『タキシード』とは段違いでしたね。多分、『タキシード』が本来やろうとしてた(もしくは、やらなければならなった)のはこういう映画だったんじゃないかと思いますね。
まず設定からして、「メダリオン・パワー」の方が「タキシード・パワー」よりも凄いですからね。演じてるのがジャッキーなんですから、どうせVFXを使うんならこれぐらいのスーパーパワーアップをさせないと面白くないです。
そして、コメディリリーフのレベルの違いというのもありますね。『タキシード』はジェニファー・ラブ・ヒューイットがヒロイン兼コメディリリーフでしたが、『メダリオン』は、ヒロインとは別に本物のコメディアンを持って来てるんで、笑いの面でも『ラッシュアワー』に迫るぐらいのものがありましたね。
ヒロインは『ザ・ロック』とか『ジョー・ブラックをよろしく』等に出ていたクレア・フォラーニですが、なぜか今回はマッチョ・ヒロイン化していてカンフーを披露します。
そしてコメディリリーフは『マウスハント』や『メリーに首ったけ』に出ていたイギリス人コメディアンのリー・エヴァンスです。ちなみに、私はどちらの映画も見てますが、この人の名前も顔も特に記憶していなかったせいか、てっきりこの映画で初めて見る人なのかと思って見てました。なかなか芸達者だったので、間違いなく本職のコメディアンだろうとは思っていたんですが、後でプログラムで『マウスハント』に出てた事を知って、「ああ、あいつか!」と思ったものでした(『メリー〜』の方は何の役で出てたのか覚えて無いですが・笑)。
で、この人、「ジャッキーとの掛け合いが面白い」というのではなく、あくまでも個人技で笑いをとりに来てたという感じでしたね。これまでの共演者の中では、オーウェン・ウィルソンよりはクリス・タッカーの立場に近いタイプですかね。そのせいか、例によって、一般には「邪魔」という評価を受けてるらしいですね(笑)。個人的には、この手のコメディアンとジャッキーの相性が「良い」と感じるタイプなので、『メダリオン』でのこの人の仕事には大いに楽しませてもらいましたけどね。
ところで、この映画において、ジャッキーがワイヤーを使うのは、メダリオンのパワーを得てからなのかと思ってたんですが、その前から普通に使ってましたね。と言うか、ジャッキー以外の人達も普通に使ってましたし。どうやら、誰も彼もがワイヤーで飛べる世界らしいです。
そんな、ワイヤー当たり前の世界でメダリオンのパワーを得たジャッキーは、今度はVFXを使ったスーパーパワーアップをし、『マトリックス』や『ザ・ワン』で出て来たような、“大ジャンプ”とか“拳で固い物を破壊”とかが出てくるんです。ここまでパワーアップするとは思ってなかったので、ちょっと驚きましたね。
ジャッキーがVFXアクションを使う“スーパージャッキー”に変身するのは中盤頃からなので、それまでは「これまでのジャッキーアクション+ワイヤー」といった感じのアクションを見せてくれます。まあ、この時点ではワイヤーはそんなに使って無いので、ほとんどこれまでのジャッキーアクションと同じですね。
そしてスーパー化してからは「マトリックス風味」なアクションが出て来ます。
いつものアクションとVFXアクションを真ん中で分けたのはいいですね。一粒で二度おいしいような感じにさせてくれます。
さて、後半のスーパージャッキーによるアクションですが、これまで、同じような「マトリックス風味」なVFXアクション映画が作られてきましたが、アクションのレベル、と言うか見応えはその中でもトップクラスでしたね。
個人的な解釈ですが、こと“VFXアクション”においては、俳優の力量以上に、「どう魅せるか」という、監督のアクション演出の力量が問われる事になると思うんです。例えば、「『マトリックス』のVFXスタッフが結集したジェット・リー主演作」があったとして、そのアクションシーンが必ずしも『マトリックス』より凄くなるとは限らないわけですね。
本当に動ける人がVFXアクションをやる場合、むしろVFXを使って無いアクションシーンの方が圧倒的に凄いという事になりがちなんですよね。多分、“VFXアクション”の見せ方がなってないので、結果、特に見せ方に拘らない、主演俳優の生身アクションの迫力に負けてしまってるんでしょう。
まあ、この「見せ方」なるものも、「映像スピードの変化のタイミング」だとか「VFXアクションを入れるタイミング」とか「カメラアングル」とか、そういう非常に細かい、しかも個人の好みにもよるようなものではあるんですけどね。
で、この『メダリオン』のVFXアクションの見せ方はかなり良かった部類だと思います。やはり、監督が香港人で、アクション監督がサモ・ハンなせいなんでしょうかね。異常な早回しで訳が分からなくなってる箇所もありましたが、そこすら致命的にダメだとは思わなかったですからね。
あと、ジャッキーとVFXの意外な相性の良さもかなり助けになってましたね。ただ人より凄いアクションが出来るだけでなく、“視覚的に映えるアクション”の出来る男ですからね。上の異常な早回しシーンですら、「ジャッキーがVFXに溺れてる」という印象が感じられなかったですからね。やっぱり凄い奴だぜ、ジャッキー!
ちなみに、以前『リローデッド』の感想で、「ジャッキーb代表とする生身アクションの逆ベクトルで最高」というような事を書きました。ですが、あの映画の出演者の中にジャッキーの真似を出来る人はいないですが、ジャッキーの方はやろうと思えば『リローデッド』の真似事を本家以上にやりこなせる事が今回判明してしまいました。
もう50代のジャッキーですが、ウォシャウスキー兄弟並の映像センスを持った監督の映画に出れば、まだまだ凄いアクション映画に出る事が出来るんですね。
私にとってこの『メダリオン』は、そういう夢を持たせてくれる、非常に意味と意義のある映画でしたねぇ。
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