パッション


THE PASSION OF THE CHRIST
04年 アメリカ映画 127分

誰も描けなかった、真実ゆえの衝撃。

監督・製作・共同脚本:メル・ギブソン
音楽:ジョン・デブニー
出演:ジム・カヴィーゼル(イエス・キリスト)
    マッティア・スブラージア(大祭司カイアファ)
    マヤ・モルゲンステルン(イエスの母マリア)
    モニカ・ベルッチ(マグダラのマリア)
    ホリスト・ナーモヴ・ショポヴ(ローマ帝国の総督ピラト)
    クラウディア・ジェリーニ(ピラトの妻クラウディア)
    ルカ・リオネッロ(イスカリオテのユダ)
    ロザリンダ・チェレンターノ(サタン)
    フリスト・ジヴコヴ(ヨハネ)
    フランチェスコ・デ・ビート(ペトロ)
    ヤレス・メルズ(クレネ人のシモン)
    ファビオ・サルトール(アベナデール)
    ルカ・デ・ドミニチ(ヘロデ王)
    セルジオ・ルビーニ(善き死刑囚ディアマス)
    フランチェスコ・カブラス(ゲスマス)




<あらすじ>
「私は救世主だ」と言い始めたイエス・キリストは、大祭司の怒りを買い、十字架に掛けられる事となる。



<見た後の個人的感想>
救世主 この映画、多分、宗教映画以外の何物でもないような作りの映画だと思います。何しろ、キリストがどこから来たのかとか、なぜ自分が救世主だと思うようになったのかとか、なぜあんなに酷い罰を受けねばならないほどに憎まれているのか、といった、普通の映画なら描いて然るべき背景が全然語られません。
「当然、皆さんは聖書をお読みになっていらっしゃるんでしょうから、そんな当たり前の事は描きません」と言わんばかりです。もちろん、そういう前提で作られた映画なんですから、この点を批判するのは筋違いですけどね。

では、聖書など手に取った事すら無い、「キリストって誰?」といった人はこの映画を全く楽しめないのかというと、そんな事はありません(「キリストって誰?」まで行ってる人はさすがにダメかもしれないですが・笑)。現に、私自身、宗教には全く無関心であるにも関わらず、この映画を見て「凄い映画だった!」と思えましたからね。
何が凄いって、その圧倒的な残酷描写です。鞭で打たれてえぐれる肉の描写なんて、まさに「スプラッター」です。普通の、革の鞭で叩く描写でもかなり痛々しいというのに、この映画で出てくる鞭はまさに殺傷用凶器といった感じのとんでもないものですからね。ナタやチェーンソーに匹敵するぐらい強烈な「ホラー・ウェポン」だと言えそうです。
そう、この映画、宗教に関心の無い私の目からは、「ホラー映画」に見えましたね。見た目の残酷シーンもさる事ながら、その残酷な行為を“笑いながら”やっているローマ兵なんて、狂ったサイコ野郎以外の何者でもないです。しかも、狂っているのはローマ兵だけでなく、もう、この町全体が狂気に包まれているかのようでした。一人の人間を徹底的にいたぶっている様を見て喜んでいる群衆の姿はもう異常極まりないです。

イバラの冠 ここまでで終わっても充分凄いサイコ・スプラッター・ホラーでしたが、この映画、ただ狂気と残酷を描写するだけでなく、愛や慈悲の精神の素晴らしさをも描いているんです。
これまでのホラー映画の主人公は、「逃げる」か「反撃する」以外の行動をとった試しが無いですが、この映画の主人公はさすがキリスト様だけあり、何と、この狂った殺人鬼共を許し、こいつらの為に祈ったりもするんです(磔にされながら)。もう、これまでのホラー映画の登場人物とは格が違いますね(まあ、本当のホラー映画で殺人鬼の為に祈ったりしたところで、あっさりぶち殺されるだけで終わりになるでしょうが・笑)。
ともかく、この映画を見てしばらくは、「ささいな事は許してあげねば」という気になりますね。

それにしても、このキリストという人、噂通りの凄い人でしたね。これなら、敬われるのもよく分かります。ですが、これで「僕も明日からキリスト教徒になろう!」とはこれっぽっちも思わないですけどね。
確かに、この映画を見る限り、キリストの「隣人を愛せ」的精神は素晴らしいと思いますし、出来る事なら取り闢れたい思想ではあります。でも、それは「キリストの考え、教えに影響を受ける」のであって、「キリストを信じる」とはまた別の話です。
実は、この映画を見て強く思ったのは、「神を信じるという事は本当にいい事なのか?」という事でしたからね。何しろ、キリストがあんな目に遭わされたのは、要するに、大司祭が神の教えを忠実に守ろうとした事が原因でしたからね。キリストを迫害してる連中もみんなそうです。「神の教えだから」という事で、あんな事を平気でやってるわけなんですよね(鞭を振るってる連中は趣味でやってるんだと思いますが)。
そう考えると、何か「神を信じる」という行為は、凄く危険な事のような気がするんですよね。神の教えとやらに、いい具合に影響を受けるのならいいですが、傾倒し信仰する、となると、途端に危険な香りが漂い始めるような気がします。

十字架 ですが、多分、このユダヤ人達が崇めてる神様は、「一人の人間に笑いながら鞭を振るってもいい」とも「大勢で罵り、石を投げ付けてもいい」とも教えてないと思うんですけどね(違ったらすみません)。
神様自体が人類を導く素晴らしい思想を持っていたとしても、信者がそれを曲解し、自分に都合のいいように解釈してる可能性があるというのが怖いところです。
あと、神を信じてる人達が人殺しをする時の大義名分としている“異教徒”という言葉も、神様ではなく、信者が勝手に作り出した差別用語なんだと思いますしね。「人を殺してもいい」と教えてるのは、神様ではなくて、むしろ悪魔の方でしょうからね(違ったらすみません・笑)。

もちろん、信仰心を持ってる人、全てが怖い人だなんて言う気は全くありませんよ、念のため。



<プログラム情報>
・定価700円。全26ページ。プログラムサイズ”普通”
・イントロダクション2ページ
・ストーリー1ページ
・主な登場人物紹介1ページ
・映画の解説2種(2ページ、1ページ)
・宣教師による「「パッション」をよりよく理解するためのQ&A」2ページ
・プロダクション・ノート3ページ


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