ペイチェック 消された記憶


記憶を売った報酬=19個のガラクタ。
すべての鍵はここにある

PAYCHECK
03年 アメリカ映画 118分

監督:ジョン・ウー
原作:フィリップ・K・ディック
音楽:ジョン・パウエル
出演:ベン・アフレック(マイケル・ジェニングス)
    アーロン・エッカート(ジェームズ・レスリック)
    ユマ・サーマン(レイチェル・ポーター)
    ポール・ジアマッティ(ショーティ)
    コルム・ティオール(ウォルフ)
    ジョー・モートン(フランシス・ドッジ捜査官)
    マイケル・C・ホール(クライン捜査官)




<あらすじ>
コンピューター・エンジニアのマイケル・ジェニングスは、企業の極秘依頼を受けては、任務完了後にその期間の記憶を“消去”して報酬を貰うという仕事をしていた。
ある日、マイケルは、旧友であり大物企業家のレスリックから、3年がかりというかつてない期間の仕事を依頼される。3年分の記憶を消すのは大変な危険が伴う事なのだが、その報酬も莫大な為、マイケルは「これを最後にこの仕事を引退しよう」と決め、レスリックの仕事を引き受ける事にした。

3年後。仕事を終え、記憶の消去も無事に終了したマイケルを予期せぬ事態が襲う。何と、貰えるはずの報酬は、“自分の意志で”キャンセルされていたのだ。さらに、仕事前に預けていた私物が返却されたのだが、自分の私物が入ってるはずの茶封筒の中には自分の物ではない19個の品々が入っていたのだ。そしてこれも、どうやら自分で入れたものらしいのだ。
頭を捻るマイケルだが、今度はFBIやレスリックの部下の殺し屋に追われる事となる。いったい、この3年の間に何があったのだろうか?



<見た後の個人的感想>
火星の夢を見るベン・アフ(ウソ) 『ブレード・ランナー』『トータル・リコール』のフィリップ・K・ディック原作の映画ですが、内容は同じくディック原作の『マイノリティ・リポート』のような「誰でも逃げる」系のサスペンス・アクションです(何だそりゃ・笑)。
この映画の監督がジョン・ウーである事を考えると、ジャンルが同じサスペンス・アクションなら、スピル監督の『マイノリティ〜』の方が絶対に面白いと思いがちですが、ところがどっこい。サスペンスとアクションのバランスに関してはこちらの方がはるかに上でしたね。
『マイノリティ〜』は、アクションシーンがほとんど一ヶ所(前半から中盤の間ぐらいに)しかなく、アクションを期待して見た私はとんだ肩透かしを食らったものでしたが、この『ペイチェック』は前半の短い逃亡シーンに中盤のチェイスシーン、終盤の銃撃戦と、アクションシーンが定期的に、映画全体にバランス良く配置されているんです。なので、アクションを期待してみても満足出来ますし、サスペンスストーリーに関しても期待通りのものを見せてくれます。
興行成績、一般の評価とも、『マイノリティ〜』の方がダントツと言っていいぐらい上ですが、アクション派の私としては『ペイチェック』の方が好印象でしたね。出来れば、こっちにトム・クルーズが主演してほしかったぐらいです(笑)。

ベン・アフも逃げる! この映画、アクションはもとより、そのストーリーもとっても面白いです。主人公が過去3年分の記憶が無く、「その間に何があったのか?」という謎が出てくるわけですが、その間の詳しい状況は観客にも知らされません。その為、主人公と一緒に謎を解いていく、みたいな雰囲気が感じられて、ストーリーを追って見てるだけで凄く楽しいんですよね。
キーとなる「19個のガラクタ」ですが、ピンチの時にそのうちのどれかを使うと、その危機を乗り越えられたりするんです。ガラクタと言うり、アドベンチャーゲームのアイテムみたいなものですね。
そして、このアイテムを「どこで、何を使うのか」というのを考えながら見るのもまた面白いです。

ところで、ジョン・ウーと言えば、“2丁拳銃”だとか“銃撃戦の際のダンスのような振り付け”だとか“スロー処理”等といったトレードマーク的演出を思い浮かべますが、今回、これらはかなり鳴りを潜めていて、そんな場面があったかどうか思い出せない程です。なので「ジョン・ウーらしさ」というものは多分無いと思います(ベン・アフの意向もあって、“銃の突きつけ合い”だけはしょっちゅう出てきましたが)。ただ、ハトは飛びましたけどね(笑)。
ですが、『フェイス/オフ』でやっていたような、「銃撃の最中に意味も無く回転する」とか「穏やかな曲が背景でかかりながら、スローの銃撃が繰り広げられる」といった演出を見て、むしろ「普通にアクションを撮ってくれよ」ぐらいの事を思っていた私にとって、ウーらしさの無い今回のアクション演出は逆に好印象だったりします。
思えば、ハリウッド進出後のジョン・ウー監督作で私が一番好きなのが、スタジオやプロデューサーの意向に押されて思うように映画を撮らせてもらえなかった(らしい)頃の『ブロークン・アロー』なので、どうやら私は「ウーらしくないウー監督作」に惹かれるらしいです。

バイクで逃げる! さて、今回、『フェイス/オフ』の時のように、元々は近未来なストーリーだったところを、現代に置き換えたストーリーとして映画にしました。
そのせいで「記憶消去マシンなんて大層な機械が現代にあるのか?」という疑問が出てくるはずなんですが、この点に特に違和感を持たせないんですよね。
『フェイス/オフ』でも、顔をそっくり入れ替えるという凄い技術が出て来ましたが、その技術よりも、「顔が入れ替わった後のドラマ」に力を入れていました。この映画も「記憶を消去された後の主人公のドラマ」こそを描いているので、その原因やキッカケなどに矛盾や疑問があったところで、そんな所、特に気になったりはしないんですよね。
こういう、凄い技術のある世界を、現代の話として展開させてしまうというのは、ユニークでもあり、凄い事のような気もしますね。



<プログラム情報>
・定価600円。全26ページ。プログラムサイズ“普通”
・イントロダクション、ストーリー各1ページ
・主要キャスト3人と監督のインタビュー各1ページ
・解説1種類1ページ
・19のガラクタ一覧2ページ
・プロダクショノート4ページ


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(下の方にネタバレ有りの感想があります)
















計20個のアイテムは、ジェニングスが“未来を見る装置”で自分に降りかかる危険を見て、それを回避する為に入れたものなんですよね。では、もしこのアイテムを残さなかったら、記憶消去後のジェニングスはどうなっていたんでしょうか。
と考えてみると、多分、「FBIに逮捕されたまま、逃げる事が出来ない」という結果になったんでしょうね。そこで、その光景を見たジェニングスは、その危機から抜け出せる為のアイテム「ニセ無煙タバコ」を入れる。
これによりFBIから逃げ出したジェニングスだが、次はバス停で取っ捕まってしまった。そこで、その光景を見たジェニングスは、対策の為にバスの券を入れる。

という事を繰り返して、合計19のアイテムが集まったわけなんですね。何とも、手間のかかる仕事でしたなあ(笑)。それに、いくら未来が見えるとはいえ、“降りかかる危機から救ってくれ”、しかも“持っていても悪い奴から怪しまれない道具”を見つけるなんて、並大抵の事ではないでしょう。
でも、ジェニングスの脳は普通の人とは構造が違うんでしょうね。何しろ、精密機械の完成品から、すぐにバージョンアップされた複製品を作ってしまえるんですからね。

ですが、最後の危機である、「ラボの廊下で銃弾に倒れる」を防ぐアイテムは入れてないんですよね。これは何故なんでしょう。
結果的に、腕時計のアラームと爆発を利用して切り抜けましたが、この未来が「未来を見れるマシーン」で見られなかったのはどうしてなんでしょう。ここがポイントと思って注意して見てたんですけど、結局分かりませんでした。
「アイテムを入れなかった理由」は、何を入れても、それによって何らかの不都合が結果的に起こってしまうらしいので、敢えて入れなかったのか、単に時間が無くて、ここに来るまでに起こる危機へのアイテムしか入れられなかったのか・・・。
どうも最近、見た後に謎の残る映画が多い気がするんですが、私のおつむのせいなんでしょうかね(笑)。

話は変わりますが、主人公のジェニングスは、何故か棒術が得意という設定になってましたね。『リローデッド』に『バレット・モンク』と、最近、主人公が棒術を披露するアクション映画が多いんですが、向こうでブームなんでしょうかね。
まあ、個人的には、棒術アクションは好きなので、どんどん使ってほしいです。でも、たまには本気で上手い人に使わせてほしいところではありますが(笑)。



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