ソウ


SAW
04年 アメリカ映画 103分

ショックの限界を超える“ソリッド・シチュエーション・スリラー”

監督・原案:ジェームズ・ワン
脚本・原案:リー・ワネル
出演:ケイリー・エルウィズ(ドクター・ローレンス・ゴードン)
    リー・ワネル(アダム)
    ダニー・グローバー(タップ)
    モニカ・ポッター(アリソン・ゴードン)






<あらすじ>
目が覚めたら、暗く狭い、地下室のような老朽化したバスルームに監禁されていた二人の男、ローレンスとアダム。二人は、対角線上の部屋の隅に、それぞれ足を鎖でパイプに繋がれていた。
そして、部屋の真ん中には、銃を持ち頭から血を流している死体が一つ。

実はこれは、猟奇殺人犯“ジグソウ”の仕掛けた死のゲームなのだった。今までにジグソウに捕まり、生きて帰れたのは一人しかいない。
そして、今回のゲームの“生き残る条件”は、「ローレンスがアダムを殺す事」だった・・・。



<見た後の個人的感想>
『ソウ』ポスター、いろいろ編 とにかく怖く、見ていて神経に障るようなストーリーの映画だと聞かされていたので、「どんなに恐ろしい映画なんだろう」とビビリながら見に行ったんですが、何か、至って普通のスリラー映画でしたね。ジャンルが普通のスリラーと違って“ソリッド・シチュエーション・スリラー”というだけで。でも、“ソリッド・シチュエーション・スリラー”って、どういう意味?(笑)

もちろん、怖くもあれば面白くもある映画だったので、変に構えてなければ普通に楽しめた映画だったとは思います。ただ、個人的には、このインディペンデント臭の漂う作風には馴染めないものがあったりなかったり・・・。

今回、残酷なシーンのカットされてるバージョンでの上映だそうですが、この映画に残酷シーンがあったら、ただのスプラッターになりそうな気がしますねぇ。
本編中、何度か「ここを映像でしっかり見せてきたら辛いなぁ」と思うような痛々しい展開になりかける箇所があったんですが、そこをうまく見せないでいてくれました。多分、完全版はこの辺りのどれかを「映像でしっかり見せる」という形になっていたんだと思いますが、もしそうなってたら、見終わった後に印象に残るのは、ストーリーよりも残酷シーンの方になったような気がしましたね。

ストーリーにおける「心理的な怖さ」の部分も、一回見ただけではよく分からなかったです。いや、もちろん、主人公の置かれてる状況は「もし自分がああいう状況におかれたら!」と思うと恐ろしいものですが、それは別にこの映画に限った事ではないですからね。
その、恐ろしい状況に置かれた主人公を、スクリーンの向こう側から客観的に見ても怖さを感じられるか、という点において、この映画の怖さはそれほど真に迫るものではありませんでした。2ヶ所ほど「おお、怖えぇ!」と思った場面がありましたが、どちらも主人公の絡まない場面なうえに、すぐ終わってしまいましたし。
この映画、思うに、怖さを味わう映画というよりも、若手クリエーター二人が短期間でこんな映画を撮りあげたという事情を汲んだうえで、その新たな才能の凄さを味わう、的な映画という感じでしたね。要するに、私の苦手なタイプの映画なんですが、ジャンルがホラーチックなのが良かったのか、あんまり嫌味に感じられなかったのは幸いでした。

否定的な事を多く書いてしまいましたが、ラストは「おおっ!すげぇ!」とか思いましたね。
前半部分の所々に、どことなくアルジェント的な匂いが発せられていたような気がしたんですが(どんな匂いだ・笑)、パンフに載っていたインタビューで、監督がアルジェントを崇拝してる事が判明。あれは意識的なものだったのか。
思えば、この映画のラストの驚きは『サスペリア2』のラストの驚きに近いものがあったかもしれないですね。
もうちょっとハッタリを効かせた展開を出すようになったら、第2のアルジェントになれる逸材かもしれないですね。頑張ってほしいものです(本人が目指してるのはそっち方面じゃないかもしれないですが・笑)。



<プログラム情報>
・定価700円。全26ページ。プログラムサイズ“小”
・イントロダクション&映画へのコメント2ページ
・ストーリー、ほぼ全ページに渡り、各ページの下部に数行づつ
・映画の解説2種、各2ページ
・プロダクションノート4ページ
・ジェームズ・ワン&リー・ワネルのインタビュー4ページ
・超ネタバレ画像見開き1ページ


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(下の方にネタバレ有りの感想があります)
















『ソウ』ポスター、謎の殺人鬼編 「犯人は、常に最前列で見ている」というのが前半で語られていましたが、てっきり、あのマジツクミラーの裏に隠されていた監視カメラが、今回の最前列に相当するのかと思ってましたね。いやぁ、まんまと騙されました。
何しろ、医者が疑問を持たないぐらいなんだから、真ん中の人は絶対死んでるものだと思いますよね。

ところで、今回のジグソウのゲームですが、どうも、これまでの中で、「一番映像化しても怖く無いエピソード」だったような気がしますね。あの「唯一生き残った女性」が体験したゲームが一番視覚的にも精神的にも辛いものでしたよね。どうせなら、こっちを映画にして欲しかったですね。例えば、女性の設定を「ジグソウを追っている、死というものに無頓着な刑事」に変えて、中盤辺りでジグソウにとっ捕まって、ああいう状況に置かされると。ついでに、演じる女優も美少女系の人に変えて・・・。ああ、でもこれだと完全にアルジェント映画になってしまうか(笑)。

今回、元リーサルウェポンの相棒ことダニー・グローバーが、執念でジグソウを追う刑事に扮していましたが、その行動にちょっと分からない点がありました。
アダムを使ってローレンスを隠し撮りさせていたのはダニー演じるタップだったわけですが、この行為の理由は、「ローレンスをジグソウだと思ってるから」なのか「いつかジグソウがローレンスに近づいてくるはずだと踏んでいたから」なのかがよく分かりませんでした。どっちだったんでしょう。

『ソウ』ポスター、エロセクシー編 いずれにせよ、もしタップが、犯人と思われていた雑役係を倒す事に成功していたら、ハッピーエンドになっていた可能性があったんですよね。
ローレンスが「毒入りタバコを使ってアダムを殺害する」という手を使って早々にゲームにケリをつけたとしても、多分、ジグソウはローレンスを解放しなかったと思うんですよね。これまでにジグソウに捕まった人は、自分や他人の命を軽んじている節のある人々で、このゲームにより、命の大切さを教えてやろう、という目的がありましたが、ローレンスとアダムには特にそういう点が無かったわけですからね。
ゲーム中に「本人が最前列で見なくてもいいような“ゲームの中のゲーム”」、要するに、「外で雑役係がローレンスの妻子を殺す事」を盛り込んでいたりと、今回はこれまでのゲームとは完全に異質なんですよね。目的は「ローレンスへの復讐」もしくは「嫌がらせ(死を伴う)」だったんでしょう。動機はかなり薄弱でしたけど(アダムは単なる巻き添えですね)。
そんなジグソウの歪んだ企みを唯一阻止出来たかもしれないのが、タップだったんですよね。あそこでやられてなければ、二人が監禁されてる部屋まで辿り着けたでしょうし、死体に扮してるジグソウは、武器は「鎖に電流を流すスイッチ」しか持ってないんですから、外から誰かが救出に入ってきたら成す術がないわけですし(せいぜい、死んだ振りを続けるぐらいで)。
ほんと、ハッピーエンドまでもう一息だったんですけどねぇ。タップにプレデターと対戦した時の若さとガッツがあればと悔やまれます。ああ、プレデターと戦ったのはタップじゃないのか(笑)。



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