
監督・脚本:ダミアン・ニーマン
音楽:クリストファー・ヤング
出演:スチュアート・タウンゼント(ヴァーノン)
ガブリエル・バーン(ミラー)
サンディ・ニュートン(ティファニー)
シルベスター・スタローン(ディーン)
ジェイミー・フォックス(ジェニングス)
メラニー・グリフィス(イブ)
ハル・ホルブルック(ザ・プロフェッサー)
ダイナ・メリル(カジノオーナー)
パトリック・ボーショー(マリーニ)
『マッチスティック・メン』『コンフィデンス』のような、“騙し”“どんでん返し”が重要なキーワードとなる映画です(注・実は『コンフィデンス』は見てないんですが、予告編からして、この類いの映画っぽい)。今はこの手の映画がちょっとした流行なんでしょうかね。ですが、実はこの映画の製作は、前記の2作より早いんですよね。それが、蔵に入っていたばっかりに、公開が一番遅れてしまいました。
また、ポーカーでの勝負がメインに描かれる、ギャンブラーの映画でもあります。ポーカーというゲームも、いかに相手を騙し、出し抜くか、みたいな所に面白みのあるゲームらしいので(やった事ないのでよく分からないですが)、“騙し”“どんでん返し”“ポーカー”の合わさった、かなり手ごわい映画であると予想出来ますね。
そしてその通りの手ごわさを見せ、私なんかは映画が終わった時点で、頭の中は?マークで埋め尽くされているような状況でした(笑)。
誰かが誰かを騙そうとしている話、という事は分かるんですが、「なぜコイツを騙そうとしたのか」とか、「何でそんな事をする必要があったのか」とか色々と分からない点が噴出し、最終的には「この映画は何だったんだ?」という段階まで行ってしまいました。いわゆる、「映画に完敗!」というやつですね。もう、自分で言ってる事もよく意味が分かりません(笑)。
ですが、もちろんストーリーが『撃鉄』みたいに複雑怪奇だというわけではありません。ほとんどの謎は二度目の鑑賞で解決出来ましたし、ちゃんとそれらしい伏線(らしきもの)も要所要所に散りばめられているようです。
要するに、私の理解力が足りなかっただけという話ですね(笑)。
映画のキーワードの一つである“騙し”ですが、メイン登場人物がほぼ全員詐欺師だったりイカサマ師だったりするので、みんな何かしら企んでいらっしゃいます。その企みがストーリー上に現れてる時もあれば、「こんな言動をしてるが、裏では別の事を考えているのでは?」と思わせるような所もあったりと気が抜けません。
もう一つのキーワード“ポーカー”ですが、実はこちらは“騙し”に比べると扱いが小さいです。という事を、最近『ラウンダーズ』を見直して気づきました。あちらは完全にポーカーがメインの映画で、ポーカーにとって“心理戦”がいかに重要な要素なのかを描いていましたが、この『シェイド』ではそこまでポーカーについて真摯に語ってはいないような印象です。
何しろ、主人公がイカサマ師ですからね。心理戦云々ではなく、「いかに騙すか」の方に重点が置かれているので、ゲームもほとんどやらせ試合ばっかりです。“心理戦の『ラウンダーズ』”に比べ“騙し合いの『シェイド』”といった感じでしょうかね。
さて、この映画にはもう一つ重要なキーワードがあります。それは“スタローン”。
そう、我らがスタローン御大が、主人公と敵対する大物ギャンブラーの役で登場するんです。出てくるのは映画が約半分程過ぎた辺りと遅目なんですが、もう出た瞬間、映画が別物に変わったかのような印象があるぐらいの存在感を出していましたね。
主人公にとっては倒すべき敵という立場ではあるんですが、どうも“悪役”という印象は無い役でしたね。何しろ、主人公の邪魔をしたりと、悪さをするわけではないですからね。ただ“ポーカーで無敵”という人物です。
そして、このスタローン演じるディーンという男、実は、天才的な“イカサマ師”なんです。もちろん、普通にポーカーをやっても強い男です。ハッタリの使い方なんかも絶妙なものがあるんでしょう。そして、それプラス“イカサマ”を用いているが故の無敗伝説なんでしょうね。
その技は、特殊なカードを使ったり、袖口から“イカサマシーン”でカードを出したりといったものです。ちなみに、対する主人公もイカサマ師ですが、こちらはまさに神業のカードすり替えテクニックを持っています。その技術は、もはや、イカサマ師というより、手品師みたいです。
さて、そんな無敗のディーンですが、最近は勝負に対する熱意を失って来たとかで、引退を考えているようなんです。この辺の、ディーンの心情を吐露するセリフ、もしかしたら、実際のスタローンもそういう事を思ってたりするんだろうかと考えてしまいますね(まあ、スタローンが考えたセリフではなく、脚本家が考えたセリフなんでしょうけどね)。
でもスタローン自身も、引退とまではいかないまでも、少なくとも若手と張り合う、という事はもう考えてないような最近の作品選びです。
ともかく、ディーンはそういった人間的な背景が語られたりするので、ただ強いだけのキャラクターではないんですよね。通常のボスキャラ以上に魅力的なキャラクターです。出来れば、スピンオフを作ってもらいたいぐらいですね。いかにしてディーンが現在の地位にまで登って来たのかが語られる、「ディーン最強伝説」のストーリーを見たいものです。
何気に、ディーンの若い頃のシーンというのも出て来るんですが、そこで若ディーンを演じてる俳優がなかなか二枚目だったというのもポイント高かったです(喋ると声がスタローンというのも高ポイントです・笑)。
←メニュー画面に戻る(下の方にネタバレ有りの感想があります)
で、2度目の鑑賞ではこの辺に注意して見てみたんですが、それでだいたいの事は分かったような気になりました。
まず最初の疑問ですが、この、ディーンに挑むという事自体、前々から計画していた事だったんですね。なぜディーンが標的なのかと言えば、かなりの額の動くゲームなので、勝てば普段の詐欺で得ているような金よりも、もっと大量な金が手に入る、という事なんでしょう。
そして、そのディーンに勝てる唯一の男を見つけた。それがヴァーノンだった、という事なんだと思います。
ティファニーの件ですが、密告によってミラーの前に現れた組員に、ミラーが「騙し取った8万ドルを、さらに2万プラスして返す」と言っていましたが、このプラス分を少し分けてもらおうと企んだんじゃないかと思いました。
詐欺のカモとしてティファニーが選んだジェニングスですが、実はマリーニ組の金の運び屋をやっているという事をティファニーは知っていて選んでるんですよね。もう、最初っから仲間をハメるつもりだったんでしょう。
一方、ヴァーノンの方ももともと仲間をハメるつもりでいたようです。実は、仲間をハメよb、と思ってなかったのは、一番汚いと思ってたミラーだけだったんですよね。
ヴァーノンが仲間二人を騙そうと考えた動機ですが、どうもティファニーの「すぐに人を騙そうとする性格」にあるような気がしますね。以前は付き合っていたが、ミラーに鞍替えされた、みたいな感じの過去もあるようでしたし。
あと、ヴァーノン自身、もうイカサマ師をやめたいという思いがあるみたいなんですよね。そして、イカサマ師ヴァーノンを育てたのがミラーらしいので、ミラーを騙す事はヴァーノンの今後の進路にとって意味と意義のある行為だったのかもしれないですね。
と、当初の疑問にはだいたいの解答を見いだす事が出来たんですが、どうしても分からないところが残りました。
それは、ヴァーノンとディーンの関係です。これについては劇中、何の伏線も出て来てない(と思う)んですよね。なので、全て想像で片付けるしかない状況です。が、あまりに情報が無いので、その想像も難しいです。
最後の二人のやりとりを見る限り、「もしかしたら、知り合いなんじゃないのか」という気はしないでもないんですよね。全くの想像ですが、以前に二人は戦った事があり、そのヴァーノンの実力を見てディーンは引退を考えるようになったんじゃないだろうか。
ですが、「ディーンは本気の勝負ではイカサマは使わない」というようなセリフがありましたが、実際は特殊カードを使ってましたからね。と言う事はヴァーノンを二流と見ていたわけです。まあ、これはミラーとティファニーを騙す手段だった可能性はありますが(そう思った方がしっくりくるような気も)。
「ヴァーノンがディーンのイカサマを見破った」というのは、ミラーとティファニーにとって、イザという時にフトコロから掛け金を出させる動機に繋がりますからね。
このように、ヴァーノンとディーンの関係がどんなものであれ、最後の2人の白熱の一騎打ちは、どうもヤラセの気配濃厚ですね。「最後に観客をも騙す」という考えなのかもしれないですが、あれだけドキドキしながら見ていた対決がヤラセというのは、どうもやり切れない思いがありますな(笑)。
このヴァーノンとディーンの一騎打ち、完全にヤラセ無しで、二人とも得意のイカサマを使いまくった真剣勝負だったらかなり白熱しただろうと思うんですよね。一見、カードを自在に操れるヴァーノンが有利かと思いますが、ディーンは「イカサマシーン」とかを使って、「密かに有利なカードに交換」といった事もやれそうですからね。
そういった、二重三重の読み合いのある対決になりそうな気がするんですが、そういう心理戦の要素はこの映画では出て来ないんですよね。まあ、何しろ“騙し”がメインの映画ですからね。