
監督:デビッド・ドブキン
製作総指揮:ジャッキー・チェン
音楽:ランディ・エデルマン
出演:ジャッキー・チェン(チョン・ウエン)
オーウェン・ウィルソン(ロイ・オバノン)
ファン・ウォン(チョン・リン)
エイダン・ギレン(ラズボーン卿)
トーマス・フィッシャー(アーサー・ドイル)
ドニー・イェン(ウー・チャウ)
アーロン・ジョンソン(チャーリー)
チョンはイギリスに行く為に、現在ニューヨークで暮らしているロイに預けてあった財産を返してもらいに行く。
ニューヨークの高級ホテルで再会するチョンとロイだが、ロイはチョンの財産を怪しげな投資などで使い果たしてしまっていた。
金も尽き、ホテルのボーイで生計を立てていたロイは、こんな生活を続けていても仕方が無いとばかりに、チョンのイギリス行きに同行する。そして、二人はイギリス行きの船に密航。易々とイギリス上陸を果たすのだった。
チョンとロイのコンビは、前作よりもさらに友情度が深まって、息もピッタリといった感じです。ただ、『ラッシュアワー』における、“ジャッキーの体を使ったアクションとクリス・タッカーの話術の見事な融合”みたいな、コンビの個性の違いが映画的な面白さに繋がっている、という印象はあまりなかったですね。あくまでも「脚本上、息が合っている」という感じで。
まあ、コンビ映画においては『ラッシュアワー』が稀な例みたいなものでしょうかね。あそこまで「違う能力を持った者のコンビ」を面白く魅せてくれた映画はそうはお目にかかれないです。何しろ、あの能力の違いは設定上のものではなく、役者本人のキャラクターや得意な技術によるものですからね。
さて、ジャッキー映画といえば、ジャッキーの超絶スタントアクションですが、それもここ数年はすっかり鳴りを潜めてしまっています(『アクシデンタル・スパイ』が最後でしょうか)。
この映画も例に漏れず、これまでジャッキーがやってきたような「凄いスタントアクション」は出て来ません。宣伝では「ジャッキーアクションの集大成!」と言われてますが、その宣伝文句を信じてるファンなんてきっと誰もいないでしょう(笑)。
それに、私はもう今のジャッキーに危険なスタントは別に望んでないですけどね。大怪我とかされたら大変ですから。
また、超絶スタントアクションの他、カンフーアクションも、この映画ではほとんど出て来ません。もちろん、敵をパンチしたりキックしたりはするんですが、見ていて「カンフーアクション」という印象が無いぐらいのものです。
では、アクションシーンでは何をやっているのかというと、「小道具を使ったアクション」です。これもジャッキー映画では必ず出てくるものですが、これまでは「小道具を利用したカンフーアクション」という感じでしたが、この映画ではそれから「カンフーアクション」の要素を引いた感じになってます。
「じゃあ、つまらないのかな」と思うのは早計です。この、カンフーの要素の無い小道具アクションがまた面白いんです。昔の、サイレント映画の時代の、バスター・キートンとかチャップリンとか、そういう人達の映画を現代に蘇らせたような、そんな感じが出ているんです(ちなみに、バスター・キートンの映画はビデオ屋で見ないので、まともに見た事がありません)。
これは、この映画全てのアクションシーンに言える事で、他にも、有名映画のアクションシーンのパロディみたいなのも飛び出してきます。
何か、ジャッキーアクションの新たな可能性みたいな感じがして、かなり好印象です。実は『アクシデンタル・スパイ』のアクションには少々マンネリな感じがあったんですが、この映画にはそれが感じられなかったんです。アクションのレベルは確実に下がって来ているというのに。
これは、歳をとったピッチャーの技巧派転向みたいなものでしょうかね。アクションのキレは落ちても、小道具アクションの芸術性は全く損なわれていないんです。それどころか、これまでとはまた違った面白さも出てきましたからね。
そうそう、カンフーの要素が下がった事で、アクションシーンから暴力的な感じがさらに無くなってるような雰囲気がありましたね。これなら、「映画の中の暴力が見る人に与える影響」を憂いてる人も納得でしょう。ただ、共演のカンフー女が代わりに敵を殴る蹴るしてるんですけどね(笑)。
あ、そうそう。この映画の宣伝で「ジャッキーVSドニー・イェン、夢の対決!」というのがありますが、決してこの部分に期待をかけてはいけません。二人のカンフー対決を撮るつもりなんて、この映画の監督には全く無いみたいです(本人がそんな事を言ったわけではないですが、あのシーンを見るとそうとしか思えない)。
「ジャッキーにあまりカンフーを使わせない」というコンセプトなのかもしれないですが、せめて一騎打ちのシーンぐらい、カンフーを使わせてもいいんじゃないかと思うんですけどねぇ。
チョンの妹、リン役のファン・ウォンは、『ラッシュアワー2』のチャン・ツィーとどこが違うのか分からないぐらい、見かけも中身も似た存在でした。まあ、リンは敵の殺し屋というわけではないですが。
それにしても、向こうの女優はみんなカンフーが出来るんですかね(偏見)。
敵のボスはエイダン・ギレンという人の演じるラスボーン卿ですが、もう一人、ウー・チャウという敵がいます。で、こいつを演じるのがドニー・イェン。敵役にドニーなんて、本来なら喜ぶべきところですが、ジャッキーとの対決シーンは、上で書いた通り、ほとんど対決になってないような状況です。これなら、むしろ出ない方が良かったような気もしますね。余計な期待をしないで済むんで(と言うか、どうしてちゃんとした対決シーンを用意しなかったのか、理解に苦しみます。ドニーのスケジュールの都合とかでしょうか)。

カンフーはそんな感じでしたが、小道具アクションのキレは相変わらず凄かったです。特に今作、「小道具アクション」というより、「小道具大道芸」又は「小道具エンターテイメント(何だそりゃ)」みたいなレベルになってましたね。
特に、イギリスに着いた最初のアクションシーンはほんと凄かった。凄いプラス見てて楽しい事この上無し。まさに芸術ですね、あれは。素晴らしい。
ここで、傘を使ったアクションで『雨に唄えば』を思わせる動きをちょっとしてみる辺り、まさに「小道具エンターテイメント!」です。
こんなような、他の映画のパロディと言うか、オマージュ的なシーンが他にも何点かありましたね。
ニューヨークのホテル入り口の回転ドアのシーンも、古のとある無声喜劇映画を参考にしてるようですし、どうも市場のシーンとか蝋人形館のシーンのアクションにも元ネタがあるのがありそうな気がする(気がするだけですが・笑)。
ところで、ラズボーン卿の部屋の暖炉が回転して隠し部屋に行くのは、絶対『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』が元ネタだと思うんですが、どうでしょう。スイッチが女形像の胸の部分というのは『魔宮の伝説』でしょうか。あと、逆さ吊りにされたロイが上がったり下がったりするシーンも『魔宮の伝説』ですよね、きっと。
隠し部屋にある高価なツボを割らないようにするのは、もしかしたら『ラッシュアワー』へのオマージュでしょうか(笑)。
アクションの元ネタではなく、「人物の元ネタ」というネタもありましたね。シャーロック・ホームズの誕生秘話とか、チャップリンの動きはチョンの動きがモデルだとか。特に、「チャップリンの芸の元ネタがジャッキー」というのは面白いですよね。
ところで、この映画で一つ、とっても気になる点がありました。
中盤辺りに出てきた、チョンとロイが美女達と枕投げをして大はしゃぎする、あのシーン。ここに“謎のオヤジ”が紛れ込んでたんですけど、あれ、誰?(笑)
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