
監督:アントワン・フークア
音楽:ハンス・ジマー
出演:ブルース・ウィリス(A.K.ウォーターズ大尉)
モニカ・ベルッチ(リーナ・ケンドリックス)
コール・ハウザー(レッド)
イーモン・ウォーカー(ジー)
ジョニー・メッスナー(レイク)
ニック・チンランド(スロー)
チャールズ・イングラム(シルク)
ポール・フランシス(ドク)
チャド・スミス(フリー)
トム・スケリット(ロード大佐)
フィオルナ・フラナガン(シスター・グレイス)
マリック・ボーウェン(サディック大佐)
サンミ・ロティビ(アーサー・アズーカ)
合流地点に着いたウォーターズは、何とか騙してリーナを先にヘリに乗せると、一緒に来た難民達をそのまま置き去りにしてヘリを飛び立たせてしまう。
これでもう任務は完了である。だがウォーターズは「本当にこれでいいのだろうか?」と思い悩んでいた。
そしてヘリは、リーナ達のいた村の上空にさしかかかった。だが、そこには驚くべき光景が広がっていた。なんと、ウォーターズ達が発った後、村に反乱軍が来たらしく、残った人々が全員虐殺されていたのだ。
このままでは、置いてきた難民達も反乱軍に追いつかれ、虐殺される事だろう。だが、自分の受けた任務は「女医の救出」であり、それ以外の行動をとれば命令違反となってしまう。
しかし、ウォーターズはヘリのパイロットにこう命令した。
「ヘリを戻せ」
また、ハリウッドでの戦争映画ではよく言われる事ですが、この映画も例によって、敵側はあくまでも敵という描写しかされません。しかも、残虐非道な悪魔として描かれています。
ですが、この映画では民族の紛争とか宗教の対立がテーマの映画じゃないんですから、敵側を平等に描写する必然性なんて全く無いですよね。あくまでも、「ウォーターズの目線での話」なんですから、難民を虐殺している敵兵士は残虐非道な悪魔以外の何者でもありません(背景がどうであれ)。
この映画は、「今目の前で起こっている事に対して、今の自分の信じる事を、今の自分で出来る事をする」というのを描いた映画なんだと思います。「でも、命令違反は良くない」という意見もあるでしょうが、元来ヒーローというものは、上からの命令を無視して、目前の悲劇に対して自分の出来る事をしてきたものですからね。
そして、その「自分が正しいと思う行動をする事」への葛藤というのもしっかり描かれているんですよね。ですが、セリフやエピソードではほとんど出て来ません。全てウィリスの演技で語られている事です。
特に、置いて来た難民の救出の為にヘリを引き返させる命令を下す前のウィリスの表情は、ほんと凄かった。下手な言葉で表されるよりも何倍も重みが感じられます。
また、今、自分のとろうとしている行動が本当に正しい事なのかも分からない、という立場にいる所もミソですね。
まあとにかく、政治的な事を考えずに、普通に個人の人間のドラマとして見れば凄く熱く、感動的な映画です。
また、ウォーターズ隊の戦闘シーンでの動きがとってもプロっぽい感じで、見ていて感心してしまうほどです。そして、そのチームワークも素晴らしい。何か、『SWAT』に足りなかったものが全て詰まってる感じの戦闘シーンでした。まあ、『SWAT』にはあった娯楽性とノリノリの音楽はこの映画には無かったですが、その要素が無いのが欠点にはなってませんからね。
何でも、アクションシーンにおけるウォーターズ隊の動きとか使用する銃器関連とか、かなりこだわった作りになってるようで、その手の事に詳しい人にとってもかなり見応えのあるものになっているのだとか(例によって、私はそういうのに詳しくないので、聞いた話でしかないんですが)。
でも、素人が見ても、「プロっぽい動きだ」感じさせるものになってましたからね。
ちなみに、音楽はまるで『ブラックホーク・ダウン』の流用かと思うぐらい似た感じの曲でしたね(音楽担当は『ブラック〜』と同じハンス・ジマー)。
共演のモニカ・ベルッチですが、見る前は、この人を救出するのが最初の任務だっただけに、もっと積極的に話に絡んでくるのかと思ってたんですが、あくまでも「救出対象」という感じで、他の難民より出番が多いだけ、という感じでしたね。もし、これがジェームズ・キャロメンが監督作だったら、きっとこの人も銃を撃つシーンが出たりしたんでしょうね。
『リローデッド』では高価で綺麗な衣装を身に纏ってましたが、この映画では、衣装から顔まで始終泥だらけでしたね。まあ、よくそんな映画に出たものです(後悔してなければいいんですが・笑)。
ですが、1ページだけ、何か妙なページがあります。何故か、アイドルの乙葉嬢のインタビューが載ってるんです。もちろん、乙葉本人に関する事ではなく、映画を見た感想についてのインタビューです。
最初見た時は「なんじゃこりゃ!?」とか思ったんですが、意外にしっかりとした感想を言ってました。もう、この映画を見た後に言う感想としては、模範解答みたいな内容でした。本当に本人が言ったものなのだとしたら、大したものです(下手したら、私よりも内容を理解してるかもしれない・笑)。
ですが、「何故、乙葉?」という謎は残されたままですが・・・(宣伝にも関わって無かったですよねぇ・・・?)。

エンドクレジットの直前に、「善が行動しなければ、悪が勝利する」という言葉が出て来ますが、これがまさにこの映画のテーマなんでしょうね。「世界平和につながる行動」というわけではないし、もしかしたらあまり意味の無い行動かもしれない。でも、悪に勝利させない為には、善が積極的に動いていかないといけない。その「行動する善」というものがいかにかっこいいのかを、この映画ではこれでもかと見せてくれましたね。
ですが、素晴らしいテーマを見せてくれはしたものの、私はブルース・ウィリスでもウォーターズ大尉でもない普通の男なので、そんなテーマの映画を見たところで、これからもセコく生きていく事に変わりはないですけどね・・・(笑)。
ところで、ウォーターズにとって、リーナはどういう存在なのか?というのは、実は見ていてよく分かりませんでした。リーナが女だから、というのは関係あるんでしょうかね。私は何となく、救出対象の医者がハゲオヤジであったとしても、ウォーターズは難民達を助けに戻ったような気がするんですよね。だって、そういう男ですよね、ウォーターズって。
難民を助けようとしたのは、リーナの為だ、という見方も出来ると思うんですが、私はなんとなく、「自分の為」とか、そんなような事で助ける事にしたんじゃないかと思います。実は、そうであってほしいという思いもあるんですが(笑)。だって、そういうヒーロー像の方がカッコいいですからね。でも、動機の一つにリーナの存在があった、というのは充分考えられる事ですけどね。
それにしても、ウォーターズ本人が、命令違反をした理由について答えた「俺にもよくわからん」というのは、いいセリフでしたねぇ。そのおかげでこんなにも考える事が出て来ましたし(笑)。
それに、もし私がウォーターズの立場でも(しかも、ウォーターズと同じぐらいの戦闘力と精神力を持っていると仮定して・笑)同じ事を言ったような気がします。と言うか、多分、本当に自分でもなぜなのかよく分かってなかったんでしょうね。ただ漠然と、そうする事が必要なのではないか、と思っていたとか。第一、人助けに理由なんていらないですからね、本来は。
さて、中盤では、襲撃されている村に助けに割って入るという、まさに英雄的行動をウォーターズ隊はやるわけですが、いやぁ、いいですねぇ、こういう英雄的行動って。ヒーローが誰かを助ける為に活躍するシーンとか大好きですからね。
虐殺のシーンはほんと酷いですが、それだけに見てる方もウォーターズ隊に「頑張れ!」とか「殺せ!」とか思って見てしまうんですよね。何か、ドキュメンタリー映像とかで、無抵抗の人がむごたらしく殺される様をたまに見たりしますが(この映画の冒頭でも出て来た)、「もし、この場にヒーローが居合わせていたら!」とは誰もが考える事でしょう(それとも、私だけか?)。それが実現してるシーンなので、何か溜飲が下げられるような思いがありましたね。ただ、結局救出できたのは数人程度で、ほぼ手遅れ状態ではあったんですけどね。
でも、無抵抗の弱者をむごたらしく殺していた悪魔に正義の鉄槌を下すというこのシーンは見てて燃えましたねぇ。
ところで、ジャングルを行軍するウォーターズ隊と難民ですが、敵達が後方のどれぐらいの位置に、どれぐらいの規模で迫って来ているのか、というのが、ウォーターズ側はコンピューター(ノートパソコンみたいなやつ)で知ることが出来るってのは驚きでしたね。戦争映画でこんなの初めて見ましたよ。凄いなぁ、ハイテクは。
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