
監督:マーカス・ニスベル
製作:マイケル・ベイ
撮影:ダニエル・パール
原作脚本:トビー・フーパー
出演:ジェシカ・ビール(エリン)
ジョナサン・タッカー(モーガン)
エリカ・リーアセン(ペッパー)
マイク・ヴォーゲル(アンディ)
エリック・バルフォー(ケンパー)
デビッド・ドーフマン(ジェディディア)
R・リー・アーメイ(ホイト保安官)
ローレン・ジャーマン(ヒッチハイカー)
アンドリュー・ブリニアースキー
(トーマス・ヒューイット/レザーフェイス)
テレンス・エバンズ(モンティ老人)
マリエッタ・マリク(ルダ・メイ)
ヘザー・カフカ(ヘンリエッタ)
リメイク大流行のハリウッドですが、ついにホラー映画の金字塔『悪魔のいけにえ』のリメイクに手を出してきました。しかも、製作があのマイケル・ベイ!
ただ、オリジナルと比べてストーリーの細部に違いはあるものの、ここまで似た雰囲気を再現しているのを見ると、「リメイクする必要があったのか?」という気もしないでもないですけどね(恐らく、『サイコ』のリメイクよりはマシだと思いますが)。リバイバル上映じゃ駄目だったんでしょうか。映画の時代設定もオリジナルと同じ70年代ですしね。
まあ、これでオリジナルの方にも興味を持ってくれる方が出て来てくれればいいですけどね。『悪魔のいけにえ』といえば、ホラーの名作の一つですから、多くの人に見てもらいたいです(一ホラーファンとして)。そして、今回のリメイクより、オリジナルの方がやや陰惨としてたような記憶があるので、見る順番としては『テキサス・チェーンソー』→『悪魔のいけにえ』の方がいいと思いますし。
この映画、「殺人鬼が凶器にチェーンソーなんてものを使用する」という事で、グログロのスプラッター描写の出てくる、視覚的に気持ちの悪いシーンの多く出てくる映画かと思われがちですが、実は、オリジナルにしろリメイクにしろ、チェーンソーによる直接の殺害シーンは映してこないんですよね。
グロシーンの「見せる所」と「見せない所」のバランスが凄くいいんですよね。「チェーンソーで人体バリバリ」なんて、直接見せられたらたまらないようなシーンはしっかり隠してきますし、「銃で頭を撃って自殺」とか「車でひき殺し」といった、他の映画でも見られるような殺人シーンはしっかり映してくるんです。
こういった、いわゆるスプラッター描写という物は、見てて気持ち悪くはあるものの、“怖い”という感情はあまり出てこないものです。この映画ではそういった“気持ち悪さ”よりも“怖さ”の方を重要視した演出になってるんでしょうね。
ですが、ストーリーの方は怖いというよりは、どちらかというと“嫌だ”といった感じのものですね。何か、とっても悪夢的な感じのする、見ていて「うわぁ、ヤダなぁ・・・」と思うような展開を見せていくんbナす(確か、オリジナルでは終盤はもう“不快”の域に達してて、見ているのが苦痛なぐらいでした)。
さて。この映画にはフレディやジェイソンのような“スター殺人鬼”が登場します。その名も“レザーフェイス”!
人の皮でこしらえた(と思われる)不気味なマスクを被り、チェーンソーを主武器とする奴です。なぜかジェイソンの主武器がチェーンソーだと誤解される事がありますが、多分、このレザーフェイスとごっちゃになってるんでしょうね(ちなみに、ジェイソンはシリーズ中、“チェーンソー”を使った事が一度もありません)。
で、このレザーフェイスですが、もう、この「不気味なマスクをかぶったガタイのいい男が、一言も発さずに、黙ってチェーンソーの轟音を響かせながらひたすらに追いかけてくる」というビジュアルには、見ててシビれまくりましたね。
思わず、頭の中では「地獄の鬼ごっこ」とか「男は黙ってチェーンソー」とか、訳の分からないキャッチコピーが浮かんでくるほどでした(謎)。こんなに存在にパワーの感じられる殺人鬼もそうはいないでしょう。まさに、スターの貫禄です。
また、「ほぼ不死身な生命力を持っている」とか「銃で撃っても死なない」といった超常的な設定の無い、肉体自体は普通の人(ただし、ガタイはいい)という点はリアル感があっていいですね。
普通の狂人(?)という事で、人を襲う時はちゃんと走って来るんですが、これがまた見てて怖いんですよねぇ。普通、ホラー映画界の殺人鬼(普通じゃない方の狂人・笑)って、あんまり走らないですからね。
レザーフェイスは“怪人”ではなく“狂人”という事なんですが、そんな狂人がなぜ逮捕もされずに生活してこられたのかというと、家族全員か狂人だからなんですね。中でも、殺人マシーン風に狂ってるのはレザーフェイス一人なので、「家族に養ってもらっている」という形で、ここまで生活してこれていたわけなんですね。
そんな、大スターであり映画の顔であるレザーフェイスですが、登場して暴れまわるのは映画が半分過ぎてからです。それまでは、「登場人物達が田舎道でとんでもない事態に見舞われる」という展開になっています。
そして、「これからどんな恐ろしい事が起こるんだろう」と、見ててドキドキさせてくれます(ここで出て来る“ヒッチハイカーの死体”も中々手強い恐怖アイテムでした)。
この前半部分、何となく『ジーパーズ・クリーパーズ』の前半部分と感じが似てるような気がしましたね。ただこちらは、中盤以降「肝心の悪役が登場してから映画のテンションが下がる」という、正反対の展開を見せましたが(笑)。あの映画も、怪物にレザーフェイス並の魅力と恐ろしさがあれば、この『テキサス〜』みたいなホラー映画になったのかもしれないですね。
やっぱり、あからさまな怪人よりも、狂った殺人鬼の方がまだリアリティが感じられて怖いですからね。
さらに今回のリメイク版、冒頭とラストでドキュメンタリータッチな演出が一瞬出て来たり、「実際の事件を元にした」みたいな内容の字幕が出て来たりして現実感を高めてくれました。
ですが、もちろんこの映画の恐怖ポイントは、「現実に起こり得るかもしれない」という点ではなく、現実感がありながらも、非現実的で暴力的な事件に巻き込まれた登場人物達の恐怖を一緒に体験する、という所にあると思います。
この映画で登場人物が出会う人々がおかしな連中ばっかりだというのも、何か現実世界の出来事と言うより、悪夢の世界に迷い込んだみたいな感じに思えてきますね。「逃げても逃げても追ってくる」「どこに逃げても隠れても必ず追って来る」というレザーフェイスの行動なんて、まさに悪夢的です。
この、映画で起こる事のほぽ全てが“悪夢的”という点。思えば、これも『ジーパーズ・クリーパーズ』を見た時に思った事でした。
そんな恐怖映画『テキサス〜』ですが、ではこの映画を劇場で見ている時、恐怖に震えていたのかというと、実はそんな事はなかったんですよね。
何しろ、だいたいのストーリーはオリジナルと同じなので、これからどうなるのかは知ってるわけですし、実のところ、オリジナルを見た時も“イヤだ”とは思ったものの、特に怖いとは思わなかったんですよね。何か、私が恐怖を感じる所と微妙にズレてるらしいです。
ですが、レザーフェイスの迫力はオリジナルより良かったですし(ただ、レザーフェイスの行動自体は一緒なので、劇場の大画面&大音量で見たからそう感じただけかもしれないです)、ヒロインは明らかにリメイク版の方がスタイルがいいですし、それに何といっても、ブタさんの登場シーンがあるというのは高ポイントでした。
しかもこの映画のブタさん達、何とも意外な所で登場します。何と、あの恐怖の渦巻くレザーフェイス邸の部屋を普通にうろついてるんです。家で放し飼いにされてるブタなんでしょうか(笑)。
しかも、終盤では、「レザーフェイスが、ヒロインが隠れてると思って開けたロッカーの中」からも子豚が出て来たんですよね(見間違いじゃなければ)。何でこんな所に入ってたんだ(笑)。
こんなのを見せられたら、「もしかしたら、レザーフェイスは普段からこうやって、ブタと隠れんぼとかしてるのかしら」、なんて訳の分からない事をつい考えてしまいます。
←メニュー画面に戻る