
監督・製作:リチャード・ドナー
音楽:ブライアン・タイラー
原作:マイケル・クライトン
出演:ポール・ウォーカー(クリス・ジョンストン)
ジェラルド・バトラー(アンドレ・マレク)
フランシス・オコナー(ケイト)
ビリー・コノリー(ジョンストン教授)
アンナ・フリエル(レディ・クレア)
イーサン・エンブリー(ジョシュ・スターン)
マートン・コーカス(デ・キア)
デビッド・シューリス(ロバート・ドニガー)
ニール・マクドノー(フランク・ゴードン)
ロシフ・サザーランド(フランソワ・ドンテル)
マイケル・シーン(オリバー卿)
ランベール・ウィルソン(アルノー卿)
マット・クレイヴン(スティーブン・クレイマー)
そのタイトル、ストーリーから、つい『タイムマシン』のような微妙な映画を想像して、その出来に不安のあった映画ですが、さすが名匠リチャード・ドナー。見事に普通に面白い娯楽大作に仕上げていました。
原作が、最新の科学技術をネタにする事が多いマイケル・クライトンだけあり、この映画のタイムトラベルの仕組みについても、一応の科学的説明が出てきたりします。
それは、量子テクノロジーを用いたもので、物体を分子レベルに分解した後、別の所定の場所に再構築させる事で大陸間の瞬間移動が可能という装置、通称“3Dファックスマシン”を実験開発中に、偶然ワームホールに繋がり、転移先が1347年のフランスになった、というものです。もともとタイムマシンを作ろうと思って作ったわけではなく、物体の瞬間移動装置を開発していたら偶然出来てしまったというのは、面白い設定ですし、リアリティもありますよね。
そんな、たまたまワームホールに繋がっただけというタイムマシーンなので、行きたい時間の指定も出来ないどころか、もし閉じてしまったらもう時間旅行が出来なくなってしまいます。
ちなみに、原作では時間を遡行したのではなく、平行世界に空間移動している、という事らしいです。要するに、『ザ・ワン』でお馴染みの「別の宇宙」の1347年のフランスに行ってるので、そこで歴史を変えるような行動をとっても、戻った現代では時間軸が違うので、何も変わっていない、という事なんだそうです。
私は原作未読で、これはプログラムの解説に書いてあった事なんですが、と言う事は、原作では「教授のSOSのメッセージが発掘される」という箇所は出てこないんでしょうかね。
とりあえず映画では、向こうで何かやると歴史が変わって行くといういつも通りのシステムになってます。ですが、これまでのタイムトラベル映画とは、やっぱり少し違うような点もあったりするんですけどね。詳しくはネタバレの方に書きますが。
さて。そんなタイムトラベルを経て、映画の舞台は14世紀のフランスとなるわけですが、この映画の面白さの肝は、「リアルで画期的なタイムマシンの話」という方ではなく、「現代人が戦乱のフランスでどうサバイバルしていくか」、という方にあるようですね。
そのせいか、主人公達が過去に行くまでの展開がメチャクチャ早いです。序盤なんて、まるで予告編を見てるのかと思うぐらい、展開が飛び飛びでしたからね。多分この辺り、原作では知的な感じのする薀蓄が飛び交うような展開になってるんでしょうね。基本的に、クライトン原作の映画化作品は、原作の知的な部分、テクノロジーに関する薀蓄部分がカットされてる事が多いですからね。
ともかく、過去に行ってからのアドベンチャーは、見ていて単純に面白いと思えるようなものになっていましたね。そして、クライマックスでは、大規模な戦闘シーンも出てきます。城塞で守る側と攻め入る側の戦いという、『二つの塔』や『キャプテン・スーパーマーケット』を思わせるようなシチュエーションです。ですが、映画中、敵扱いであり、歴史では負ける事になってるところのイギリス軍が城壁で守る側であるというのは、前の2作と違う点ですね。
この戦い、実のところ、ほんの局地戦みたいなものなので、両方の軍勢は大軍というほどの人数ではないんです。敵が超大軍だった『二つの塔』と比べるとかなり迫力に欠けてたのは残念なところです。
また、人数の問題だけでなく、何か、今ひとつ戦闘シーンに迫力が足りないんですよね。CGの使用が最小に抑えられているという、生の迫力があるはずの戦闘シーンなんですが、“臨場感”がちょっと足りないような感じです。
それでも、戦ってる兵士の中にアクションヒーローが一人でもいるとまた違ってくるんですが、ポール・ウォーカーも、『トゥーム・レイダー2』でお馴染みのジェラルド・バトラーも、そんなに活躍してくれないんですよね。「現代の人間が、常に戦いを繰り広げてる当時の騎士に勝てるはずがない」という、リアルさを大事にしたという事らしいですが、個人的には「映画の足枷になるような半端なリアル感」よりも「マッチョの大活躍」の方が好きですからね。せめて、ジェラルド・バトラーにはもう少し活躍シーンが欲しかったですね。
何しろ、同じ「現代人が中世に行く」系の映画、『ブラック・ナイト』でも『キャプテン・スーパーマーケット』でも、ちゃんと主人公が中世の敵相手にちゃんと戦ってましたからね(ただ、どちらもコメディ映画なんですが・笑)。
←メニュー画面に戻る(下の方にネタバレ有りの感想があります)
こういった事から、もしかしたらこの映画では、“歴史の改変は出来ない”可能性があるんじゃなかろうか?なんて事を思ってしまいました。例えば、もともと歴史を大きく変えるつもりで過去に行ったとしても、すでに現在がその行動で変わった後の歴史になっているんじゃないかと思うんですよね。
教授のSOSのメッセージだって、もし手紙が埋められてる場所を早くに発掘してたら、過去に行く前の教授自身が見つける、なんて事態も起こり得たんじゃないだろうか。
なので、あの時代でアンドレやケイトが殺した人も、「現代人が殺してしまうと、歴史が微妙に変わってしまうのでは」と思いがちですが、もともと「アンドレやケイトに殺される運命」という人だった可能性大です。
後半、修道院の地下で教授の手紙を見つけたクリスとケイトですが、持ち帰ろうとするクリスに対し、ケイトが「教授の手紙を残していかないと私たちが助けに来られない」というような事を言うシーンがありました。ここも「もし持ち帰ってたらどうなるんだろう」と思いますが、多分、持ち帰るのは不可能なんじゃないかと思います。何しろ、あの手紙はあの場所に数世紀あり続ける事になってるんですから、何か運命的な力によって持ち帰る事が出来なくなってるんじゃないかと思うんですよね。実際、思わず持ち帰ろうとしたクリスは、ケイトの言葉で結局元に戻しましたからね。
一つ分からないのは、アンドレとクレアが入っている柩の墓碑銘です。あれは、みんなが過去に行く前からあったものをラストで気付いたという事なのか、元は違う墓碑銘だったのが変化したのか。その辺、記憶が曖昧だったりします。もし、変化したものなら、「この映画では歴史を変えられない理論」は全て崩壊です(笑)。