タキシード


THE TUXEDO
02年 アメリカ映画 99分

監督:ケビン・ドノバン
音楽:ジョン・デブニー
    クリストフ・ベック
出演:ジャッキー・チェン(ジミー・トン)
    ジェニファー・ラブ・ヒューイット(デル・ブレイン)
    ジェイソン・アイザックス(クラーク・デブリン)
    デビ・メイザー(スティーナ)
    リッチー・コスター(バニング)
    ピーター・ストーメア(シムズ博士)
    ジェームズ・ブラウン(ジェームズ・ブラウン)

 
 
 
 
 
 

<あらすじ>
スピード狂のタクシー・ドライバー、ジミー・トンは、その腕を見込まれ、ある政府エージェント、デブリンのお抱え運転手の仕事をもらう。デヴリンに気に入られたジミーは、「雇い主であるデヴリンと話すな」という職務上のルールも無視していいと言われるのだった。だが、一つだけ守らなければいけないルールがあった。それは、デヴリンの“タキシード”には決して触るなというものだった。
ある夜。いつものように、デヴリンを乗せて走るジミーの運転する車に、無人のスケートボードが追跡をして来ていた。このスケボー、実はデヴリンを狙って放たれた、爆弾付きスケボーなのだ!誤って袋小路に逃げてしまい、追いつかれた車は大爆発!ジミーとデヴリンは直前に逃げ出していたが、デヴリンは逃げ遅れ、大怪我を負ってしまうのだった。
デヴリンは入院する事となり、一人でホテルに帰って来たジミー。ここで、つい魔がさし、ルールを破って“タキシード”を着てしまうのだった。実はこのタキシード、それぞれのモードにより、様々な超人的動作を着ている人間に自動で動かせてしまうという、ハイテクの粋を尽くして作られた“スーパー・タキシード”だったのだ。
スーパー・タキシードを着ていい気になったジミーは、デヴリンがやるはずだった仕事を、デヴリンの振りをして遂行しようという無茶な行動をおっ始めるのだった。

<見た後の個人的感想>
10年ほど前だったか、ジャッキーは「自分がアクション映画に出られるのもあと数年だろう」という、大変ショックな発言をしていました。それ以来、ジャッキーの引退がいつ訪れるんだろうとビクビクしながら過ごす日々が続きました。
そして、現在。結局、ジャッキーは引退どころか、ハリウッドに進出し、常に新作映画の撮影が待機中という状況となっています。あの頃の事を思うと、こんなに嬉しい話はありません。ジャッキーの新作が公開される、それだけで私は満足です。

しかし、新作が公開されるのはいいんですが、今までの映画とほとんど変わらないような、マンネリ気味の映画もありました。まあ、基本的に「ジャッキー映画」は昔からあまり変化が無いんですが、それでも以前はジャッキーの超人的スタント・アクションで、マンネリだろうがなんだろうが、凄いスタントと凄いアクションの出る映画を作る事が出来ました。
でも、ジャッキーもさすがに歳です。以前のような、動きのキレが無くなってきてしまいました。そのせいで映画自体のパワーも落ち、余計にマンネリが目立つようになってしまったようです。そもそも、以前の「アクション映画に出られるのもあと数年」発言も、年齢的な問題から出たものでした。

そんな時、今までのジャッキー映画とはかなり感じの違う、この「タキシード」が現れました。
この映画、特撮を駆使した「VFXコメディ」なんですが、そんな映画にジャッキーが出る、というのはまた珍しい事でもあります。珍しいどころか、初めてです。まさに、マンネリどころの話ではありません。
映画の見所がジャッキーの生身のアクションではない、ジャッキー主演映画。これが面白ければ、ジャッキーの引退が30年は伸びたといっても過言ではないでしょう。
という事で、アクション俳優ジャッキーではなく、コメディ俳優ジャッキーを期待して見たこの映画。もう、期待以上でした。正直、映画自体はそんなに面白くなかったです(爆)。でも、ジャッキーのコメディ演技はとっても面白かったです。
まあ、もともとジャッキーはコミカルなアクション・コメディばかりに出ている人でしたが、やはり映画のメインはコメディよりもアクションの方ですし、ジャッキーの俳優としてのカテゴリーは間違いなく“アクション俳優”でしょう。
なので、カンフーやスタントシーンがメインになっていない映画で、ジャッキーがどれだけやれるのか、というのは私的には全くの未知数でした。
が、結果は大変満足の行くもので、ジャッキーの魅力がアクションだけじゃないという事を改めて思い知りました。
ちなみに、過去にもアクションがメインじゃない映画、「奇跡/ミラクル」というのがありましたが、私的には、いつものジャッキー映画よりもアクションシーンが減ってるだけみたいな印象で、何か物足りない感じのする映画でした(ジャッキー本人は気に入ってるらしいんですが・笑)。

この映画のコンセプトも面白いですね。香港映画の中でよく行われる、ワイヤー・アクションによる登場人物の超人的動き。登場人物がそんな動きが出来る事に説明を付け加えてみたハリウッド映画が「マトリックス」でした。そして、ジャッキー映画の中でジャッキーが行う超人的行動。これに説明を付け加えてみたのが、この「タキシード」です。
香港映画でのジャッキーの超人的動きは、ジャッキー自らの動きですが、演じる主人公がみんな「ジャッキーにしか出来ないような事を平気でしてる」というのは確かに謎ではありました。
そこに、「スーパー・タキシードを着たら、ジャッキーみたいな動きが出来るようになる」という設定を付けてみたわけです。これにより、この「タキシード」でのジャッキーが演じる役、“ただのタクシー運転手”が超絶ジャッキーアクションを行う事に不自然さがなくなる、というわけですね。
この発想は確かに面白いもので、ジャッキーにこの映画の話を持ちかけたスピルバーグが、「これは君にピッタリの映画だ」と言ったのも頷ける話です。
ですが、結局はジャッキーの動きにVFXが加わり、「ジャッキーが演じなくても、誰かコメディ俳優とスタントマンを組み合わせればやれる役」みたいな感じにってしまってるのはちょっと残念な点です。 タキシードを着た時の超人的行動は、今までジャッキーが香港映画でやってきた事のパロディ的な側面もあるんでしょうが、「今スクリーン上で行われてるアクションが、ジャッキー自身の動きによるものなのか、特撮を使っての動きなのか分からない」という感じの、見ていてもどかしくなるシーンが多かったように思えました。

ちなみにこの映画、ジャッキーファンじゃない人や、ハリウッドでのジャッキー映画を認めない人には、この映画はお勧めかと言われたら、「全然勧められない」です。残念ながら。
何というか、ギャグセンスがちょっとおかしいんですよね。「これは笑うところなのかな?」という箇所が多々出て来たりしていました。ジャッキーを、またはジャッキーが出てる映画を贔屓して見られない人にとっては、ちょっとツラい出来かもしれません。
それに、多分この映画の監督、ジャッキーのアクションをまともに撮るつもりがはなっから無いっぽいです。“ジャッキーのアクション”これだけを見た場合、過去最低の出来です。これならむしろ、アクションシーンが無い方がいい、とまでは行かないものの、そう言いたくなるぐらい半端なアクションでしかないです。
この映画、ジャンルが“アクション・コメディ”であるにも係わらず、私がさもこの映画がアクションの要素の無い映画だったかのように語ってるのもそれが理由です。
「本物のジャッキーアクションが見たい!」という人は、次の「ハイバインダー」まで待つしかないようですね(ただ、こちらも、香港とアメリカの合作らしいんで、いつものジャッキー映画とは違うのかもしれないですが)。

<キャストについて>
共演の“ジャッキー・ガール”は、「ラストサマー」のジェニファー・ラブ・ヒューイットです。まさに体を張ったコメディ演技で、とっても頑張っていました。
そういえば、香港映画では、ジャッキーの相方はたいがい女優でしたが、ハリウッドではクリス・タッカーやオーウェン・ウィルソンなど、野郎と組んでばかりでした。今回、ハリウッド主演作で初めて女優が相方になったわけですね。
でも、やっぱり女優よりもコメディ俳優と組んだ時の方が映画は格段に面白いですね。多分、ジャッキー本人にしてみれば、女優と組んだ方が楽しいんでしょうけどね(ロマンス物に出たいとかも言ってるようですし・笑)。

あと、敵の怪しい科学者役でピーター・ストーメアが出てました。この人が怪しい人の役で出てくるとなぜか嬉しくなります(笑)。

<プログラムについて>
値段は500円で、至って平均的な作りです。
映画が楽しかった人はぜひ買って、表紙のジャッキーの笑顔を見ながら余韻に浸りましょう。


<画像の下より、内容について(注・ネタバレ有り)>

   


この映画、見ていてストーリーがかなり分かり辛いです。内容的には「元タクシードライバーの中国人が、スーパータキシードを着てスパイゴッコをする」という、別に難しくもなんともないお話しなんですが、ときどき、「あれ、この人は何でこんな行動をしてるのかな?」と戸惑う箇所が出てきたりしてました。
そもそも、ジャッキーがスパイごっこをおっ始めた理由も何だかよく分からなかったですし。あのタキシードだって、触るなと言われていたのに、何で着てしまったんでしょう?着るまではこれがスーパータキシードだという事は知らなかったはずなのに。それとも、ジャッキー演じるジミーが、「このタキシードには何か秘密があるに違いない」と感じたシーンがどこかにあったんでしょうかね?
ラストに何の伏線もなく、2着目のスーパータキシードが出て来たりと、ストーリーに何だか妙な部分が目立つんですが、もしかしたら、この辺の事は「そうなった方が面白いじゃん?」という感じで入れられていったものなのかもしれないですね。
確かに、ジャッキーが何の理由も考えも無く、とっととタキシードを着てくれた方が話が早いですし、それで急にスパイごっこを始める気になったのも、「観客がそういう展開を見たいから」に他なりません。2着目のスーパータキシードの出現も同じです。
一応、この映画のルールとして「リアリティなんてものは無い」というのが原則としてありますので(そうなのか?・笑)、劇中でどんな突拍子も無い事が起こっても問題無いんですが(例えば、上で私が疑問に思ったような事柄)、それをストーリー的に無理なく見せてもらえたら良かったんですけどね。
(ちなみに、一番意味不明だったのが、ラストバトルの最中、ジェニファー・ラブがタバコを吸わされたと思ったら、敵のボスがやられてたというあたり。←書いてて意味不明ですが、私もさっぱり意味が分かりません。あのシーンでは何が起こったんですか?・笑)

その辺りの点に目を瞑れば、かなり面白い映画だと思います。“ジャッキーがスパイの真似事をする”というのは、「アクシデンタル・スパイ」と同じテーマですからね。ただ、あちらは「最低限のリアリティはある世界」でした。比べて見ると、面白さの要素がかなり違ってるのが分かりますね。
この「タキシード」では、ジェームズ・ブラウンを吹っ飛ばそうが、敵のボスの眼前でジャッキーが尻を振ろうが許される世界です(笑)。そんな世界でジャッキーがスパイごっこを繰り広げる様は可笑しくてたまらないです。
また、主人公の設定の「カンフー使いではなく、ただの運転手」というのも、ジャッキーにいつもの“ジャッキーアクション”を期待させない方向に向くので、プラスのポイントと言えるでしょうね。
この映画の良かったシーン、面白かったシーンを思い返してみると、格闘アクションのシーンではなく、ジャッキーが走ったり踊ったり、意味も無く影絵を作ってるシーンだったり、なぜか「IラブNY」のTシャツを着ていたりするシーンとかなんですよね。
それでいて、「カンフーや危険なスタントシーンが無いから物足りない」という感じが無いんですよね。映画の出来自体はかなり物足りないんですが(笑)、ジャッキーに関しては充分満足出来たし、楽しませてもらいました。

ところで、敵の組織の考えた悪巧み「ボトル水テロ」も面白い着眼点です。何だか「裸の銃を持つ男」あたりの敵が考えそうな悪事で、映画の雰囲気と合ってましたね。

<エンディングについて>
お約束のNGシーンです。「ラッシュアワー2」と比べるとウソ臭くない、普通のNGシーンです。
その後、エンドクレジットが、ジェームズ・ブラウンの「俺が最高だぜ」みたいな感じのセリフの後に始まるので、てっきりこの人の歌がエンディング・テーマになるのかと思ったら、ずっと曲だけでしたね。でも、ハイテンポのカッコいい曲でした。

<※追記>
上の感想で「ストーリーが分かりづらい」事の例を挙げた箇所について、掲示板でののださんから回答を頂きました。ののださん、ありがとうございます。

・以下、「タキシードの謎・回答集」(掲示板の文章のコピペです)

{デヴリンが気を失う前に「着るんだ・・・・・」と言ってます。また、最初のほう、虫の標本を買った後で、ジャッキーとデヴリンが「いったいどうしたら女性を上手く誘えるのか?」「いい服を着る事が90%、自信が10%必要だな」と言う会話の後、デヴリンが車の中で「ジミーが気に入った、服を造ってやってくれ」と言っています。アレが二着目に繋がってくるわけですね(だから袋の表面に”10%の自信!”って紙が張ってあった)。
 ラストのあれは、それまでに何度か近くの人間がタバコを口にくわえるたびに、ジャッキーが体が捩れかねないほどの瑞ィいで、手を出して、袖からライターが飛び出るという描写がありましたね。それが、タキシードにはタバコを吸おうとしている近くの人に火を貸してあげる機能がついてる、で、それがどうも大分優先度が高いらしい、という伏線で、ラスト、ヒューイットにジャッキーがタバコを咥えさせる事によって、その機能が発動し、タキシードはジャッキーの首を掴むのを止めて、火を付けに行ってしまったと・・・・・・。}

←メニュー画面に戻る

2style.net