◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
さて。トニー社長は、自分の軍需産業の会社で、これまで大量の破壊&殺戮兵器を作ってきたんですが、自分がその兵器で襲われる(と言うか、テロリストが自社製品を使っているのを見た)事で、「武器の製造を止める!」という決意を持つこととなりました。
要するに「自分の武器で“アメリカ人が”殺されるのを見た」というのがきっかけなわけなんで、そこから「他国の人が死ぬ分にはいいのか」という誤解をされがちなんですが、社長はこれをきっかけとして、武器の存在そのものに疑問を抱き始めたわけなんですよね。
スターク・インダストリーズという会社そのものが、現実に大量の武器を製造して戦争で金儲けをしている国を体言しているような存在みたいなんですが、その武器を「社長自らが責任を持って破壊する」というのは実に健全だと思います。いくら、今まで自分や会社がしてきた事が間違っていたと気付いても、すぐに「路線変更して、全てを変える」なんて事、そうそう出来る事じゃないですよね。この、「思い立ったら即行動」という性格は実直でいいですね。兵器開発に携わってる人が全員トニー・スタークみたいな考えを持っていたら、世界は平和に近づけるんですけどね。
で、自社製の武器を壊す為に、さらに凄い兵器(アイアンマンスーツの事)を使う事になるんですが、これは、人殺しの道具として開発されたわけではありませんし(悪党を殺すのは“人殺し”の範疇には含まれません・笑)、トニー社長はこの兵器やテクロノジーを悪事には決して使わないでしょう。この辺り、「兵器は、誰がどう使うのかというのも重要だ」というメッセージが隠されてるようにも思えますね。
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
主人公は、負け犬なボンクラ野郎という、一瞬、自分を見てるのかと思ってしまうぐらいのダメ人間です。で、そんな主人公の前に、いきなりアンジェリーナ・ジョリーが現れて、つまらない日常からかけ離れた、刺激的な世界に急に連れて行かれる事になるんです。
ちょっと、『ドラゴン・キングダム』を思い出す、「ボンクラの夢」系のファンタジックな展開で、見てて思わずドキドキしてしまいましたが、どうも、『ドラキン』のストーリーほどには“夢”を感じられなかったんですよね。
まず、主人公が「元々、凄い能力を持っていた」という設定があった事に、「同じ、何のとりえもない人間だと思ってたのに、違うんじゃねぇか!」という、裏切られたような感覚があったのと(誰も裏切ってはいないんですが)、やっぱり、主人公が入っていったのが「人殺しの世界」というのが、あまり羨ましく思えませんでした(一応、殺す対象は“悪い奴”という事にはなってるんですけどね)。
なので、思ったよりも感情移入出来なかったんですが、主人公を演じるジェームズ・マカヴォイの演技は素晴らしかったですね。この映画で初めて見た人なんですが、映画の序盤から前半ぐらいの頃は、本当に負け犬臭がプンプンしているのが感じられるし、見た目も何だか華が無いなという印象だったんですが、最後の方なんかになると、もう、超凄腕の暗殺者にしか見えないような、クールさと凶暴さを併せ持った、魅力ある表情になっているんです。
しかも、あまりアクション映画に慣れてないというのが感じられる動きなんですけど、この荒削りな感じがちょうど、暗殺者になりたての主人公の境遇と重なって、映画的に自然でリアリティのある動きのように思えるんですよね。
と、マカボイ君も良かったんですが、もちろん、ジョリー姐さんのアクションも相変わらず豪快&セクシーで、素晴らしかったです。やっぱり、この人は「ハリウッド史上で最もアクションが似合う女優」だと改めて思いましたね。いっその事、アクション専門で活躍して欲しいぐらいです。
と、ストーリー展開とかアクションシーンなんかは満足いったんですけど、何か、映画全体的に、人の命をやたら軽く扱ってるというのが感じられる所にちょっと引っかかってしまいました。どうも「死ななくてもいい人達」が大勢死んでるような気がするんですよね、この映画。まあ、アクション映画、それもバイオレンス風味の映画に対して何を言ってるんだって話ですけど。
あと、個人的に“ネズミ爆弾”も少々不快な気分にさせられましたね。いくら害獣とはいえ、生き物を爆弾に使うというのはやっぱり抵抗があります。
なので、アクション映画なのに、あまりスッキリしないという印象だったんですけど、「これはそういう映画だ」というのも分かるんで、この点について批判をするつもりはありません。だいたい、主人公がスカウトされた暗殺組織が、「陰で人の生死を勝手に決めてる」という、神の真似事みたいな事をやってるわけなんですからね。それで、悪党だけが死ぬような内容だったらマズいだろうと思います。
要するに、映画的にはマズい所は無いけど、個人的な嗜好で楽しめない部分があった、というだけの話なわけですね。
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◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
今回、全体的に、渋いような雰囲気になっていて、セガール映画史上でも、クールさは一、二を争うぐらいのものがあったと思います。やや地味な面もあったし、ストーリー展開自体、正直、あまり面白くないというのもあったんですが、全体的な雰囲気が良かったんで、面白いつまらないを別にして、「いい!」と思えました。
それに、「セガールが暗殺の仕事をやらされる」というプロット自体は中々面白いものでしたからね。結局、標的の殺し方があんまり暗殺っぽくない、“俺流”な感じのものなんですけど(標的のいる建物に正面から入っていって、標的以外の邪魔者も皆殺しにし、正面から帰っていくと・笑)、やっぱり、セガールがやるんなら、これぐらい豪快な方が見てて楽しいじゃないですか。そもそも、普通の暗殺者が「遠くから狙撃」とか「毒物や爆薬を使用」みたいな手段を使うのは、「自分はセガールではないから」というのが一番大きな理由なんですからね。いや、そう聞きましたよ、風の噂で。
この、「セガールがいかに常識破りな手段で暗殺任務を遂行していくのか」というのをもっと前面に出してくれたら良かったのかもしれないですね。離婚して離れて暮らしてる娘との交流とか、大して面白くもないドラマシーンにも結構力が入れられちゃってるんですよねぇ。まあ、「落ちぶれた男の再生物語」というのが本来のメインストーリーなんで、こういう面を削るわけにいかないですからねぇ。
肝心のアクションシーンも定期的に出てきて、セガールが雑魚を軽々料理する様をしっかりと描いてきてくれました。セガール拳の映し方は少々見づらいものがあったんですが、「最高を求めなければ十分満足出来る」ぐらいのものはありました(ただ、量が少なかったかも)。
あと、ラストのアクションシーンも、クライマックスという事で力が入れられていたのか、結構な迫力があって良かったです(残念ながら、格闘戦ではなく銃撃戦ですが)。時折スローを混ぜたりといった演出面もいいんですけど、やっぱり、セガール自身の動きがカッコいいんですよね。さすがはプロのアクション俳優だけあって、アクションシーンでの存在感が凄いです。最近、普段アクションをやらない人のアクションを見る機会が多いせいか、余計に凄く感じられたというのもあるかもしれませんね。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
さて、この奥菜幽霊ですが、非常に強い怨念を持って、まさに「うらめしや」状態で彷徨ってるようです。
この、怨念が前面に出た雰囲気は、いかにも怪談話といった感じで、見ててワクワクしてきます。出来れば、夏真っ盛りの時期に見たかった話でした。
そして、こういう、日本では定番の怨念お化けは、アメリカ人の目にはどう映ったのかも興味深いです。怨みを買うような悪さをした人しか襲わないわけで、あまり怖く無いという印象を持たれてしまうんだろうか。と言うか、私はこの映画を見てそんな印象を持ってしまいました。こういうのは、あまり後に引かないからいいですね。幽霊話を聞いたり見たりした後、夜一人でいる時なんかにふと「もしかしたら、今、後ろにお化けがいるかも!」みたいな事を思って一人でビビってしまったりしがちですが、この映画の奥菜幽霊は絶対、私のいる所には出てこないわけですからね。何しろ、この人から怨みを買ってないんですから。
ただ、この奥菜幽霊は、怨念だけで動いてるわけではなく、もう一つ、怨みとはまた違う感情を持って現れていたらしい、というのは意外な展開でした。
ところで、ハリウッド映画で日本が出る時、今だに勘違い日本描写が出てくる事がありますけど、この映画では、監督が日本人なせいか、おかしな描写はほとんどありませんでした。例えば、部屋の壁に変な掛け軸が掛かってたり、もしくは鎧が置いてあったり、ニンジャやサムライがその辺をうろついてたりといった事もなければ(そんな映画は無かったか・笑)、中国が混ざったような感じになっていたりもせず、きちんと、今の日本を映してくれていました。こうやって、メジャー映画で現実の日本を映す事でどんどん誤解を解いていかないと、「変な日本描写」はなかなか減っていかないでしょうからね。
あと、主演の一人であるジョシュア・ジャクソンが日本語を喋るシーンが結構あるんですけど、聞き取りやすい、上手い日本語でしたね。もしかしたら、実際に日本語を学んだ事がある人だったりするんだろうか。一方で、日本人役の人が、変な発音で名前を呼ぶシーンがあったりしましたが(笑)。
ともかく、「幽霊は海を越える」という壮大なテーマ(?)の、楽しい映画でした。
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◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
さて。肝心の主人公ハンコックのキャラクター面の話ですが、演じるのがウィル・スミスであり、前半では昼間から酔っ払った姿で登場するといった事から、明るくて、どこか能天気なコメディ的キャラクターを想像してしまうんですが、見てみると、妙に「孤独さ」が感じられるキャラクターなんですよね。羨ましくなるような凄いパワーを持った存在なんですけど、「自分は、このハンコックの立場にはなりたくないかも」と思ってしまうような寂しさが醸し出されているんです。
それは、記憶が無かったり、仲間がいなかったりするのが原因なわけで、さらに、人助けをしても、その救出活動の手際が悪かったりすると、世間から文句を言われたりするんですよ(そう言えば、『大日本人』もそんな映画でしたね)。「羨ましい」よりも、むしろ「気の毒」という思いの方が強かったですね。
でもこの人、自分の持ってるパワーを考えたら、神のように振る舞って、世界を征服しようとしてもおかしくない立場なんですけど、それでも、「キレて、大暴れして町を壊す」というような事をせずに(ヒーロー活動の際に町の一部を壊す事もありましたけど・笑)、人助けをしようとしてる所は、何か、非常に清々しいですね。
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◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
さて。この映画が面白いのは、内容のストレートさだけが理由ではありません。
主人公は“女性兵士”という設定で、位はそんなに高くないものの、部下に男の兵士を引き連れて、時に命令を下したりとかします。と言うわけで、本来はマッチョヒロインの系統に入るはずのキャラクターなんですが、これが、見た目も態度も全然ムキムキしてないんです。と言うか、兵士にすら見えない、もう、どう見ても、ただの可愛らしい女の子ちゃんという雰囲気なんですよね。
まるで、アイドルが軍服のコスプレで走り回ってるかのようなんですが、これが、個人的にかなりツボでしてねぇ。ゾンビに襲われて組み付かれた時の悲鳴とか動きもまた可愛らしくて、本来と別の意味でドキドキしてしまいましたよ。
いやぁ、こんな人が一緒にいたら、対ゾンビサバイバルもさぞや楽しいだろうなと思いましたね。何か、部下の兵士が羨ましかったです。
一方、肝心のゾンビ軍団についても書いておかねばなりますまい。
動きの早い、全力ゾンビだというのはいいんですが(ゾンビの早さを表現するのに、“早回し”という古典的な演出をしている、ベテラン監督スティーブ・マイナーには、とりあえず乾杯したい・笑)、何か、見ててあまり心ときめかないゾンビでしたね。
と言うのも、『28日後』みたいな感染者系の奴らで、正確にはゾンビではないというのが原因なのか、生前以上の運動能力を発揮してる奴が混じってるせいなのか、どこか、“ゾンビ”ではなく“ゾンビっぽいモンスター”みたいなんですよね。
まあ、これはこれでいいんですけど、やっぱりどちらかと言うとゾンビの方が好きなんで、出来れば“ゾンビっぽいモンスター”ではなく、“ゾンビ”を出してきて欲しかったです。
ちなみに、今回の菌の感染方法は、何と空気感染です。なので、登場人物があっと言う間に全員ゾンビ化してもおかしくないんですが、どうやら「免疫を持ってる人もいる」という設定のようで、当然のように、主要なキャラは全員免疫持ちです(ただ、噛まれると100%感染します)。
要するに、その辺の一般人連中のみを都合よく一気にゾンビ化させる手段だったわけですね。
「発症に個人差がある」という設定もあるようなんで、作家性のある監督なら、ここで「主人公もいつかゾンビ化するかもしれない」というサスペンス描写を入れて話をややこしくしてくるところでしょうが、ベテランホラー監督のマイナー氏はそんな面倒な事に時間を割いたりしません。主要人物達は、自分達もゾンビ菌を吸い込んでいるという事を歯牙にもかけずに、普通に対ゾンビサバイバルに精を出すんです。で、脇で、どうでもいい奴が噛まれてもいないのにゾンビ化して襲ってくるという、“ちょっとしたサプライズ”に利用されるのです。
いやぁ、いいですねぇ、こういうB級映画ならではの感覚は。
この、いい意味でB級な感覚に、ストレートなストーリー展開、アイドル系なヒロインというのが合わさったからこそ、こんなにも楽しめる映画になってたんでしょうね。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
さて。このシリーズは元々、ホラーであるミイラ映画を、『インディ・ジョーンズ』のような冒険活劇映画として再生させたという所から始まりました。で、その本家『インディ』の新作とほぼ同時期の公開となったんですが、正直、アドベンチャー映画としては『ハムナプトラ3』の方が見応えがありましたね。映画トータルとしての面白さは同じぐらいか、やや劣るぐらいだと思うんですが、こちらの方が、より冒険心を満たしてくれる内容になっていました。本家に立ち向かって結果を残したとは、まさに大健闘です(まあ、この映画に関しては、公開まで予告編等の映像を一切見ないように頑張っていたんで、初見時のインパクトが大きかったからそう思えたというのもあるかも)。
こちらは『インディ』よりも、荒唐無稽さがかなり際立っているんですが、「荒唐無稽な映画だからこそ出来ること」というのをちゃんとぶち込んできていて、見ていて気持ちがいいぐらいにメチャクチャやってくれるんですよね。
死者の軍団が襲い掛かってくるし、イエティやドラゴンといったクリーチャーが登場するし、不老不死の人が出てきたりと、もはやファンタジー映画状態です。で、これら全てが、アクションシーンを盛り上げる為だけに入れられてるといっても過言ではないような使われ方をされてるんですよね。主人公達も強力な銃火器を装備していたり、接近戦でもかなりの戦闘力を見せたりと、ほとんどマンガのヒーロー並の強さです。
で、そういったアクションが、冒険行のアドベンチャーストーリーに絡み合って出てくるわけですよ。もう、見てて楽しくてしょうがないですね。「娯楽映画万歳!」と叫びたくなってくるぐらいにテンション上がりまくりです。
このシリーズの楽しさの肝は、アクションシーンの派手さはもちろんですが、それ以上に、キャラクターの面白味というのが大きいと思います。一人一人単体で見ると、まあ普通に面白いキャラといった程度なんですが、それぞれの掛け合いが面白いんです。チームプレーみたいなものですかね。もう、登場人物全員で映画を面白くしているかのように見えるんです。
一応、主人公はリックだと思うんですけど、リック一人だけだったら、あまり面白くならなかったと思います。ここに、エヴリンやジョナサン、アレックスが加わってくるからこそ、それぞれのキャラクターが活きてきて、ストーリーも面白くなってくるんですよね。
アレックスは、前作で8歳だったのが一気に22歳となり、ほとんど新キャラみたいな状況ではありましたけど、これもまた面白いキャラ設定がなされていました。例えば、インディ・ジョーンズは、冒険家であり考古学者でもあるというキャラクターでしたが、1作目では、リックは冒険家でエヴリンは考古学者(エジプト専門だったみたいですが)と、しっかりとした役割分担がされていました(『2』でエヴリンも冒険家系のキャラに路線変更しましたけど・笑)。そして、その二人の子供であるアレックスは、その両方を備えた、まさにインディみたいなキャラクターとして登場してきたんです。多分、主要キャラの中で、一番、単独で主役を張れそうなキャラなんですけど、今回はまだ若造という事で、さすがにそこまでの魅力はまだ出ていません。チームの一人といったポジションでしたけど、将来が楽しみな人材でしたね。
ただ、演じてるルーク・フォードという、『スター・ウォーズ』に出てきそうな名前の人の顔が、ちょっと、私のタイプじゃなかったんですよねぇ。ビジュアル的にあまりカッコ良く見えなかったのが残念でした。前作のアレックス少年の面影が感じられる顔立ちで、エヴリンの役者変更ほど違和感の無いキャスティングではあったんですけどね。
ちなみに、ジェット・リーが悪役で出ているのが見所の一つですが、前作のロック様があんな感じの出番だったんで、ジェットの活躍に関してはほとんど期待していませんでした。
なので、その低い期待感を上回るほどの活躍を見せてくれたのは嬉しい誤算だったんですが(CG無しでミシェル・ヨーやブレンダン・フレイザーと対決するシーンもありましたし)、やっぱり、「別にジェット・リーがやらなくても・・・」と思うような役柄でもありましたねぇ。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
そして、今回。監督も主要キャストも一緒なんで、基本的には前作の流れをそのまま踏襲しているんですが、さらに、リアリティ面をうんと突き詰めてきていて、もはやジャンル自体が「アクション映画」から「犯罪映画」みたいになってきていました。“ヒーロー物映画らしさ”の点がかなり薄められてきてましたからね。
そのせいで、かなり重くて暗い雰囲気になったんですが、代わりに、前作以上の重厚さとテーマ性が出てきました。
多分、監督のクリストファー・ノーランが、今回、いよいよ本領を発揮してきたという事なんでしょうね。前作の時はまだヒーロー物映画も大作映画も初挑戦という事で、あれでも「自身の持つ作家性」などをうまく発揮出来ていなかったんじゃないだろうか。
そこに、その前作と、合間の『プレステージ』といった、規模の大きい映画を2作撮った経験から、ついにこのハリウッドメジャーという場で、真の力を発揮する事が出来たのではないかと。
何しろ、ちょっと作家性が強い映画に出くわすと怯むこの私が、まんまと、一回目の鑑賞では面白さが完全に伝わらなかったという感想を叩き出しましたからね。これは間違いない。もう「多分、凄い映画なんだろう」と思うのが精一杯でしたよ。
要するに何が言いたいのかというと、それだけレベルの高い、見応えのある重厚な映画だということですよ。ちなみに、私も2回目を見に行って、その凄さを実感する事が出来ました。上映期間中にこの映画に追いつけて良かったです(笑)。
さて。バットマンと言えば、もちろん正義のヒーローです。バットマンに限らず、アメコミ映画の主人公はたいがい正義の味方なわけですが、今回のバットマンは“正義”というものを体言している存在のようにも見えるんですよね。
普通のヒーロー物映画の範疇では、あまりヒーローっぽい活躍をしていないようにも見える今回のバットマンですが(アクションシーンも少な目でしたし)、それでも、正義の為に身を粉にして活動しているバットマンの姿は、紛れも無くヒーローなんですよね。
CGを駆使した大アクションシーンが無くても、特殊能力が無くても、どんなスーパーヒーローよりもスーパーヒーローっぽいという印象で、この『ダークナイト』を見て、いよいよもってバットマンというヒーローが好きになってきましたよ。
一方、敵役ジョーカーは、バットマンと正反対に、“悪”というものを体言したキャラクターといった雰囲気でした。
この二人の対決は、「バットマンVSジョーカー」という、見たままの面に加え、「正義VS悪」という、観念同士のぶつかり合いにも思えてくるんですよね。
一見すると、ヒース・レジャーの熱演もあって、ジョーカーが目立って見える内容なんです。映画全体も重くて暗いという印象があるんですけど、そのジョーカーに対するバットマンの行動から、正義や高潔さといったものの尊さというのも同時に強く感じられるんですよね。
最初に見た時は犯罪映画っぽいと思ったんですが、やっぱり、紛れもない、“ヒーロー物映画”だったんですね。実のところ、今の時点で印象に残ってるのは、ジョーカーの方ではなく、バットマンの方なんです。もちろん、これは人によって違うと思うんで、あくまでも「私の場合」という話ですけど、ともかく、「正義を貫く事のカッコよさ」というのを、他のどんなヒーロー物映画よりもよく表現していたんじゃないかと思います。
ただ。そう思うのも、ジョーカーという絶対的な悪がいたから、相対的にバットマンの善が強く浮かび上がって見えたわけです。そして、そのジョーカーもバットマンという存在が世に出てきたからこそ登場したわけで(多分、バットマンがいなかったら、ケチな銀行強盗で終わっていたんじゃないんだろうか)、どちらにとっても、自分の属性(“善”と“悪”)を輝かせるには、お互いが必要だったという事になってくるんですかね。・・・う〜む、ここから先はもはや私の知性と文章力では語りつくせない段階だな(いや、もうその段階に片足突っ込んでるな・笑)。
と言うわけで、ここから話のレベルを落としていきますが、コミックヒーローと言えば、常人には使えない、凄い特殊能力がある所が魅力の一つです。一応、バットマンは特殊能力の無いヒーローという事になってますが、あのブルース・ウェインの財力は、下手な特殊能力より凄いですからね。ピーター・パーカーにこの能力があったら、スパイダーマンとしてのヒーロー活動もかなり楽になったでしょうに(笑)。ついでに、モーガン・フリーマンの新兵器開発技術も特殊能力クラスでしたね。もう少し若かったら、ブルース・ウェイン用のアイアンマンスーツも作ってしまったかもしれません。
一方、ジョーカーの方も、ほんの短時間に恐ろしい計略を練って、罠を仕掛けたり出来るという特殊能力を持ってました(多分、ジグソウも同種の能力を持ってると思われる・笑)。誰にも知られずに、短時間で病院に大量の爆薬を仕掛けるなんて、常人にはとてもマネできないでしょう。と言うか、常人なら、まず大量の爆薬を手に入れる時点でつまずきそうです。
普通のコミックヒーロー物映画では考えられないぐらいのリアリティを持ってる映画なんで、こういった点がツッコミどころと思ってしまいかねない所ですが、私はむしろ「こういう面があるからこそ面白い」と思いますね。そうじゃなかったら、このストーリーをバットマン映画で語る意味が無いという方に話が行ってしまいかねないじゃないですか。バットマン映画なんですから、「リアリティの無い箇所」というのがあってもいいはずなんです。
そういう面が所々にあるからこそ、中盤のバットマンバイク(そんな名前じゃなかったはずですが・笑)の場面が、他から変に浮いて見えたりせず、映画の見せ場として、迫力と面白さを素直に感じられるんだと思いますね。こういう、エンターテイメント性をおろそかにしてない所は素晴らしいと思いますね。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
というわけで、この2度目の映画化も、そんなに期待してませんでした。旧作も、面白かった事は面白かったですが、他のコミックヒーロー物映画群の中では普通ぐらいの印象でしたし。
ですが、今回の『インクレディブル・ハルク』は、私のそれまでの「ハルク観」を覆すような面白映画となっていたのです。
まず、ストーリーが良かったですね。主人公のブルースは、自分の力を悪用される事を恐れて、逃亡生活をしている、というところから始まるんですが(旧版で長々と描いていた「ブルースがハルクになるまで」をオープニングでちゃっちゃと済ましてしまう所が潔いですね)、『逃亡者』みたいな、主人公が何かから逃げているストーリーって結構好きなんですよね。昔遊んだ「かくれんぼ」の面白さを思い出させるんでしょうか。主人公が目立たないように隠れ住んでる描写と、近くまで迫ってきている追跡者みたいな展開を見てるとワクワクしてきます。
そして、見つかった後に始まる逃走劇も、きっとまた「鬼ごっこ」を思い出してりしてるんでしょうなぁ。見ててドキドキしてきますよ。しかも、どことなく『ボーン・アルティメイタム』の中盤の追跡シーンを思い出すような映像で(あの映画ほど画面は揺れませんでしたが・笑)、「ああ、今流行の描写を入れてるんだな」と、作り手のサービス精神が感じられて、微笑ましい気分になりました。
基本的には「逃げ」のストーリーですが、心拍数があるレベルまで上昇すると緑の巨人ハルクに変身して大暴れを始める、というアクションシーンが始まります。これも、前半・中盤・クライマックスと、考え抜かれたペース配分で登場してくるうえに、3回とも見せ方が違うというバリエーションがあるのがいいですね。
最初は、ハルクがどんな姿なのかをあまり見せないような演出がなされています。ここは追跡していた特殊部隊連中の目線でもって描かれて、「何か、とてつもないモンスターが現れたらしい!」みたいな感じになっているんです。
この映画を見に来る観客は、ハルクがどんな容貌で、どんな暴れ方をするのかはほとんど知ってると思うんですけど、敢えて、最初の登場は「チラ見せ」で終わらせるんですよね。
で、中盤では真昼間にドカーン!と姿を現せて、広い舞台でもって大暴れを見せ、クライマックスではハルクレベルの大型モンスターと直接対決と、映像的にどんどん派手になっていくんです。ちなみに、終盤、ちょっと『クローバーフィールド』を思い出させるような演出でラスボスの登場を演出しているのを見た時は「ああ、今流行の描写を入れてるんだな」と、作り手のサービス精神が感じられて、微笑ましい気分になりました(2回目だな・笑)。こういう、観客が喜びそうな映像をちゃんと入れてくれるという映画はいいなと思いますよ。
さて。私が「この映画が成功したのは、コレのおかげだ」と思った要素があります。それは、「魅力的な悪役の存在」でした。歴戦の傭兵みたいなキャラなんですが、ハルクの圧倒的な強さに魅せられて「ボクもああいうマッチョマンになりたい!」という欲望を募らせていき、最終的にはハルクみたいなスーパー・モンスターになっていく事になります。
で、このティム・ロス演じる悪役、3回出てくるハルクが暴れるアクションシーンに必ず出席して、しかも出席するごとにパワーアップしてハルクみたいな巨大モンスターと対決するという、本来なら主役のヒーローがやりそうなポジションにいるんですよね。
で、コイツがまた強いんですよ。相手がハルクだから遅れをとっていただけで、テロリストとか犯罪者みたいな、生身系のアクションヒーローが相手にするような敵とだったら互角以上に戦えるような奴なんです。
そして、「身体能力のパワーアップ」が施された状態でハルクと2戦目を迎える中盤戦では、なんと、生身でハルクと一対一で渡り合ったりするんですよ。その姿もちゃんと映像で表現されていて、正直、劇中でここが一番燃えたシーンでしたね。いくらパワーアップしてるとはいえ、あんなバケモノと生身で対決するなんて凄すぎです。
もう、下手したらハルクよりもこっちの方を応援したくなるぐらいなんですけど、ハルクことブルース・バナーをエドワード・ノートンがまた魅力的に演じてるものだから、やっぱりハルクの側に肩入れして見てしまうんですよね。
キャスト面は、前のエリック・バナも良かったですけど、今回のノートンも良かったですね。普段の立ち居振る舞いにはハルクと正反対の雰囲気があるんですけど、心の奥に魔物を潜ませてる二重性をもってるというキャラクターにはピッタリな感じもありますからね。何よりも、「この人がヒーロー映画で主役をやっている」という意外性があって、何だか目が離せないキャラクターといった感じでした。
ただ。ブルースを誰が演じようが、敵がどんなに魅力的に描かれていようが、ラストバトルは結局「CGの怪物が殴りあう」という絵になってしまうんですよね。
こういう、大型の怪物同士の戦いはこれまでも何本か出てきましたけど、大抵、「金の掛かってるシーンの割に、見ててさほど燃えない」みたいな感じになっていました。唯一「これは凄い!」と興奮したのが、『キング・コング』の、コングと恐竜の対決シーンでしたね(そう言えば、今回のハルクとリヴ・タイラーの絡みは、コングとアン・ダロウのツーショットを思い出しましたね。「ああ、今流行の描写を入れてるんだな」と言いそうになりましたが、これは別に流行ってないすね)。
で、この映画ではどうだったのかと言いますと、まあ、やっぱり「実写の人間が絡んでる分、前のアクションシーンの方が面白かった」という印象でした。ただ、敵がハルクより強い設定である事と、ハルクが初めてヒーローとして敵と戦うという状況であるという事で、ストーリー上では最も燃える、クライマックスに相応しいシーンになってるんです。
そして、ハルクが何やら必殺技のようなものを繰り出すという意外な見せ場まで登場してきたのには驚きました。ゲームやコミックなら不思議は無いですけど、まさか映画のハルクがあんな「いかにも必殺技」みたいなのを使用するなんて(それも、ハルクになる前はエドワード・ノートンだった奴が・笑)、思ってもみませんでしたからね。
と言うわけでこのラストバトル、この手の「CGの怪物が殴りあう系」のアクションシーンの中では、かなり良かったと思いましたね。
ところで、ハルクに変身するのは、キレたり怒ったりした時、という設定なのかと思ってたんですが、今回は走ったり興奮したりで動悸が乱れても変身してしまうんですね。と言うか、今回のブルース、結局一回も怒ってなかったような(笑)。
ただ、もちろん怒っても駄目なので、潜伏先で感情をコントロールする訓練を受けている、というのが面白いです。で、普段感情をあまり外に出さないおかげで、ブルースが凄くクールに見えたものでした。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
内容は、「何だか分からないけど、人が次々とおかしくなっていく」という話です。これが「おかしくなって、他の人を襲うようになる」となるとゾンビ映画になるんですが、この映画のおかしくなった人は、自殺を始めるんです。
「おかしくなった人が他の人を襲う系」の映画とかだと、その襲ってくる奴から逃げればいいとすぐに分かるんですが、この映画の場合、そういう、「コレから逃げればいい」という対象が無いんですよね。何が原因なのか、何から逃げればいいのか、といった事が分からず、「とにかく、人々が自殺を始める」という現象のみが静かに広がっていくという状況なんです(中盤頃には、「どうやら、コレを避けたらいいらしい」というのが発見されるんですが)。
そして、この自殺の描写が結構見ててキツいんですよね。“殺人”ほど、映画で見慣れてない描写だからというのもあると思うんですが、見てて思わず身構えてしまうようなショッキングな死に様を見せる奴とかも出たりするんです。映像的にも「おかしくなったら、大変な事になる!」というのがしっかり描かれるんで、余計に、この異変が恐ろしく思えてくるんですよね。
また、災害に直面している登場人物達の不安感というのもよく表していて(“災害”という表現でいいのかどうか微妙なところですが)、見てるこっちも一緒に映画の世界の中で不安と恐怖を体感出来るかのようです。しかも見てる側は「人々がどうやって死んでいるのか」というのを、登場人物以上に見ているので、余計に怖く思えてしまいますね。
それにしても、この、「恐怖の対象が目に見えない」というのは、怖いのと同時に凄く面白いです。下手したら地味な話になりかねないところですが、そこはさすがのシャマラン先生ですよ。巧みな演出とストーリー運びで、見てて全く飽きさせませんでした。
主人公を演じるマーク・ウォールバーグも、頼りがいのある雰囲気があって、この手の映画の主役として申し分ない存在感がありましたね。パニックになると鼻の穴がどんどん広がっていく辺りも見てて面白かったです(爆)。
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(注)『宇宙戦争』と『ミスト』のネタバレ話も出てきます。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
と、二人のアクションに関してはもう文句無しなんですが、さらに、映画としての面白さも抜群でした。まず驚きなのが、2大巨頭が「物語の主役ではない」という事です。でも、そこがストーリーを面白くしてるんですよね。
主人公は、現代のアメリカに住む、「カンフー映画好きのボンクラ青年」という等身大極まりない人物で、自分を重ねて感情移入して見るのにもってこいのキャラクターなんです(笑)。で、この主人公が『ナルニア国物語』みたいに、ファンタジーワールドに飛ばされてしまいます。ただ、『ナルニア』と違って、昔の中国のような世界ですけどね。で、この世界でジャッキーとジェット・リーと出会い、カンフーを教わって強くなっていくわけです。
「ジャッキーとジェット・リーに鍛えてもらえる」。しかも「二人と共闘出来る」という、ファンの夢をそのまま映像にしたかのようなストーリー展開を見せてくれるわけですよ。さらに、一緒に仲間になったミステリアスな若い女の子といい関係になったりするんですよ。もう、「これ以上何を望むのか」というぐらいに愉快な内容ですわ。
一応、修行シーンもちゃんとありますけど、それにしても主人公はあの短期間では考えられないぐらいに強くなっていきます。でも、何しろこれはファンタジー映画ですからね。不老不死の人が出てきたり、妖術を使う奴が出てきたりするような世界なので、ひ弱な青年があれよと言う間にカンフー使いになる事にも違和感はありません。むしろ、見てる自分が強くなったような気がして嬉しくなってくるぐらいです。
いやぁ、もうほんと夢のある映画ですね。ある意味、どのファンタジー映画よりも夢を感じさせてくれましたよ。
この主人公を演じてた人も、最初に見た時は「どこのサルだよ」とか思うぐらいにパッとしない雰囲気だったんですけど、ストーリーが進んでいくにつれて、外見も段々と頼もしく見えてくるようになるんですよね。格闘アクションの動きもかなり様になってました。
ちなみに、敵役の将軍はてっきり見た事の無い人なのかと思っていたんですが、実は『マトリックス』シリーズでセラフ役を演じてた人だったんですね。ネオと互角のバトルを繰り広げてた奴なら、ジャッキー&ジェットの敵役としては申し分無いんじゃないでしょうか(まあ、ジャッキーとの絡みはありませんでしたけど)。
◎満足度 ★★★☆☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
それにしても、アクションシーンが少なかったですねぇ。アクション以外の面では、結構、一作目の雰囲気が出ていて良かったんですけどね。風刺面も相変わらず絶好調で、連邦軍がブッシュ政権のアメリカのパロディに見えてしょうがなかったですし。
もちろん、かなり誇張されて描かれているんですけど、「戦争大好き国家の行く末、延長線上」みたいに思える世界でした。
そして、なぜか今回、ストーリーに「宗教」が大きく絡んでくる事となりました。コレが出ると、一気に話が胡散臭くなるなと思うぐらいのアンチ宗教な私としては、あまり面白くない展開でしたが、これのおかげでクライマックスのマローダー登場シーンが驚く程バカバカしくなっていて、「コレはすげぇ!」とか思えたんで、まあいいかなとも思います。
ともかく。宗教が出ようが何が出ようが、アクションシーンをちゃんと見せ場として定期的に出してくれれば私は満足出来たんですが、今回の監督、あまりアクションに興味が無いみたいなんですよね。大型のスコーピオン・バグなんて、いいキャラクターだったのになぁ。もっと、強敵として活躍させて欲しかったです。
そして、お待ちかねのパワード・スーツことマローダーも、ほんと、「ただ出しただけ」みたない感じなんですよね。ビジュアルと装備品はしっかり描かれていたんで、「アクションは各自で想像しなさい」という事なのか。
ただ、聞くところによると、今回の監督さんはシリーズの脚本を書いていた脚本家の初監督作らしいですね。それなら、アクションよりストーリーを語る方に力が入ってしまうのも無理はない事だと納得出来ます。やっぱり、「自慢のストーリーをしっかり語りたい」という思いが出てきてしまうでしょうからね。
ただ、納得は出来るものの、やっぱり残念ではありますね。1作目があれだけ支持されてるのは、独特の世界観はもちろんですが、何よりも迫力の戦闘シーンがあって、見てて燃える映画だからというのが一番の理由なのではないかと思うんですよね(少なくとも、私が1作目の好きな点はこの部分ですし・笑)。
と言うわけで、消化不良気味な印象の映画でしたが、活躍が少ないとはいえ、キャスパーの勇姿を(まだ若さが多少残ってるうちに)大画面で見れたのは良かったですし、エンディングテーマ「今日は死に日和」がイカしてたんで、「見て良かった」と思える映画ではありました。
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
超有能のスーパーコップの主人公が、能力が高すぎるという理由で上層部から反感を買い、田舎町に飛ばされる事になるんですが、その平和なはずの田舎町で、猟奇連続殺人事件が起こる、というストーリーです(殺人とか死体の描写が驚くほどのグロでしたねぇ)。
で、こんな大事件が起こって、町は大騒ぎになり、ちょうど都会から来ていたスーパーコップの主人公が頼られる事になる、という展開になるのかと思ったら、何故か、話はそういう方向に進んでいかないんです。大騒ぎになるどころか、「事故だろ、これ」みたいな事を言われる始末で。
これは、例えば『TAXi』の世界みたいに、主人公以外の人がアホばっかりで、猟奇殺人事件を見ても、それが大事だというのが理解出来ないから、という、コメディならではな展開なわけですけど、実は、そんな単純な話ではなかったという事が後に知らされる事となるんです。
この映画、他にも、本筋と関係無い小ネタかと思われていたものが、後に本筋に絡む伏線だった事が判明したりと、ストーリーが凄く丁寧に練られているんですよね。ラストにドンパチが唐突に始まる事に関しても、「コメディ映画だから」とか「アクション映画だから」という事だけではなく、ストーリー上にもきちんとした理由付けがあったりするんです。この辺り、エドガー・ライトの脚本の才能には感心するばかりです。
と言うわけで、「映画としての完成度」では100点満点の映画だと思うんですが、実は、私にとっては、あまり心に響かない映画という印象だったんですよね。
思えば、前作『ショーン・オブ・ザ・デッド』も、ゾンビ映画としては非常に良く出来た、大変素晴らしい映画だとは思ったんですけど、何か、見てて心ときめかなったんです。
ゾンビ映画と刑事アクション映画は私の大好物ですし、ほんと、このエドガー・ライトという人はいいところを突いてくる奴だなと思うんですが、どうも、この人の映画、全体的に「オレの為に作られた映画ではないらしい」というのが感じられるんですよね。
私の勘違いかもしれないんですが、この人の映画、他のオタク系監督と比べると、対象への“愛”が全然感じられない気がするんですよねぇ。もちろん、ゾンビ映画も刑事アクション映画も好きなんだろうとは思うんですが、そういうジャンル映画へのリスペクトよりも、「オレの手にかかれば、このジャンルの映画でもこんなに凄い映画になるんだぜ」という、自己顕示欲的なものが感じられるんです。で、何か見てて「このエリート映画作家め!」とかいう思いが出てきて、思ったほど楽しむ事が出来ないみたいな事になるんですよね(そう言えばこの映画、公開前の段階で、私の嫌いな「映画鑑賞のエリート」であるブロガー連中に支持されてましたからねぇ。何で嫌いかと言うと、私の好きな映画を普段、上から目線でケナしてくる事が多いからですよ。ただ、この映画が劇場公開に漕ぎ着けたのはこの人達の尽力があればこそなんで、あまり悪くは言えないですが・・・)。
では、何でそんな事を思ってしまうのかというのを考えてみたところ、多分、作風に“ミニシアター系っぽい感じ”があるからなのではないかと。この系統の映画は、私の好きな映画の対極に位置してるみたいなものですからね。なので、「私の好きなゾンビ映画や刑事アクション映画が、ミニシアター系の位置に貶められた!」という思いがあったんではないかな、と自己分析してみましたが、もう一回改めてこの映画を見たら、また全然違う印象を持つかもしれません(何だそりゃ)。
まあともかく。私みたいなクソ庶民としては、こんな超ハイクオリティの映画よりも、マイケル・ベイ監督作みたいな(劇中に『バッドボーイズ2』を見るシーンが出て来ましたけど)、ノリと勢いだけだけど見てて熱くなるような映画の方が好きですねぇ。
ちなみに、この映画にも終盤にそういうようなシーンが出てくるんですが、ちょっと、気取ったようなハナにつく演出だったんで、あんまり燃えられませんでしたね。本来、アクション映画ファンなら感涙してもおかしくないようなシーンだったんですけどねぇ・・・。
◎満足度 ★★★★★ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
で、本編を見るのをそれなりに楽しみにしていました(全米でコケたというニュース等で期待値が少々下がりながらも・笑)。「あのウォシャウスキー兄弟がファミリー映画をどう撮りあげたんだろう」という興味もありましたね。
そんなこんなで本編を見てみましたら、これがもう、驚く程の面白い映画じゃないですか。映画が始まって1分ぐらいでもう作品世界に引き込まれていました。
映像から演出まで、一貫して、カラフルで楽しいものになっているんですよね。劇映画としてはかなり奇抜な演出とか出てくるんですけど、もう、世界観がそういうのがアリな雰囲気になってるんで、その奇抜さがむしろ新鮮で楽しく思えるんです。
これは、多分、オールCGのアニメ映画だったら、特に新鮮に思うような事も無かったと思うんですよね。逆に、CGを抑えて実写の割合を多くしたような映像だったら、奇抜な演出が浮いて見えたんじゃないかと思うんです。
「人物以外はほとんどCGという世界で、アニメなら違和感無いけど実写映画としては特異な演出でもってストーリーを語っていく」という手法ならではの面白さというのが強く感じられましたね。
ちなみに、この、全体的にマンガチックな雰囲気は、どこか『シン・シティ』を見た時の驚きと新鮮さを思い出させてくれました。もちろん、あの映画とカラーは全然違いますけどね(笑)。
監督は原作アニメの大ファンだったようで、その原作アニメを見た時の当時の楽しさを、現代の観客にいかにして伝えるか、という事で辿り着いたのがこの映画、という事なんでしょうね。見てる時は分からなかったんですが、原作アニメを意識した演出がかなり入っているようです。
そして、監督だけでなく、音楽のマイケル・ジアッチーノも原作アニメにかなり思い入れのある人のようで、原作を見ていなくても、誰しも聞いた事のあるあのお馴染みのメインテーマもしっかり使われていました。で、主人公がピンチを切り抜けた時にこのメインテーマが高々と鳴らされるのを聞くと、原作に興味が無かったはずなのに、何か興奮と感動が感じられてくるんですよね。これは、製作側の、原作に対する愛が観客にも伝わった、という事なんでしょうかね。
と、演出から音楽まで、原作リスペクトに満ちているんですが、不思議と古臭さが全く無いんですよね。むしろ、今まで映画では見た事が無かったような演出というふうに感じられて、ほんと「新しい、21世紀の映画を見てる」という気になるんです。多分、古臭い部分というのもあると思うんですけど、そこに何かを加えて新しさを感じさせてるとか、きっと色々な細工がしてあるんでしょう。
レースシーンも、スピード感があって、見てて非常に気持ちが良かったです。時速数百キロとか出てるようなハイ・スピードの世界をよく表現していたと思います。あと、これはゲームをやっていたからこそ感心した点なんですが、そんな超スピードで走っているのに、コーナーで壁に突っ込んだりとかしない所が、何か単純に「凄い操縦テクニックだ!」とか思えたんですよね(笑)。あの横滑りで曲がる技術(ドリフトだかドリフ大爆笑だか、そんな名前でしたね)、慣れるまで大変でしたからねぇ。
もう、映画を見ながら、ついコントローラーを探してしまうような映像なんですけど、こういう、ゲームを想起させるような演出は多分、映画ファンの間では好き嫌い分かれるんでしょうね。私は元ゲーマー(ただし、あまり上手くはない・笑)なんで、こういう映像や演出は大好きなんですが。ついでに、「上手い人のプレイを後ろから見てるのも好き」という奴だったんで、主人公の超絶なテクニックに普通に感心して見れました。
で、CG映像等のデジタルな面の面白さだけでなく、ストーリー面、特に、家族愛をしっかり描いている辺りの感動と面白さというのがちゃんとある所がいいんですよね。ストーリーがしっかりしてるからこそ、レースシーンであれだけ燃えられたんだと思います。特に、冒頭のレースシーンで、主人公スピードが、兄のコースレコードを超えるかという所で、わざと減速してゴールした所は実に印象的でしたね。スピードがどれだけ兄の事を慕っていたのかというのが伝わってきて感動しました。
キャラクターも、外見内面共にしっかりと立っていたのもいいです。主人公はもう見るからに爽やかなナイスガイですし、才能の高さもしっかり感じられて主人公の貫禄十分でした。そして、そんな主人公を食うぐらいの魅力を持った脇役、レーサーXのカッコ良さにはシビれまくりでしたね。マンガなんかでもよく、「主人公よりも人気が出てしまう」というクール系の脇役っていますからね。こういうキャラが映画で出てきたというのが何か面白いなと思ってしまいます。ついでに、二人とも原作のコスプレが似合ってる辺りも素敵でした。
他にも、ヒロインも可愛らしかったですし、パパママもいい人でしたし、何より、「お笑い担当」である子供とチンパンのコンビは良かったですね。正直、大人目線だとこの子供は少々邪魔に思える所もあるんですけど、この映画がファミリー映画だというのを考えると、まさに欠かせない存在ですからね。
ただ、レースの背景の陰謀話とかは、子供には難しいし、あまり興味も持てない話だと思うんですよね。ファミリー映画なんですから、もっと単純な話でも良かったんじゃないかなと思ったものでした(サクセスストーリー的な話にするとか)。
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
まず、この映画の顔とも言うべき、ミラクル7号こと“ナナちゃん”ですが、これがもう、超絶に可愛らしかったです。ウチにもナナちゃんと同じぐらいの大きさのブタが飼われてるんですが、何しろコイツは生き物ではないんで表情に乏しいという欠点があるところ(まあ、生きてるブタも表情はあまりないですけど)、このナナちゃんは姿形だけでなく、表情もとても愛くるしいんですよね。
で、そんな可愛らしいナナちゃんを、登場人物達が虐待するんですよねぇ。ここが、最初に言っていた「引っかかった点」ですよ。多分、ギャグでやってるんだと思うんですが、殴ったり、引っ張ったり、叩き潰したり、挙句の果てには水に沈めたり(順番的にはこれが一番最初に出てきた虐待描写でしたが)。
そりゃ、宇宙からやってきたというファンタジックな存在ですし、こういう事をされても怪我一つしないタフさをもってる奴ではあるんですけど、ちゃんと痛そうなリアクションをしたり、いじめる人達から怖がって逃げたりとかするんですよ。なんて可哀想に。
思えば、この人の映画は前から暴力描写が過剰なところがあったんですよね(それで、『少林サッカー』も初見時はあまり印象がよくありませんでした)。でも、これまでは、暴力を受けるのが中年のおっちゃんとかだったんで、まだ良かったんですけど、今回はいたいけな小型動物というのがねぇ。
多分、相手がいじめに耐えられるぐらい強ければ痛めつけてもいいしギャグにもなる、という理論なのかもしれないんですが、いくらタフでも、確実に痛がっているし嫌がってもいるという描写がある中での折檻なんで、これは、見ててかなり抵抗がありましたねぇ。
で、それだけ痛めつけられているにも関わらず、何故かナナちゃんは主役の少年になついているというのがまたわけが分からなかったですね。DV夫婦じゃないんだから。
ただ。ここまでは、「ナナちゃんが動物」という観点で見た場合の話です。宇宙人の“ペット”ではなく、アイボみたいな“ペット風ロボット”の可能性もない事はない存在でもあるんですよね。時々、頭からバネが飛び出てる時がありましたし(笑)。
だから、生き物ではなく、スピルバーグの『A.I.』に出てきたテディベアロボットみたいな存在なのかもしれません。「どんなにいじめられようが、健気に主人に、と言うか、持ち主に尽くす」というのも、「そうプログラムされてるから」と思えば、容易に納得する事が出来るというものです。
でも、そういう観点で見れば楽しめるかと言えば、そうでもなかったりするのが厄介な所です。やっぱり、例え生き物ではないとしても、「見た目が可愛いもの」が攻撃を受ける様を見るのは結構苦痛なんですよね。
と言うわけで、私的には、ちょっと見てて辛い映画でした。
ただ、これ以外の面は面白かったんですよね。ギャグシーンも笑えましたし、終盤のお涙頂戴シーンも結構ウルウル来ましたし、ラストに至っては、もし映画館じゃなく、家で一人で見ていたとしたら間違いなく号泣していたと思います。あと、口の悪い親方が優しさを見せる場面も非常に印象的でした。
これで、虐待描写がソフトだったら、もっと好意的な感想を持てたと思うんですよね。残念です。
◎満足度 ★★★★☆ (見終わった後にどれだけ満足感が残ったか)
<個人的感想>
主人公のトミー・リーは、元軍警察にいた、厳格でいかついガンコオヤジです。で、そのトミーオヤジの息子も軍人なんですが、イラクから一時帰国していて基地で休んでいる所、突如行方をくらませた、という連絡がきたんで、「あの、自慢の息子が黙って失踪するようなマネをするハズがない」という事で、息子を探しに、基地のある町まではるばるやってくる事となります。
ですが、残念な事に、死体で見つかってしまうんです。それも、CSIのメンバーが担当するのが似合いそうな、それは無残な有様で。当然、トミーオヤジも大ショックを受けるわけですよ。この辺りのシーンは、「息子を失った親の悲しみ」というのが強く出ていて、凄く感傷的でしたね。ショックを受ける演技をするトミー・リーの演技も、非常に感情を揺さぶられるもので、思わずもらい泣きしてしまいそうでした(トミーの方は泣くのを堪えているんで、こういう場合は“もらい泣き”とは言わないのかも。かと言って“フライング泣き”という表現もどうかと思いますし・笑)。
それで、トミーオヤジは今度は、「何故、そして誰に殺されたのか」というのを調べようとします。ですが、殺人事件の調査を警察に代わってトミーがやってしまう、というわけではなく、地元警察の、シャーリーズ・セロン演じる女刑事が事件を担当する事となり、こちらが主に事件の捜査をする事となるんです。でも、トミーも元軍警察にいた敏腕デカみたいな奴なので、時々捜査に同行したりと、あまり表立たない程度に事件と関わっていく事となります。
ここからしばらくは、刑事物のサスペンス映画みたいな面白さがあって、単純にストーリーを追って見てるだけで楽しい、という感じでした。また、ストーリーの合間に、トミー・リーとシャーリーズ・セロンの演じるキャラクターの人物像等を行動で描写するシーンというのが結構多く入ってきているのも良かったですね。キャラクターに深みが感じられますし、ただでさえ、演技の腕に覚えのある人達を起用しているんですから、もう、容易に感情移入出来てしまえます。
さて。ここまでは、別に重い話でもなければ、『クラッシュ』並みのいい映画とも思えないような、言ってみれば、普通に面白いサスペンスドラマという印象でした。
ですが、事件の真相が分かってから、一気に「ああ、世界は(と言うか、アメリカは)もう、ここまで病んでしまってるのか」と愕然とする事となるんです。ここからがこの映画の真骨頂みたいな感じなんですが、ネタバレになるのでここでは書く事が出来ません。
と言うわけで、
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