無礼講- "sakura"sidestory3 -

蓬莱島の中で、盛大に行われている花見大会。
本来なら今ここに住んでいる仙人達のみで行われていたはずであった大会も、 誰の差し金かいつの間にやら神界から訪れた神々達も加わって、 壮大なものへと変わっていた。
そんな中、数々のグループができている中で、ひときわ目立つ集団があった。

「あはははは!太乙もっと飲めよ〜。勢いがないぞ勢いが!!」
完全に酔っているのか、太乙の肩に腕を回しながら絡んでくる道徳。
「いい加減にしろ道徳!!いくらなんでも羽目を外し過ぎだ!!!」
絡んでいる道徳に向けて指を指しながら燃燈が叫んでいる。
その片手に持った器に酒が注がれる。
彼も随分と飲んでいるようで顔は赤い。
「そんな硬いこといわずに…こういう場所では無礼講なのが普通だろ」
「慈航、お前も完全にできあがっているようだな。それよりもそれ以上酌むと燃燈まで…」
燃燈の隣で、彼に絡む慈航に注意を促す玉鼎。
先ほど注がれた酒を飲み干し、空になった所へ絡み先を変えてきた道徳が酒を注ぐ。
「ほらほら燃燈もどんどん飲めって〜」
「もう遅いんじゃない?燃燈顔真っ赤だし。明日も仕事あるだろうにね」
自分たちのペースで花見らしく桜を臨みながら酒を口にする太乙と玉鼎は二人に絡まれている燃燈や、 横でちゃんばらもどきまで始めている広成子と赤精子を横目に見ながらつまみをつつく。
「いつもお前たちがそんなだから片付けを押し付けられるのだ…!」
いいながら注がれた酒を律儀に飲み干す燃燈。
このおかげで既に大量の酒を飲んでいることに自身、気づいていないのだった。
酒を勧めに絡んでいる二人にとっては丁度いい絡み先である。
「止めなくていいのか玉鼎」
太乙や玉鼎とともに飲んでいた黄竜が玉鼎に尋ねる。
「彼もそう酒に弱いわけではないし。まだ大丈夫だろう」
「―――たまには自分たちで片付けの大変…さ…を…」
呑気に話していた三人を他所に顔を真っ赤にした燃燈が握り拳を組んだまま後ろへ倒れた。
「水はあるか?」
「はい、お水。行ってらっしゃい玉鼎」
「あとの二人は任せてくれ」
「…いってくる。」
玉鼎は飲み途中だった酒を残して、コップに汲まれた水を手に倒れた燃燈の所へ移動する。
不意に残った二人の後ろから声がかかる。
「大変ねぇ…そっちも。」
声の主は十天君の一人、金光聖母。
「そっちも大変そうだね」
隣接した場所にあった二つのグループは、互いにいがみ合う事もなく互いに騒いでいた。
しっかりとした人型を取っていない分、面積としては十天君の方が広かったが。

「やあ〜十人いないのに十天君だなんておかしな言い方だな〜」
絡み先がなくなった二人がとうとう十天君に絡みだしたようだ。
「そっちこそ一人増えて十三人になってるのに十二仙か?」
絡まれた妖天君が答える。
「そっちは一人減ってこっちは一人多い。 どうせならいっそのことこっちの一人を十天君にいれるとか?」
酒瓶を片手に慈航が人差し指を立てながら話す。
「あははは!!そりゃいいな、それなら燃燈もらってくか?一番人間離れしてるってことで」
傍で聞いていた霊宝や黄竜、広成子達が小さい笑みを浮かべてふきだす。

大声で話しているせいで少し離れた場所に移った本人にも聞こえていたようだ。
今度は真っ青になって桜の木にもたれかかっている燃燈が呟く。
「誰が人間離れして……う゛。」
「ああ〜、大丈夫か?ほら水だ。」
木にもたれながら口元を抑える燃燈。
玉鼎は右手をパタパタとさせながらそよ風を送る。

「それにしても見事な桜だのう、霊宝?」
「そうじゃのう〜。懼留孫」
二人でお茶を啜りながら和んでいる。
「確かに見事な桜。それを臨みながらこうして酒に浸るのもやはりいい」
その二人に加わって、お猪口と徳利を傍に文殊は口に酒を運ぶ。

そこから少し離れた場所。
「離せーーーーーー!!わしもあそこに行くんじゃーーーーーー!!!!」
蝉玉にしっかりと体をつかまれ、暴れる道行。
「素敵な桜ねハニー」
「…こういう時こそナンパを…」
同様に土行孫も蝉玉にもたれられて身動きが取れなかった。
「何か言ったハニー?」
「…い…言ってません」
その鬼のような意思を悪魔の笑みに感じた土行孫は涙を流しながらじっとしているのであった。

「よいのか普賢?あっちにまざらなくて」
向こうの方で騒いでいる十二仙を指差しながら普賢に声をかける太公望。
「大丈夫だよ望ちゃん。あっちはあっちで楽しんでるみたいだから。 僕はこっちにいた方があってるしね。」
「そうか。それならばいいだろう」
顔を青くして横になった二人の隣で太公望と普賢はゆっくりと桜を楽しんでいた。

夜が明けて、空が明るくなる頃。昨夜の騒ぎが嘘のように静けさを取り戻した花見会場。
片付けの為に何十人かが散らばったゴミや広げられた敷き布を片付ける。
「神界にはいつ戻るんだい?玉鼎」
片付けをしながら、太乙が玉鼎に尋ねる。
「この片付けが終わり次第だな」
「う〜頭いて〜…」
道徳はだるそうに片付けを行っている。
「あ〜…たりまえ…だろう。あれだけ…飲めば…」
おぼつかない足で歩いてゴミを拾いながら、燃燈も頭を抑えている。
相当だるいらしい。
「年寄りに片付けをさせるとは」
しぶしぶと霊宝や懼留孫も片付けを手伝っている。
「ジジイどもだって元気じゃねぇか。当然だ。…今はこっちの方がつらいぐらいだぜ」
「飲みすぎるからだろう」
黄竜は、燃燈や道徳のように気だるそうに動く慈航の背中を叩いて、 慈航の持ったゴミ袋にゴミを放り込んだ。

そして片付けが終わった神々の面々は再び神界へ戻ることとなり、 蓬莱島には普段の時間が戻る事になる。
数人の二日酔い者を残して。

-了-


やっぱり燃燈さん出張りすぎ*
というのはまあおいて置いて。
道徳と慈航単なる酔っ払いになってますね。ふう。

元々の構想だともっと十天君が絡んできていたのですが、
入力の都合上カット*<めんどくさい。
それでも十二仙は単語登録してまで打ちました;

そして、書きながら気づいたことがひとつ。
時代も設定もばらばら*
つーわけで時間についてはもう突っ込みは無しという事で。
元始がいるのに呂雄がでてきても笑って許してv<ネタばれ;
…詮索はしないでください。

次回は家族話。封神その他の小説らしいお話に…なってくれるかしら?

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