つくし- ["sakura"sidestory1 -

「ねぇ太公望!一緒につくし取りに行きましょうよ!!」
蝉玉が土行孫を連れて執務室に駆け込んできた。
「蝉玉君。太公望師叔なら自室にいますよ」
仕事を着々と進めながら楊ゼンが答える。
「自分の部屋?…楊ゼンの部屋じゃなくて〜?」
その科白に思わず吹き出したのは、楊ゼンではなく燃燈であった。
「そうですね。 僕の部屋に居てくれたほうが僕としてはいいんですが最近はたまにしか来てくれないんですよね」
対して楊ゼンは冷静に、いたってまともに返事を返している。
「はいはい、ごちそうさま」
「お…お前たちそんな話しかできんのか…」
燃燈は微妙に震える声で書簡を片付けながら二人の会話に突っ込みを入れる。
「あ〜ら、何をそんな話だなんて一体どんな事を考えておられるのかしら〜」
「な!なにを言っている!!断じて私はそういう事を考えてなど…」
「そういう事ってなにかしら?私は純粋な乙女だからわからないわね〜」
蝉玉に完全にからかわれているようだ。
「…突っ込まなければいいのに」
毎回のことのように張奎が誰に聞かれぬように呟いた。
「おお蝉玉。めずらしいのうお主がこんな所に顔をだすとは」
入口の扉が開いて太公望が顔を出した。
「師叔をつくし摘みに誘いに来たんですよ。
…もうすぐ終わりますから一緒に行ってもいいですか?」
「構わぬと思うぞ。のう蝉玉?」
いまだ燃燈をからかっている蝉玉に声をかける。
どうやらからかうたびに燃燈がむきになっているようで、かなり楽しんでいるようだ。
土行孫は呆れ顔で蝉玉に連れられている。
「え?ああ、いいわよ一人ぐらい。それに楊ゼンだしねぇ」
にやけ顔で太公望を見ながら答える。
「いくならさっさと行って来い!!」
とうとう逆切れを起こしたようだ。燃燈が扉を指差しながら叫ぶ。
「じゃあ楊ゼンも連れて行くわね〜!」
「ああ、勝手に連れて行けばいいだろう!!いちいち聞く事でも……何?」
燃燈が気付いた時にはすでに部屋の中に彼女達の姿はなかった。
「まだ仕事残ってるね」
楊ゼンの机を横目で見ながら、張奎が呟いた言葉だけが部屋の中に流れた。

-了-


楊太話"桜"の外伝第1弾。

最初は桜のラストへ続くシーンだったのですが、 あまりに長くなってしまうために別の話にしました。
というより桜のラストを短くしたので入らなかったという事です。
もう一つの理由は、楊太小説なのに蝉玉と燃燈がでばりすぎ*
ということで超SSに変更決定。

因みに外伝話は全4話。

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