悪戯

 

 

 

「延王、お話があります」
 尭天、金波宮。景王陽子の住居、正寝の一角にある房室で、この城の主は神妙にこう、言った。久しぶり------といっても、せいぜい一月ぶりなのだが------に逢えた嬉しさで、人払いも済ませてある逢瀬の場、頓着なく抱きしめようとした延王尚隆は、怪訝そうな顔をした。
「何だ?」
 陽子は俯きながら、呟く。
「…出来ました」
「は?」
「…子供が出来ました。三ヶ月、だそうです」
 潤んだ瞳で延王を見つめた陽子は、そっと自らの腹部を押さえた。
「こっこっこっ、子供!? そんなバカな!」












 ……身に覚えは、ある。それこそ…腐るほど。
 しかし、ここでは女の腹に、子は宿らんのではなかったのかーーー!?












 思わず五十歩ほど後ずさった延王に、陽子は、にこ、と笑った。
「うそです」
 口をぱくぱくさせる延王の後から、聞きなれた笑い声が、息も絶え絶えに続いた。
「ほらな、陽子。こっちで生きて、五百年経ってよーとなかろーと、この悪戯は胎果相手だからこそ使えるんだと言っただろう」
「なるほど、確かに。まあ、これって、そーいう関係がある相手にしか使えないから、延王以外の人には試せないですけどね」
 何時の間にか、部屋には胎果が三人。その三人目である延麒六太は、自分の半身を情けなさそうに見つめた。
「しかし…こんなに狼狽するとは思わなかった。いやあ、面白いもん見れたよ」
 にっ、と笑う六太と陽子を前に、尚隆はわなわなと震え出した。
「……お前らなあ…っ!」
「でも、あんなに引かれるなんて、ちょっとがっかりした」
 つん、と拗ねる素振りを見せた陽子に、尚隆は口の端を上げる。
「……判った」
「え?」
「そんなに子が欲しいのなら、子が出来るまで俺が相手をしてやる」
「ええっ!?」
 何だか違う雲行きになってきた事に気付いた陽子が、今度は逆に二三歩後ずさったが、尚隆が抱きかかえる方が早かった。
「ちょ…!延王!私、そんなこといってません!」
「俺が、子が出来たと聞いて喜ばん訳がなかろう。今、証明してやる」
「ここではお腹に子供は宿りません!」
「何?聞こえないな」
「尚隆!!」
 はははと笑って、じたばたともがく陽子を攫って行く自国の王を見送りながら、六太は呟いた。
「…俺、知らないーっと」









2002.7.13 了








 …私も知らない〜っと(逃)。←コラ  …すいません、変な話です(汗)。
もともと延陽派だったのに、浩陽話しか思い浮かばないのが寂しくて、ちょっと初心に帰ろうと頑張ってみました…が、これってラブなのか?(アレ?)。
 確かに「子供が出来たの」つって、狼狽するのは延王だけだよね。こっちの人には「?」だから。尚隆は五百年こっちにいても、絶対動揺してくれると思う(笑)。あー楽しい(ヲイ)。


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