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言祝
年の暮れから続く祭事を滞りなくやり遂げ、新しい年を迎えた。
この日ばかりは女官も逃げることを許さず、景女王は女物の衣服を身に纏っていた。しかし、女官もでき得る限り女王の負担にならないように整えたらしい。
首と肩は領巾のように軽そうに見える美しい襦裙。彼女が重いと嘆く歩揺も少なめで、その豊かで見惚れるほどに鮮やかな緋色が映えるように結い上げた御髪。珍しく耳墜をつけてはいるが、決して華美にせず、美しく自然な色の染めの衣装を選んでいる女官の腕は流石である。
本当に女王が愛されていると実感できて、景麒は微笑した。
当の景王陽子は、書卓に肘をついて物思いに耽っているようだ。
前に立つ、半身の存在を忘れてしまったかのように。真っ直ぐな翠の瞳は、景麒を通り越し、もっと遠くを見ている。
慶よりも、ずっと北を。
そこにいる、彼女が愛しく思いを寄せる男を。
それは、景麒にとってはひどく切ない事実である。
だが。景麒が彼女に与えることは決してできないもの。それを与えられる、ただ一人の者だから。
景麒にはそれが何なのか分からない。愛だと言われても、理解するのは難しいことだった。
形のないはずの愛はまた、無限の形を持っているから。
ただ、変化を感じる。
彼女のやさしさが、更に豊かで大きなものへ変わるのだ。麒麟の好ましい方向へ。
だからこそ、あの男を受け入れられる。
この美しい珠の如き瞳が一番輝くときも、彼の人に譲ろう……
「景麒。どうかしたのか」
呼ばれて、はっと我に返る。きっと見た目に驚きはないだろうが。
目を瞬かせて、大切な主が見つめている。少し、心配そうに。
「疲れているんだろう。行事続きだからな。」
染み入るように、温かい。
「いえ。主上の方がお疲れでしょう。それも、もう少しで落ち着きます」
そうすれば、女王は雁を訪れることができるのだ。
相変わらず言葉を補足できない景麒に、主は軽く笑った。
「そうだな。それにしても女物の服は肩が凝るな」
「祥瓊が軽く仕上げているようですが」
「うん。……まあ、慣れないからなのか思い込んでいるのか、気分的にね」
ばつが悪そうに告白する王に、景麒は首を傾げた。
「よくお似合いですが」
思わず口をついて出た言葉に、翠の瞳が見開かれる。
一瞬、むっとした彼に、女王は本当に嬉しそうに笑んだ。光りを放つように。
いつも感じている王気とは違った輝き。
それはきっと、景麒以外の者にも見ることができるのだろう。
「ありがとう」
陶然としている彼に主は、ああそうだ、と呟く。
そして、真っ直ぐに彼を見て言った。
「景麒、今年もよろしく頼むよ」
その言葉を笑みと共にいただける幸せをしみじみと感じる。
彼女は幸せを与えてくれる。
だからこそ、彼女の、形の異なるいくつもの愛を信じられるのだ。
「はい。……主上に幸多くありますように」
彼女の笑みが曇らぬように。
いつも、そう願う。
2003.1.13 UP
おおわさまから戴いた「お年玉」です!!vv
◆おおわさまのお言葉より^_^◆
かな〜りイメージとは違ったものになってしまいましたが、
喜びのあまり、暴挙にでました(?)
というか、イメージ壊してるかも。ヤバい・・・。
適当に読み捨ててやってくださいまし。
なにをおっしゃる!
新年SSはコレよ!と思いましたさ(オイオイ/笑)。
景麒視点で、新年の爽やかな陽子主上を拝見出来て、
とっても嬉しかったです^^。
新年イラストをご覧になって、書いて下さったお話なので
一応、加工したイラスト貼り付けてみたり^^;。
あ、タイトル、勝手につけました^^;。すいません〜変更可っス(汗々)。
おおわさま、瑞々しいお話を、ありがとうございました!vv
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