摂生
いつものように、深い口付けをする。
ぎゅっと抱き締められ、男の胸の中で舌を絡めあう。
熱く、ぬめりとした舌が、私の口の中を…。
(い、痛いっ)
舌で口を塞がれたまま、声にならない声を出した私に、男は怪訝そうに首を傾げた。
探るように、舌を走らせる。
(い、痛い痛い、痛いってば!)
男の舌が、私の悲鳴を探るように、頬の裏側の一ヶ所に触れる。
顔をしかめた私を見つめながら、舌を抜いて、力なく呟いた。
「…口内炎ですか」
う、と、図らずも肯定の音を漏らしてしまった私に、呆れた口調で続ける。
「だから、遅くまで臥牀の中で、御本をお読みになるのはおやめなさいと申しましたのに…」
「いや、あのな」
「不摂生です。今夜はお早くお寝み下さい」
そう言うと同時に、足元を掬われ、勢いよく抱きかかえられた。
「え!? ちょ…」
腕の中でじたばたともがく私に、男は再び唇を合わせる。
(いっ…!)
「い……痛いっていってるだろっっ! 馬鹿ーーーっ」
「おや、これは一大事」
明らかにわざと、傷口を舌で弄んだ男は、しゃあしゃあと憎らしい。
顔を朱に染めて怒る私に薄く微笑み、耳許で、こう、囁いた。
「私が暖めて差し上げましょう」
2002.7.28 了
はい、単なるアホイチャ話でした(笑)。しかも「口内炎」…色気のない(^_^;;)。
(自分が口内炎の時思いついたもので…)
しかしこれ、口内炎じゃなくて、虫歯(痛)だったら、「ブチ切れ→大喧嘩」だと思う私(^_^;)。
…つーか、神仙に『虫歯』なんて存在するんだろうか?(爆)
◇
ここ最近のマイブーム(?)、人物名一切ナシ話。
別に出版社を意識してる訳ではないのですが。
浩陽前提ということで、そのようにお読み下さい、ははは…。