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長い夜と早い夜更け
「この三日間、主上にお会いしていないな」
浩瀚は椅子の背もたれに体を預けて、窓の外を眺めた。夜の帷が降りて、月が煌々と輝いていた。朝廷が落ち着くに従って、冢宰である自分でも王に直接会わなければならない用は次第に減っていった。朝議の際には王の前には御簾があり、王からは自分たちが見えるが、自分の方から王を拝することはなかった。それでも、以前までは問題がある度に王はその御簾から出てきたものだが、近頃はそんな必要もなくなっていた。これは国と王のためには歓迎すべき事柄なのだが、王を慕う者にとっては寂しいことでもあった。
「何も問題がないことが辛いとは因果なものだ。同じ宮城にいるというのにな」
浩瀚は口元を歪めて笑うと、眼を閉じた。陽子が夜にこの部屋を訪れる間隔は短くはなく、今夜現れることがないことだけは確かなことだった。故に、窓の玻璃を叩く音も空耳かと疑った。振り向いた先に紅い髪の少女が立っているのも幻覚かと思った。それでも体はその窓を開けるために動いていた。腕の中に飛び込んできた少女を抱き締め、腕の中でもがかれて初めて本物だと実感できた。腕を緩めると緑の瞳が輝いた。
「いつもより、お早いお渡りですね」
「お前が寂しがっているような気がしてね。ここしばらく、話をすることもなかったから顔を見に来た」
「とてもお会いしたかった。貴方の記憶を辿っているうちに幻をみるようになったのかと思いましたよ」
浩瀚が顔を近づけると陽子は唇を僅かに上げた。軽く開かれた唇に何度か触れ、舌を次第に深く差し入れていると陽子は浩瀚の袖にしがみついてきた。脚の力が抜けて体が沈み込むと、浩瀚は陽子の膝の裏に片腕を差し入れ、抱き上げた。深い口づけを与えながら、牀榻に向かうと陽子は脚をばたつかせた。それを無視し、牀榻に陽子を降ろすと、両脚を捕らえて、履き物を脱がせた。陽子は両手を後ろについて上目遣いで浩瀚を睨め付けた。
「話をしにきたのに・・・」
「ここでも話はできますよ」
浩瀚は上衣を脱ぎ捨て、履き物を脱ぐと牀榻に膝を突いて上がった。
「だって、お前に抱き締められると話なんかにならないじゃないか!」
「言葉よりも多くのものを伝えられるのに?」
浩瀚が陽子を抱き寄せ、帯を解こうとすると、陽子に手を叩かれた。
「駄目!先に脱がされると恥ずかしくて、お前の顔をまともに見れなくなるんだから!」
浩瀚は陽子の首筋に顔を埋めてくつくつと笑うと、陽子から体を離した。
「では、わたしから脱げばよいのですね」
浩瀚は陽子を見つめながら袍の袷に手をかけた。
「違〜う!」
陽子は慌てて浩瀚の両手首を掴んで寄りかかると、浩瀚はあっさり、牀榻に倒れ込んだ。 陽子は浩瀚の両手首を牀榻に貼り付けて睨め付けたが、浩瀚は楽しそうに笑っていた。
「見られても見ても恥ずかしいのはわたしだなんてずるい!」
「そんなに、お嫌なのですか?」
陽子は浩瀚の体を褥にして、頬杖をついた。
「お前の顔を見て、話をしてからだよ」
「わたしの顔を眺めて面白いのですか?」
「うん、部分的に見るといい線いっているのに、全体的に見るとどうして、地味になるのかな、って」
「美々しい方がお好みですか?」
「う〜ん、見慣れた方が浩瀚らしいって気がするけど、ちょっと勿体ないな、って思うだけ。そうしたら、冷たいなんて言われず、女官達にもてると思うんだけどな」
「貴方に気に入られる以上の見た目などいりませんよ」
「そうだね。お前をこうして独占していると知られたら女官達に恨まれてしまうからな」
「わたしは慶の民全てに恨まれるのですが」
陽子はくつくつと笑った。
「それが本気で恐かったらわたしに手など出さないだろう?」
「それに、後世の者や他国の者には十六歳の女王に狂った冢宰として語られるでしょうね」
「それもかまわないと?お前の噂ってろくなものがないな」
「貴方に狂っていることだけは紛れもない事実ですから、申し開きようもないですね」
言って浩瀚は陽子の頬に掌を添え、もう片手を背中に這わせた。陽子は浩瀚の手に小さな頭を預けた。
「傍目から見ればそんなに可笑しいのかな?」
「十六の女王と三十の冢宰としてだけならば」
「わたしはお前がそんなに老けているような気はしないんだけど。こうしていれば、結構子供っぽいし、悪戯好きだし、すけべだし」
「五十年も口づけだけで耐えて、今は月に二、三度の夜の逢瀬を心待ちにしている男にあまりなお言葉ですね」
「そんなに少ない?」
「多いなどとは思ってはいらっしゃらないでしょう?少ないと訴えれば頻繁にお渡り頂けますか?」
陽子は目元を染めて、浩瀚の袷を掴んだ。
「翌日が大変なんだ。足の付け根は痛いし、騎獣や馬には乗れなくなるし、女御達は馴れれば平気になるって言うけど、いつになるかわかんないし、お前の跡を見つけられると襦裙を着せられるしっ」
「貴方の体を気遣っているんですよ」
浩瀚は陽子の腰に両手を添えて言った。
「わかってる」
陽子の背に掌を当てて引き寄せると今度は抵抗なく柔らかな感触が浩瀚の胸に降りてきた。 紅の髪に指を差し入れ、顔を引き寄せると瑞々しい唇が何度も降ってくる。軽く触れるだけの唇を捉えて髪に差し入れた手に力を込め、小振りの唇ごと飲み込むように舌を差し入れ、奥で震える柔らかな舌を掬った。もう片方の手は陽子の下半身をなぞっていた。
「莫迦!」
突然、陽子は身を起こして、揺れる瞳で浩瀚を睨め付けた。浩瀚は笑っていた。
「脱いでしまえば気にする必要はありませんよ。もう、収めることもできないでしょう?」
浩瀚は身を起こして、陽子が下に纏っている布を脚に沿わせて、まとめて抜き取った。すらりと伸びた脚はぴたりと閉じられ、陽子は浩瀚にしがみついた。
「お前はっ、これしか頭にないのかっ!」
「ええ、貴方と過ごす夜は早く更けてしまいますから」
浩瀚は今度は陽子の帯を解いて小衫の紐を解き、陽子の体を離して、袷を開いた。自分に向かって突き出す胸を両手でそっと抱え、つんと上を向く頂きに唇を落とした。
「跡なんかつけるなよ。明日は襦裙を着る気はないんだからな」
背を仰け反らせ、浩瀚の頭を抱えて陽子は震える声で言った。
「かしこまりまして」
浩瀚は頭を抱えられたままで、静かに陽子を横たえると、しっかり合わせられた脚に手を差し入れた。
2003.9.20 UP
翠玉さまからサイト設立一周年お祝いSSを戴きました^^/
◆翠玉さまのお言葉より^_^◆
ごめんなさい ^^;)
わたしの甘々いちゃいちゃ、ってこんなものです。
うちの閣下は主上を独り占めにしている時は、結構我慢が効かないようで・・・
うきーーーーっっ!!vv
ビバ!いちゃいちゃ!!></
ビバ!「十六歳の女王に狂った冢宰」!!><v
ワタクシの心を鷲掴みにしたのは、↑のフレーズでございました…vvv
そう、こちら風に考えれば、しっかり年の差カップルなんですよね、閣下×主上vv。
ストレートど真ん中萌え!!vv 萌えですわ〜〜っっ!!vv
───もう、どのシーンも萌え萌えで、どこを描こうかかなり悩んだんですが;、
呪い師さまの「オナゴは足」呪い(笑)が、私の頭から離れてくれなかったので(人のせい?)
あーいうことに…。
もっと接近してる構図でもよかったのですが(妄想妄想妄想…vv)、
コレ一応表だし…(以下、自主規制^^;;)ということで(逃)。
翠玉さま、ラブラブ浩陽、ありがとうございました!vv
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